ゴールドトナー、シルバートナー

近年、印刷市場において光輝性を有するメタリック印刷は、印象的かつ多彩な表現力を持つことからグリーティングカードや本の表紙、ラベル・パッケージなど様々なアプリケーションに活用されています。富士フイルムビジネスイノベーションでは、EA製法の応用により光輝性顔料の採用を可能にし、省エネ性能に優れたEA-Ecoトナーの低温定着特性を維持しつつ、高い光輝性を有するゴールドトナーとシルバートナーを開発しました。

従来の混練粉砕製法では、トナー内部の光輝性顔料配向もバラバラで不均一なトナーしか作製することができませんでした。また、トナー内部から光輝性顔料が露出してしまい、電気が漏えいして帯電不良や転写不良による画質欠陥が発生し、ゼログラフィーシステムへの適用が困難でした。そこで、富士フイルムビジネスイノベーションでは、EA製法の応用により、扁平な光輝性顔料をトナー内部に均一に配向させ、完全に被覆させることが可能な、扁平形状のトナーを開発することに成功しました。これにより、トナーに要求される基本性能とメタリック印刷を可能とする性能を達成し、ゼログラフィーシステムへの適用を可能にしています(図1)。

図1:従来の混練粉砕製法とEA製法を応用した扁平形状トナー比較(横から見た断面図)

トナーの形状を扁平としたことで、トナー内部の光輝性顔料をトナーの長軸方向に対して平行に配向させることが可能となりました。その結果、メディア(紙、フィルム)上に転写されたトナーの光輝性顔料がメディアと平行になり、定着後の画像の中で顔料からの光の反射が高まります。これによって高い光輝性が発現し、メタリック感を作り出しています(図2)。

図2:定着前と定着後の比較(横から見た断面図)

本光輝性顔料は、光を透過しない顔料であるため、印刷された部分はその下のメディアの色が透けて見えることはありません。そのため、文字が印刷された紙や色紙、透明フィルムなどのメディアに対しても、高いメタリック感を再現した画像を作製することが可能です(図3)。

図3:ゴールドトナー画像