「赤外線吸収剤」とは

「赤外線吸収剤 (IR吸収剤、IR剤)」は、「近赤外線 (800nm~1500nm程度)」 の波長領域で吸収を示す機能性色素です。
熱線である赤外線をカットする「遮熱フィルム」や「農業用フィルム」といった用途に使用されるほか、特定の波長を選択的にカットして必要な波長だけを取り込む「レーザープリンタ用光導電体」、半導体レーザーによる書き込みを行う「光ディスク(CD-Rなど)」や、プラズマディスプレイパネルにおける「赤外線遮蔽フィルム」などに利用されます。また、可視光領域に吸収を持たず、無色であることを利用して「セキュリティインク」としても用いられるなど、幅広い分野の製品に用いられています。
富士フイルム製 赤外線吸収剤の特徴
1.幅広い波長領域をラインアップ
可視光領域に近い波長から1,000nm付近まで、幅広い波長領域のカットに対応できる化合物をそろえています。
2.溶液への溶解から、樹脂への練り込みにまで対応可能な素材群をラインアップ
溶解性に優れる製品や、耐熱性が高く樹脂への練り込みが可能な製品まで、さまざまな特性の材料をそろえています。
富士フイルム製「赤外線吸収剤」の例
1.溶液/膜形態で赤外線吸収能を示す 赤外線吸収剤

商品名 | CAS番号 | 溶液吸収 | 溶解性 |
---|---|---|---|
λmax (nm) | |||
OIR-002 | 非公開 | 854 | 可溶:有機系溶媒 |
2.膜形態で赤外線吸収能を示す*1赤外線吸収剤

商品名 | CAS番号 | 膜吸収 | 溶解性 |
---|---|---|---|
λmax (nm) | |||
OIR-004 | 非公開 | 850 | 可溶:MeOH、DMF |
OIR-007 | 非公開 | 980 | 可溶:MeOH、DMF |
- *1 溶液状態と膜状態でのスペクトルの変化について
溶液状態では可視光領域に吸収を示しますが、樹脂に添加するなどして膜を作成すると、条件によって吸収極大波長が長波長側にシフトします。これは、分子が会合体を形成するためです。濃度や添加する樹脂など、成形条件によって会合の状況が変化するため、極大吸収波長やスペクトルの形状は記載のものと異なることがあります。