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富士フイルム富山化学株式会社(本社:東京都中央区、社長:佐藤 充宏)は、入院患者が持ち込む服用薬(持参薬)を、スマホで撮影し独自のAI技術で瞬時に高精度に識別する次世代型薬剤識別システム「PROOFIT iQ(プルーフィット アイキュー)」を2024年1月より発売します。医療従事者の働き方改革が求められる中、薬剤師や看護師などの持参薬鑑別業務の負荷軽減と正確性向上に貢献していきます。
薬剤師や看護師などの業務の1つに、入院患者の持参薬の名称や服用方法、残数を調べ、電子カルテや持参薬管理システムなどに登録して医師に情報共有する持参薬鑑別業務があります。患者の持参薬には、複数の錠剤やカプセル剤を、朝食後分・夕食後分など服用タイミング毎にまとめられた薬(一包化薬)やPTPシート*1をはさみなどで1錠単位に切り分けた薬(PTPバラ)などが含まれています。持参薬鑑別業務の中でも、一つ一つ目視での確認が求められる薬剤の識別は、時間と手間がかかる負担の大きい作業です。現在、一般的に普及している薬剤識別システムは、システム構成にPC・サーバーを含む据え置き型であることから、手軽に持ち運ぶことができませんでした。また、薬剤を識別する際に必要となる医薬品マスタを更新するためにインストール作業が必要なことも、鑑別業務を行う上での負担となっていました。
今回発売する「PROOFIT iQ」は、アプリ・スマホ・専用撮影台のシンプルなシステム構成により、どこでも薬剤の識別作業を行え、医薬品マスタの自動更新やアプリのバージョンアップによる機能追加もできる次世代型薬剤識別システムです。「PROOFIT iQ」は、一包化監査支援システム「PROOFIT 1D(プルーフィット ワンドース)」*2で収集した、8,000種以上の薬剤画像*3をAI学習に利用。専用撮影台を用いて撮影した薬剤画像をタップすると、AIが学習済みの薬剤画像の刻印・文字をもとに、対象薬剤を瞬時に高精度に識別し、候補となる薬剤5種を表示します。薬剤師などは、それらの画像の中から撮影した薬剤画像と合致する一つを選択し確定することで、持参薬鑑別業務に必要となる、目視による識別を簡単に行うことができます。なお、AI識別精度は97%*4、同速度は0.05秒以内です。
また、薬剤撮影での識別のみならず、GS1標準バーコード*5による識別、薬の名称・識別コードでのテキスト検索も可能。さらに、「PROOFIT 1D」とのデータ連携が可能であるほか、識別した薬の添付文書などを表示する機能、電子カルテや持参薬管理システムへ識別結果を提供する機能を搭載するなど、薬剤師などが行う、薬剤の識別業務以外の関連業務も幅広くサポートします。必要な機能を全てスマホに搭載しているので、災害時の医療救護所などでも利用できます。
今後、当社は、「PROOFIT 1D」に「PROOFIT iQ」をラインアップに加えて、さらなる医療DXを推進し、医療従事者の働き方改革を支援していきます。
当社は、低分子医薬品、バイオCDMO、創薬支援CRO、医薬IoTソリューションなどの事業領域で、新たな価値を創造し、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。
- *1 錠剤などの医薬品に多く使われている包装形態。「PTP」とは Press Through Packageの略称。
- *2 当社が2019年に発売した一包化監査支援システム。「PROOFIT 1D」(現在は「PROOFIT 1DⅡ」)は、自動判定技術を用いて、一包化された薬剤の名称と数量を高精度に判定するもので、薬剤師が薬剤を渡す際に、調剤された薬剤の種類と数を確認し、正確性の担保と安全性の確保を行う業務をサポートする。現在、調剤薬局や病院に1,000台以上導入されている。
- *3 一包化薬やPTPバラで識別可能な薬剤は錠剤のみ。カプセル剤は識別コードのテキスト検索で識別可能。
- *4 当社の評価結果。AI識別精度とは、AIが導き出した5種の薬剤に正解が出現する確率。ただし、対象薬剤がAI学習済であり、かつ、対象薬剤の刻印または印字面が撮影側にあることが前提。
- *5 流通コードの管理および流通標準に関する国際機関であるGS1が定めている国際標準バーコード。医薬品の包装などに印字されている。GS1標準バーコードを読み取ることで薬剤の識別が可能となる。
次世代型薬剤識別システム「PROOFIT iQ(プルーフィット アイキュー)」
2024年1月
- 初期費用*6
- 300,000円
- 月額費用*7
- ①PROOFIT iQアプリインストール済スマホレンタル:月額20,000円/アカウント・台
②PROOFIT iQアプリのみ提供:月額12,000円/アカウント - 専用撮影台費用*8
- 40,000円
- *6 契約手続きと「PROOFIT iQ」使用説明会などの初回導入時の費用。「PROOFIT iQ」アプリの提供数、使用施設数によって価格が変動する可能性はある。
- *7 アプリ、医薬品マスタ・DBの使用許諾及びその適宜の更新サービスなどを含む。スマホレンタルの場合は、スマホ費用、MDM(Mobile Device Management)費用などを含む。レンタルおよびアプリのみ提供の場合もスマホは当社指定の機種。
- *8 識別精度を上げるため、一包化薬、PTPバラ、裸錠の撮影には専用撮影台が必須。「PROOFIT iQ」アプリの提供数だけ購入する必要がある。付属の専用ポーチ費用も含まれる。
- アプリ・スマホ・専用撮影台のシステム構成により、どこでも薬剤の識別作業を行うことができます。
- 薬剤を識別する際に必要となる医薬品マスタの自動更新やアプリのバージョンアップによる機能追加が可能です。医薬品マスタの更新では、「PROOFIT 1D」で好評の医療用医薬品マスタ配信サービスを適用。新しい医薬品が発売後に、薬剤を識別するAIを順次自動で更新するため、メンテナンスフリーを実現し、現場の業務負担を軽減します。
- 8,000種以上の薬剤画像を学習したAIが候補となる薬剤5種を表示します。薬剤師などは、それらの画像の中から撮影した薬剤画像と合致する一つを選択し確定。持参薬鑑別業務に必要となる、目視による識別を簡単に行うことができます。
- 印字や白帯のある一包化薬、PTPバラのAI識別精度は97%、同速度は0.05秒以内です。
- 一包化薬をばらした裸錠などの仕分けにも活用可能。独自の画像処理で、錠剤の刻印・文字を強調して見やすく表示できます。

一包化薬のAI識別画面

PTPバラや裸錠剤のAI識別画面
- 医薬品の包装に付与されているGS1標準バーコードの読取による識別、薬の名称・識別コードの検索による識別ができます。さらに、「PROOFIT 1D」で監査後に印字される二次元バーコードの読取で一包化薬の薬種などを「PROOFIT iQ」に瞬時に登録できるため、一包化された持参薬の識別作業にかける時間を大幅に短縮できます。
- 識別された薬剤の添付文書・関連文書の閲覧が可能。GS1標準バーコードの読取で薬効分類も表示できるため、災害時の医療救護所では持参薬の鑑別だけでなく、支援供与された医薬品の仕分けにも役立ちます。

GS1標準バーコード

「PROOFIT 1D」二次元バーコード
- 薬剤師などが識別した結果をQRコード化して、電子カルテや持参薬管理システム、電子薬歴システムなどへ提供できる機能も搭載。正確・迅速に他のシステムと連携できるため、識別結果を入力する作業の負担を軽減します。
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