日本
市場トレンド

容量、速度、コストまで――進化を続けるテープストレージの知られざる実力とは?

オンプレミス環境で大容量データを保管するストレージには、いくつかの種類があります。どのような方法を選択するかは、保管するデータの使用頻度によって変わってきます。そうしたなか、特に容量の大半を占めるコールドデータの保管場所として、改めて注目されているのがテープストレージです。ここではテープストレージの動向について紹介していきます。

磁気テープの価値が見直されている

大容量データ時代を迎えた今日、テープストレージの価値が改めて見直されています。今から60年以上前の1950年代に登場したテープストレージは、1970年代にディスクストレージが一般化するまで、まさにコンピュータストレージの主役でした。その後はディスクストレージのデータバックアップやアーカイブ用途に役割を転じ、フロッピーディスクやMO(光磁気ディスク)などのメディアが軒並み消えていくなか、現在も使われ続けています。

そんなテープストレージは、膨大なコールドデータの保存場所として最適なのです。コールドデータとは、生成されてから時間が経過して使用頻度が低下したデータのことです。アクセスされなくなったものの、コンプライアンス目的やデータ資産として長期間保存しようという傾向が高まっており、その割合は全データの7~8割とも言われています。

コールドデータの保存場所として最適な理由は、テープストレージが大容量で信頼性が高く、容量あたりのコストが非常に低いからです。メディアの形状も小型で可搬性に優れているので、遠隔地に運搬して安全性の高い場所で保管すれば災害対策にも有効です。しかも、保管中はストレージ装置を稼働しておく必要がないため省エネにもなるのです。

実は、テープストレージ市場自体は漸減傾向にあります。2017年8月に調査会社IDC Japanが発表したレポートによると、国内のテープストレージ市場は2016年から2021年にかけてマイナス2.6%で推移すると予測しています。しかし、その一方で大型テープライブラリー装置はプラス成長にあるといいます。これは「IoT、ビッグデータ分析、AI/機械学習などの普及に伴ってデータ容量が増大化し、それらをアーカイブするストレージとして低コスト、長期保管、低消費電力などの特徴を持ったテープストレージが再評価されているからだ」と同社は分析しています。

進化を続ける記録容量と転送速度

このように見直されつつあるテープストレージですが、いまなお使われ続ける大きな要因は、絶え間なく続けてきた技術革新にあります。特に2000年代になり、テープストレージの共通オープンフォーマットとして「LTO(Linear Tape-Open)フォーマット」が登場してからは、大容量化を実現するために記録密度を向上させるメディア素材、データを読み書きするヘッド/サーボ技術の開発が繰り返されてきました。2017年に登場した第8世代のLTOは、カートリッジ1本で約12テラバイトの大容量を実現しており、将来的には容量480テラバイトの第12世代までのロードマップが描かれています。

進化しているのは容量だけではありません。転送速度も確実に高速化しています。最新の第8世代のLTOは、最大300Mbpsという非圧縮データ転送速度を実現しています。このスピードは回転数15,000rpmのハードディスクに匹敵します。テープストレージと同じくリムーバブルメディアを採用する光ディスクストレージと比較してもはるかに高速なのです。このような転送速度の高速化はマルチチャネルヘッドと記録密度の向上により実現しています。

ディスクに対する容量コスト費は1/8にも

気になるのはコスト面ですが、テープストレージは従来型のディスクストレージに比較すると圧倒的な優位性を持っています。電子情報技術産業協会(JEITA)の試算によると、5年間のデータ容量が96テラバイトから480テラバイトに増加したときのコスト比はテープストレージが約2分の1、480テラバイトから2.4ペタバイト(2,400テラバイト)に増加したときは約8分の1になるといいます。

特に電力コストの削減効果は大きいでしょう。ハードディスクストレージの場合は、常に一定の電力は必要になりますが、テープストレージの場合は、バックアップを実行するなどデータの読み書きを行っているとき以外は大きな電力を発生させず、コストで大きく有利になります。2.4ペタバイトのデータ容量を保管する際に必要な電気料金は、テープストレージが年間約4万7,000円なのに対し、ディスクストレージは約110万円もかかるとのことです。

データやハードの信頼性も高い

テープストレージは、信頼性が高いことも特徴です。ハードウェアエラーが起こる確率は低く、ハードディスクストレージに対して、その差は1/1000から1/10000程度になるとも言われています。磁気テープの信頼性は進化を続けており、トラブルなどのために磁気テープメディアが市場から返却される割合も昔に比べ格段に下がっています。

なお、LTOフォーマットでは一度書き込まれたデータを編集・消去できない状態で保管する「WORM(Write Once, Read Many)」技術、データがメディアに確実に記録されていることを確認しながら書き込む「Read While Write」機能など、高信頼性を支える技術も搭載されています。また、テープメディアの寿命は30年以上。LTOフォーマットでは下位互換性も確保されているので、将来的にデータが読めなくなるという心配は少ないでしょう。さらに、テープメディアはオフラインで保管してしまえば、停電による突然のトラブルやランサムウェアなどデータを標的にしたようなセキュリティ脅威に対しても、心配はまったく不要になります。

テープとディスクを組み合わせた便利な製品もある

ここまでテープストレージの市場動向や技術、メリットについて見てきましたが、当然のことながら膨大な容量のデータをすべてテープストレージでまかなうことはできません。やはりデータの使い方によって、適材適所にストレージを選ぶことが重要です。

例えば、生成されたばかりの使用頻度が高いデータ(ホットデータ)は、SDSを含むオンプレミス環境のディスクストレージ、またはクラウドストレージに保管。コールドデータはテープストレージに保管という選択肢になるでしょう。

最近は、ディスクストレージとテープストレージを一体化したハイブリッドストレージも登場しています。その1つ、富士フイルムの「ディターニティ オンサイト アーカイブ」は、ディスクストレージとテープライブラリーを組み合わせた長期保管用ストレージアプライアンスです。データのアクセス頻度に応じて保管場所を自動的に選択する階層管理機能を持ち、ユーザー側が意識することなくホットデータもコールドデータも簡単に扱うことができます。拡張性が高く、テープライブラリーは最大1.5ペタバイトまで容量を増やすことが可能です。データのアーカイブに必要なハードウェアとソフトウェア、テープをパッケージ化したアプライアンス製品のため、導入も運用管理も容易という点も大きな特長です。

ディターニティ オンサイト アーカイブは、「ストレージを効率的に使いながらも運用管理に手間をかけたくない」というニーズに応えることができます。今はまだデータの保存に関して「まったなし」の状態となっている企業はそれほど多くないでしょう。しかし、将来的に確実に直面する大容量データの保管の問題に対して、こうしたソリューションはきっと多くの企業の力になるはずです。

企業の膨大なビックデータを安全・低コストで保管する、LTOテープストレージソリューション