オンライン資格確認

オンライン資格確認から始まるデータヘルス改革への取り組みについて解説します。

attentionこのコンテンツは医療従事者向けの内容です。

2021年10月より「オンライン資格確認システム」の本格運用がスタートし、利用施設も順次拡大しています。
2022(令和4)年6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」では、以下のとおり、オンライン資格確認導入の原則義務化等について明記されました。

社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進

・・・オンライン資格確認について、保険医療機関・薬局に、2023年4月から導入を原則として義務付けるとともに、導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す。
2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。

* 経済財政運営と改革の基本方針2022より抜粋

これを受け、「保険医療機関及び保険医療養担当規則(いわゆる療養担当規則)」の改定や診療報酬上の加算点数および補助金の見直しが公表されました。
オンライン資格確認システムは、質の高い医療を提供するためのデータへルスの基盤となる仕組みです。

「保険医療機関及び保険医療養担当規則(いわゆる療養担当規則)」の変更点
  • オンライン資格確認は医療DXの基盤。 2023(令和5)年4月より原則義務化。
  • 患者の求めがあった場合には、オンライン資格確認で受給資格の確認を行わなければならない。
  • 現在、紙レセプトでの請求が認められている施設は原則義務化の対象外。
  • 患者の求めに応じられるよう、あらかじめオンライン資格確認に必要な体制を整備しなければならない。

療養担当規則は、診療報酬点数表や施設基準などの上位法令にあたり、違反した場合には保険指定の取り消し(=患者は当該医療機関で医療費の全額を支払う)も行われます。

* 2022年8月10日 中医協総会資料より抜粋
厚生労働省:オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関等向けポータルサイト

令和5年4月からオンライン資格確認導入が原則として義務付けられます   

オンライン資格確認とは

オンライン資格確認では、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで医療保険の資格情報等を確認することができます。これにより、期限切れの保険証による受診で発生する請求過誤が回避できるほか、資格情報をレセコン・電子カルテに取り込むことができるようになるため、保険診療の適正化と医療機関の業務効率化が図れます。
また、特定健診情報や薬剤情報、診療情報、手術情報の閲覧・取込みも可能となるなど、医療の質向上も期待されています。
詳しくはこちらをご参照ください。

厚生労働省:オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関等向けポータルサイト

オンライン資格ってなに?   

オンライン資格確認の導入メリット

保険証入力の手間の削減

これまでは受付で健康保険証を預かり、レセコンや電子カルテ・電子薬歴に保険証記号番号、氏名、生年月日、住所等を入力する必要がありました。
オンライン資格確認導入後は、マイナンバーカードでは最新の保険資格を自動的にレセプトコンピュータ等で取り込むことができます。保険証利用の場合にも、最小限の入力は必要ですが、有効であれば同様に資格情報を取り込むことができます。

資格過誤によるレセプト返戻の削減

今まで資格過誤による返戻レセプトを受領した際は、患者さま・保険者・審査支払機関への確認が必要となり、医事スタッフの業務負担となっていました。
また、最新の資格情報が判明しない場合は再申請できずに未収金が発生し経営を圧迫する要因になりかねません。
オンライン資格確認を導入すると、患者さまの有効な保険資格がその場で確認できるようになるため、資格過誤によるレセプト返戻が減ることにより医事スタッフの業務負担が軽減され、再申請できないことによる未収金発生を防止することが期待できます。

「限度額適用認定証」がなくても、限度額以上の医療費の支払いが不要に

これまで限度額適用認定証等は加入者(患者さま)が保険者へ必要となった際に申請を行わなければ、発行されませんでした。
オンライン資格確認を導入すると、加入者(患者さま)から保険者への申請がなくても、限度額情報を取得でき、加入者(患者さま)は限度額以上の医療費を窓口で支払う必要がなくなります。

特定健診・薬剤情報の閲覧による医療の質の向上

特定健診結果、薬剤情報、診療情報、手術情報を閲覧することができます。患者さまの同意を確認した上で、医師、歯科医師、薬剤師等の有資格者による閲覧が可能になり、より適切で迅速な検査、診断、治療等の実施が可能となります。

診療報酬上での取扱について

医療DXの基盤となるオンライン資格確認の義務化を踏まえ、オンライン資格確認システムを通じた患者情報等の活用に係る評価の見直しが公表されました。(2022(令和4)年10月から施行予定)
マイナ保険証利用時には、利用しない場合よりも、患者負担が小さくなる仕組みとなります。

医療情報・システム基盤整備体制充実加算

医科・歯科

初診(医科・歯科)
加算項目 加算点数 特例措置
(令和5年4月~令和5年12月)
マイナ保険証を利用する場合 2点 2点
マイナ保険証を利用しない場合 4点 6点
再診(医科・歯科)
加算項目 加算点数 特例措置
(令和5年4月~令和5年12月)
マイナ保険証を利用する場合 - -
マイナ保険証を利用しない場合 - 2点
調剤(6月に1回)
加算項目 加算点数 特例措置
(令和5年4月~令和5年12月)
マイナ保険証を利用する場合 1点 1点
マイナ保険証を利用しない場合 3点 4点
厚生労働省:オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関等向けポータルサイト

令和4年10月よりオンライン資格確認を通じた患者情報等の活用に係る評価が見直しされます   

オンライン資格確認システムがデータヘルス改革の基盤となります

「データヘルス改革」とは、健康・医療・介護分野のICTの利活用により国民の健康寿命の延伸と効果的・効率的な医療・介護サービスの提供を目指すものです。
「オンライン資格確認」がデータヘルス改革の基盤となるよう、順次機能が拡大される予定になっています。

データヘルス改革3つのActionプラン

電子処方箋とは

電子処方箋とは、オンライン資格確認等システムを拡張し、現在紙で行われている処方箋の運用を電子で実施する仕組みです。
複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の閲覧が可能となることで、情報共有による関係者間のコミュニケーション促進、質の高い医療サービスの提供、重複投薬等の抑制、業務効率化等が期待されています。

詳しくはこちらをご参照ください。

厚生労働省:オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関等向けポータルサイト

電子処方箋について知りたい方はこちら   

電子処方箋管理サービスの導入費用は補助金申請ができます

電子処方箋管理サービスの導入にかかる費用は、補助金申請ができます。
補助金申請の前提となる条件や具体的な手続き等はこちらをご参照ください。

厚生労働省:オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係医療機関等向けポータルサイト

電子処方箋の導入に関する補助金について知りたい方はこちら   

電子処方箋の導入に関する補助内容

2024(令和6)年3月31日までに電子処方箋管理サービスを導入した医療機関・薬局

施設区分 補助内容
大規模病院(病床数200床以上) 162.2万円を上限に補助
(事業額の486.6万円を上限にその1/3を補助)
病院(大規模病院以外) 108.6万円を上限に補助
(事業額の325.9万円を上限にその1/3を補助)
大型チェーン薬局
(グループで処方箋の受付が月4万回以上の薬局)
9.7万円を上限に補助
(事業額の38.7万円を上限にその1/4を補助)
診療所・薬局(大型チェーン薬局以外) 19.4万円を上限に補助
(事業額の38.7万円を上限にその1/2を補助)
* 消費税分(10%)も補助対象であり、上記の上限額は、消費税分を含む費用額

2024(令和6)年4月1日以降に電子処方箋管理サービスを導入した医療機関・薬局

施設区分 補助内容
大規模病院(病床数200床以上) 121.7万円を上限に補助
(事業額の486.6万円を上限にその1/4を補助)
病院(大規模病院以外) 81.5万円を上限に補助
(事業額の325.9万円を上限にその1/4を補助)
大型チェーン薬局
(グループで処方箋の受付が月4万回以上の薬局)
7.7万円を上限に補助
(事業額の38.7万円を上限にその1/5を補助)
診療所・薬局(大型チェーン薬局以外) 12.9万円を上限に補助
(事業額の38.7万円を上限にその1/3を補助)
* 消費税分(10%)も補助対象であり、上記の上限額は、消費税分を含む費用額

PHR(パーソナルヘルスレコード)とは

PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)とは、個人の健康診断結果や服薬履歴等の健康・医療等情報を、デジタルデータとして統合的に管理し、本人や家族がPCやスマートフォンから閲覧・活用できる仕組みで、健康管理・増進に役立てていこうとする取り組みです。
また、本人の希望によって医師等に提供し診療等にも活用できるようにすることで、より質の高い医療・介護サービスを受けることが可能となります。