富士フイルムビジネスイノベーション

トップコミットメント

お客さまのビジネスの革新を通じて、持続可能な社会の構築に貢献する 代表取締役会長 玉井 光一 代表取締役社長・CEO 真茅 久則

危機の中でこそ企業としての責務を果たす

多くの国や地域で依然として猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、現代社会の脆弱さを浮き彫りにしました。経済のグローバリゼーション下で国境を越えた人やモノの移動がパンデミックの原因の一つとなり、一方、張り巡らされたサプライチェーンの分断は、世界中の経済活動に甚大な影響を与えました。今なお多くの企業が存続をかけて、ビジネスモデルやビジネスプロセスの再構築を余儀なくされています。
新型コロナウイルスは働く人々にも深刻な影響を及ぼしています。外出が制限を受ける中でリモートワークが急速な広がりを見せ、働き方の多様化が進みましたが、ITインフラや諸制度が多様化のニーズに追い付いているとは言い難い状況です。一方で、経済の停滞やビジネスプロセスの変更により仕事が消滅するといった、業種や職種などによる格差が広がっています。生活者でもある働く人々の購買力の低下や消費意欲の減退は、企業活動回復の足かせとなっています。
これらは社会の持続可能な発展を脅かす課題であり、世界中の組織・人が力を合わせて解決に取り組まなければなりません。当社は2002年に国連グローバルコンパクト注1に加盟し、これまでSDGs注2の実現に向けて尽力してきました。本年、グローバルコンパクトが提起した、より良い世界を目指した新たなグローバル協調のための結束を宣言する「ビジネスリーダーの声明」にも賛同しています注3。SDGsの中でも目標8「働きがいと経済成長の実現」への貢献を特に重大な責務ととらえ、コロナ禍により顕在化した働き方や業務プロセスにまつわる様々な課題に対しても、価値提供のスピードを上げています。

強靭な経営基盤の上で、社会に求められる「働き方変革」を牽引し続ける

新型コロナウイルスが事務機器業界にも大きな打撃を与える中、当社は、2019年度、減収ながら増益を果たし、過去最高益を達成しました。これは、将来を見据えて進めてきた業務改革・構造改革により築いた強靭な経営基盤の上に、お客様との質の高いコミュニケーションを通じて真のニーズをくみ取るという当社のDNAがあったからこその成果であると、自信をもって言えます。
まだロックダウンの最中にあった中国の調達・生産の現場も、底力を発揮しました。現地の当社工場を全社一丸となって支えることを経営として決断したのは、中国で新型コロナウイルスが発生したとの報を受けた直後でした。お客様に納期通り商品をお届けするため、調達・生産部門が一体となりあらゆる手を尽くしました。さらに、当社が2007年から続けている「CSR調達」注4により培ったお取引先様との良好な関係も、混乱の中での部材確保を下支えしました。結果、当社の工場では、域内最速といえる操業再開を実現できたのです。
富士ゼロックスは2019年11月に富士フイルムホールディングスの100%子会社となりました。富士フイルムホールディングスのCSR計画「Sustainable Value Plan 2030 (SVP2030) 注5」は、持続可能な社会の実現に向けてグループ全体で長期的に目指すべき姿を示したものです。2030年度をターゲットに「環境」「健康」「生活」「働き方」「サプライチェーン」「ガバナンス」の6分野で15の重点課題を設定し、当社は主に「働き方」の分野を担っています。
当社には、1962年の創業以来、「人を中心としたコミュニケーション」に主眼を置き、新しい働き方を社会に提案してきた歴史があります。社内においても、早くからサテライトオフィスやリモートワークを取り入れる中で、生産性向上とならびコミュニケーションの質の向上に試行錯誤を重ねてきました。その実体験を通じて、働き方変革が単なるリモートワークツールの導入には終わらないことを認識しています。昨今、働く人々の価値観がますます多様化する中では、変革の方法論に唯一の正解はありません。「働く」に意味を与えるのは企業の中にいる「人」であり、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)などの先端技術を活用するのも「人」です。当社は引き続き「働く人」にフォーカスを当て、お客様ごとに異なる働き方変革の道筋をご提案してまいります。

紙文書の電子化から業務プロセスそのものの電子化へ、
デジタルトランスフォーメーションにより提供価値を拡大する

「Withコロナ・Afterコロナ」の世界でお客様が事業を継続するためには、紙文書の利点を活かしながらデジタル化を取り入れ、オンラインで業務を進められることが重要となります。柔軟な働き方が可能となれば、環境負荷の低減にも寄与します。以下に、当社のこの一年の取り組みの具体例をいくつかご紹介します。
リモートワークやオンライン授業の際に紙の資料を手元に置きたいというニーズに応え、コンビニエンスストアのマルチコピー機から安全・高画質にプリントできる法人向けサービス注6に単月契約プランを加え、リモートでの業務や学習の円滑な継続を支援しました。
契約プロセスでは、書類の印刷、署名・押印、郵送、保管に多くの時間とコストが費やされ、日本では、リモートワーク中でも押印のためだけに出社するケースが珍しくありません。当社は、多様なニーズに合わせて契約プロセス電子化ソリューションを複数取り揃え、リードタイム短縮、工数とコストの低減を支えました。
複合機も進化を続けています。当社のデジタルカラー複合機・プリンター「ApeosPort」シリーズは、事実上の世界標準である米国のセキュリティ基準「NIST SP800-171」で最高評価の「AAAis(トリプルA)」を日本で初めて取得しました。サイバー攻撃を受けた後の迅速な復旧を可能とする「サイバーレジリエンス」の強化により、お客様の事業継続を支えるシステムの構築を支援しています。
紙文書の電子化では、デジタルデータに属性情報を付加して価値を高め、さらには業務プロセスそのものをデジタル化することで、ビジネスモデルの変換も促していきます。2020年9月には米国リップコード社とのジョイントベンチャー「富士フイルムリップコード」を設立しました。業務プロセス全般を効率化するBPO(Business Process Outsourcing)サービスにより培った当社のノウハウと、リップコード社が持つ、書類をロボティクス技術とAIを使って高速で電子化する技術を融合して、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援します。
「環境」への貢献では、環境配慮型商品の拡充に加えて、事業のプロセスにおいても前進しています。当社最大の生産拠点である富士フイルムマニュファクチャリングシンセンが一例です。CO2排出量の継続的削減など多岐にわたる活動が認められ、2019年、中国国家の推奨標準規格で定められた「グリーン工場認定」を日系企業で初めて取得しました。認定機関からの要請に基づき、さらに2020年からはプリンター機器業界のグリーン工場標準規格の策定に参画しています。

お客様のビジネスに革新を起こす存在へ

当社は、困難の中で鍛えられ、育まれ、磨かれることが個を強くし、企業を強靭にすると信じています。危機や変化を機会と捉え、より良い未来を構想し、その実現に向けてたゆまぬ挑戦を続ける。そこに人として、企業として、存在する意義と醍醐味があります。
2021年4月から富士ゼロックスは、お客様のビジネスに革新をもたらす存在へと名実ともに進化するという決意を込めて、「富士フイルムビジネスイノベーション株式会社」に社名を変更します。富士フイルムのブランドの下、技術や販売網など、富士フイルムグループ内のシナジー創出を加速し、先進のITサービス企業との戦略提携も拡大し、いよいよ世界を舞台に事業活動を展開してまいります。
お客様のビジネスの革新を通じて持続可能な社会を構築するために、グローバルにDXを牽引し、社会からより必要とされる企業となることを宣言します。大いにご期待ください。

  • 注1 国連グローバルコンパクト:企業を中心とした様々な団体が、責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加するイニシアチブ。2000年の発足後、約160か国から、「人権」・「労働」・「環境」・「腐敗防止」の4分野・10原則を支持する15,000を超える団体が加盟しています。(2020年10月現在)
  • 注2 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals):2015年に国連総会で採択された、2030年までに国際社会が社会課題として取り組むべき開発目標。貧困、不平等・不正義の是正、健康、教育、働きがい、気候変動・環境などに関する17の目標と169のターゲットが定められています。
  • 注3 国連グローバルコンパクト「ビジネスリーダーの声明」については、下記リンク(英語ウェブサイト)を参照ください。
    Business leaders from more than 100 countries pledge support for multilateralism as the United Nations turns 75 | UN Global Compact
  • 注4 CSR調達:当社ではお取引先様をパートナーと位置付けています。両者がCSRに関する価値観を共有し、対話を通じてリスクを最小化することにより、お取引先様と当社がともに競争力を高めることをめざしています。
  • 注5 富士フイルムホールディングスSustainable Value Plan 2030の詳細については、下記リンクを参照ください。
    中長期CSR計画 | 富士フイルムホールディングス
  • 注6 「ネットプリントサービス for business afterpay」として、2020年10月現在、日本国内約2万店舗のセブン-イレブンにて提供しています。(一部「マルチコピー機」未設置の店舗があります。)