ニュースリリース

2021年6月23日

放射性医薬品「ルタテラ®静注」の製造販売承認取得のお知らせ
-神経内分泌腫瘍の新たな治療選択肢となる「ペプチド受容体放射性核種療法剤」として国内初の承認-

このニュースリリースは、報道機関向けに発信している情報です。

富士フイルム富山化学株式会社

富士フイルム富山化学株式会社(本社:東京都中央区/社長:岡田 淳二、以下 富士フイルム富山化学)は、本日、放射性医薬品「ルタテラ®静注」(一般名:ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu))(以下、「ルタテラ」)について、「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」*1を適応症として製造販売承認を国内で取得しましたので、お知らせいたします。
「ルタテラ」は、放射性リガンド療法*2の一種であるペプチド受容体放射性核種療法(Peptide Receptor Radionuclide Therapy; PRRT)に用いられる医薬品です。今回、「ルタテラ」は、「ペプチド受容体放射性核種療法剤」として国内で初めて承認されました。

神経内分泌腫瘍は、ホルモンやペプチドを分泌する神経内分泌細胞に由来する腫瘍で、全身のさまざまな臓器、なかでも膵臓、消化管および肺に多く発生します。選択できる薬物療法が限られていることから、アンメットメディカルニーズの高い疾患と言われています。現在、神経内分泌腫瘍に対してより有効な治療法が求められる中、海外ではPRRTによる治療が行われています。
富士フイルム富山化学は、2015年に製薬大手ノバルティスのグループ会社であるAdvanced Accelerator Applications International S.A.(以下 AAA社)と、PRRTに用いる「Lutathera®*3の国内開発・販売などに関するライセンス契約を締結。その後、国内で実施した臨床第I相試験および臨床第I/II相試験にて、日本人患者での有効性および安全性を確認できたことから、2020年に製造販売承認申請を行いました。

今回承認された「ルタテラ」は、ソマトスタチン類似物質に放射性同位元素のルテチウム177を標識した治療用放射性医薬品です。神経内分泌腫瘍に高率で発現するソマトスタチン受容体に結合し、ルテチウム177から放出される放射線でがん細胞を直接攻撃します。
今後、富士フイルム富山化学は、「ルタテラ」の提供を通じて、PRRTの普及を図っていきます。なお、「ルタテラ」と併用するアミノ酸輸液「ライザケア®輸液」(以下、「ライザケア」)*4の国内製造販売承認も、「ルタテラ」とあわせて取得しています。

富士フイルム富山化学は、すでに販売している、神経内分泌腫瘍の診断用放射性医薬品「オクトレオスキャン®静注用セット」*5(インジウムペンテトレオチド(111In)注射液調製用)に、今後発売予定の治療用放射性医薬品「ルタテラ」を加えることで、神経内分泌腫瘍の診断から治療までのトータルソリューションを展開していきます。

富士フイルム富山化学は、高付加価値な医薬品の提供を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。

  • *1 ソマトスタチン受容体を発現している神経内分泌腫瘍。ソマトスタチンは、視床下部・脳下垂体や膵臓のランゲルハンス島デルタ細胞などで産生される14個のアミノ酸からなるペプチドホルモンで、成長ホルモンやインスリンなどの分泌抑制作用を有する。神経内分泌腫瘍では、ソマトスタチン受容体が高率に発現していることから、神経内分泌腫瘍の治療薬の有効な標的の一つとされている。
  • *2 腫瘍に発現している受容体に特異的に結合する化合物に放射性物質を標識して患者さんに投与し、体内から病巣に放射線を照射する治療法。PRRTは、腫瘍に発現しているペプチド受容体を標的とする。
  • *3 AAA社が開発した、神経内分泌腫瘍の治療薬。現在、欧州32か国、米国、カナダ、イスラエル、韓国、シンガポール、香港および台湾といった国や地域で承認されている。
  • *4 「ルタテラ」による腎被曝の低減のためのアミノ酸輸液。富士フイルム富山化学は、AAA社が開発し、海外展開している「LysaKare®」の国内開発・販売などに関するライセンス権を2017年に同社より取得し、開発を進めてきた。「LysaKare®」は、現在、欧州31か国、シンガポールおよび香港といった国や地域で承認されている。
  • *5 ソマトスタチン類似物質に放射性同位元素のインジウム111を標識した放射性医薬品で、神経内分泌腫瘍の画像診断に用いられる。「ルタテラ」と同様、ソマトスタチン受容体を標的としている。
製品概要
販売名 ルタテラ®静注 ライザケア®輸液
一般名 ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu) L-リシン塩酸塩/L-アルギニン塩酸塩
承認年月日 2021年6月23日 2021年6月23日
効能または効果 ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍 ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)による腎被曝の低減

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