「RiboNAT™ Rapid Sterility Test」新発売

2025年9月16日

富士フイルム和光純薬株式会社（本社：大阪市中央区、代表取締役社長：吉田光一）は、細胞医薬品の無菌試験を迅速に実施できるキット「RiboNAT(リボナット)™ Rapid(ラピッド) Sterility(ステリリティ) Test(テスト)（以下、RiboNAT™）」を2025年9月16日より発売します。

再生医療等製品や細胞医薬品の安全性試験で実施される無菌試験は、公定法では14日間の培養期間が必要です^※1。しかし、細胞医薬品の中には製造後数日以内に患者への投与が必要となるものがあるため、より安全性を高めるために投与前に無菌試験の結果を得ることができる、迅速かつ高感度な無菌試験が必要とされています。また、使用期限が長い医薬品においても、製造効率の向上を目的として、製造工程中の無菌試験の迅速化が期待されています。

今回発売する「RiboNAT™」は、NAT法（Nucleic Acid Amplification Test：核酸増幅法）^※2を用いた迅速無菌試験キットです。約7時間という短時間で試験結果を得られ、従来の無菌試験と比較して試験時間を大幅に短縮することができます。また、「RiboNAT™」は、一般的なNAT法で検出するゲノムDNAではなく、微生物内の存在量^※3が相対的に多いリボソーマルRNA（rRNA）を検出するため、より高感度な検出が可能です。さらに、一般的なNAT法では死菌に由来する残留DNAによる偽陽性が生じることがありますが、「RiboNAT™」は残留DNAを不活化し、rRNAを検出することで偽陽性を低減できます。

「RiboNAT™」は、RNA Isolation Kit 1、RNA Isolation Kit 2、Detection Kitの3つのキットで構成されており、菌の溶解、RNA精製、逆転写リアルタイムPCR^※4による検出の一連のプロセスを実施することができます。さらに、医薬品の品質規格基準書である薬局方で検出が必須とされている6菌種を含む細菌や真菌を、1回のアッセイで検出することが可能です。なお、薬局方掲載6菌種については、9CFU/mL以下という高感度での検出を実現しています。

「RiboNAT™」は、当社がこれまでに展開しているエンドトキシン検出試薬や発熱性物質検出試薬に続く、医薬品安全性試験における新たなラインアップです。今後も、「次の科学のチカラとなり、人々の幸せの源を創造する」というミッションのもと、社会や顧客のニーズに応える高機能・高品質な製品の開発・提供を通じて、医療をはじめとする多岐にわたる産業や学術研究の発展に貢献していきます。

• ※1    日本薬局方4.06 無菌試験法において、14日間の培養が求められている。迅速試験法については、日本薬局方参考情報<G4-6-170> 微生物迅速試験法において、各手法の紹介と考慮すべき点が記載されている。
• ※2    DNAやRNAなどの遺伝物質を微量から特異的に増幅し、微生物やウイルスなどを高感度かつ正確に検出する技術
• ※3    物質などがどのくらいの量かを、質量や体積、個数などで示したもの。
• ※4    逆転写でRNAをcDNAに変換した後、PCRで特異的に増幅し、蛍光色素やプローブを使ってDNA量の増幅をリアルタイムで測定する技術。特定のRNAの存在を迅速かつ高感度に測定できる。

• 当日中に結果が判明 （約７時間）
• rRNAを逆転写リアルタイムPCR法で検出することで、ゲノムDNA検出よりも高感度 
• 検体中の残存DNAに由来する偽陽性を低減
• 広範な細菌と真菌を1アッセイで同時検出