富士フイルムVETシステムズ株式会社（本社：東京都三鷹市、代表取締役社長：藤原 清隆）は、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室（所在地：東京都文京区、准教授：内田 和幸）と、犬や猫のリンパ腫の解析手法に関する共同研究を開始しました。本研究の目的は、より多くの抗体を用いて詳細な免疫表現型を検索し、リンパ腫を細分類する解析手法を構築することです。将来的には、本研究を用いた、リンパ腫の新たな診断サービスの展開を目指しています。
犬や猫の死亡原因の第1位*2はがんによるものと言われています。がんの中でもリンパ腫は、全身のリンパ腺の他に消化管や皮膚などさまざまな部位で発生します。リンパ腫の研究が進んでいる人の場合では、発生した部位やがん化したリンパ球の種類、組織構造などによって数10種類*3に分類されます。それぞれ進行の仕方や効果的な治療法が異なることが分かっており、それに合わせた効果的な治療方針を選択することが可能になってきています。しかし、犬や猫の場合は、人と比べてリンパ腫の解析手法の研究が進んでおらず、リンパ腫をどのように分類し、どのように治療するかについての指針が定まっていません。
富士フイルムVETシステムズは、国内10か所に検体検査所を持ち、全国の動物医療施設に対して動物検体の受託検査サービスを提供しています。東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室は、犬や猫のリンパ腫の解析手法の研究において、国内トップクラスの知見を有しています。
今回の共同研究は、富士フイルムVETシステムズが持つ検体検査のノウハウと、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室が持つ国内トップクラスの知見を融合させ、犬や猫のリンパ腫の解析手法の研究をより大規模に、よりスピーディに行い、リンパ腫を細分類する解析手法の早期構築を実現させ、犬や猫のがん治療に貢献していくことを目指しています。また、当社は、この共同研究を通して東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室とさらなる連携を深め、現在受託しているリンパ腫の病理組織診断・免疫染色サービスの質を向上させていきます。
- *1 白血球の一種であるリンパ球ががん化する病気。リンパ球は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、体の免疫力を維持する役割を果たす。
- *2 犬50％以上、猫40％弱。ペット保険会社調査。
- *3 WHO分類（2017）
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