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導入事例

三島東海病院 : 静岡県三島市

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導入製品 : Open-Karte AD
院長 : 渕上 知昭先生

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

医療法人社団 福仁会 三島東海病院(院長 渕上 知昭)は、静岡県東部の伊豆半島の中北端に位置し、晴れた日には裾野の向うに雄大な富士が一望できる素晴らしい環境の中にあるケアミックス病院です。今回は、2016年3月から導入を開始され、6月から運用開始された電子カルテシステム「Open-Karte AD」について、渕上院長をはじめスタッフの方々にお話をお聞きしました。

電子カルテの導入でデータ提出の課題を解決し経営改善をめざす三島東海病院を訪ねて

病院の概要と特長についてお聞かせください。

渕上院長 当院は昭和59年12月に開院し、開院当初から「患者さん主体の医療」「患者さんにわかりやすい医療」「患者さんに満足していただける医療」の提供を理念に掲げ、患者に優しく、親切で、思いやりのある医療をめざしています。入院病棟には一般病床12床と地域包括ケア病床43床、療養病床44床を有しており、また介護付有料老人ホーム「サンリッチ三島」を隣接しております。また、三島総合病院、順天堂大学医学部附属静岡病院など、地域とのつながりを意識的に強化しており、最近では医療連携室を設置し、社会福祉士や退院調整ナースを新たに採用しました。

渕上院長と福家事務長

今回電子カルテシステムを導入しようと思われたきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

福家事務長 今ほど院長から病床機能についての紹介がありましたが、当院では2016年10月1日から55床あった一般病床のうち43床を地域包括ケア病棟に転換しました。国が推進する地域包括ケアシステムへ対応すべく病床機能の見直しを図ったわけですが、地域包括ケア病棟の入院料を算定するには施設基準となっているデータ提出をクリアする必要がありました。様式1(簡易診療録情報)やEFファイル(出来高点数の情報)、Hファイル(重症度、医療・看護必要度のデータ)など、データ提出への対応は本当に大変な作業です。急性期の病院であれば医事課の職員も大勢いらっしゃるので対応できるのかもしれませんが、当院は入院専門の医事課職員2名と私の3名で対応しており、病床稼働率を仮に7割としても、現状の人員では対処しきれないのが目に見えていました。そこで今回電子カルテの導入に踏み切ることにしました。

一般病床から療養病床ではなく、地域包括ケア病床にされたのはなぜでしょうか。

福家事務長 この地域では療養病床はすでに飽和気味で、また介護療養病床は平成30年で廃止が予定されています。また、一旦一般から療養病棟に転換した場合は看護師を減らさねばなりませんし、そうなるともう後がなくなるため、地域包括ケア病棟への転換を選択することにしました。ただ、全病床を回復・療養系にしてしまうとそれ以上の伸びしろがなくなるとも考え、あえて一般病床を12床残すことにしました。これにより「一般」-「地域包括ケア」-「療養」と、急性期から回復期・慢性期までを自院でフォローできる体制もとれ、この選択は結果的には良かったと思っています。

放射線科 小松技師

今回弊社の電子カルテシステムを導入いただきましたが、差支えなければ選定に到った経緯を教えていただけますでしょうか。

小松技師 私がこの病院に着任した際には画像管理システム(以下PACS)も入っておらず、まずはPACSを導入しました。PACSは安価なクラウドタイプのものを導入したので、電子カルテも最初はクラウドタイプのものを検討していました。ですが実際に見積をとったところクラウドタイプの電子カルテは意外に高く、院内にサーバを置く富士フイルムヘルスケアシステムズのシステムの方が安かったのです。選定にあたっては富士フイルムヘルスケアシステムズを含め5社のベンダーに声を掛けましたが、2社からはこちらが希望した場所にはサーバが置けないと言われ、残りの3社から選択することになりました。各社にデモを見せてもらいましたが、正直なところこれまで電子カルテを使用したことのない職員ばかりで評価のしようがありませんでした。そのなかで富士フイルムヘルスケアシステムズを選定した理由としては、富士フイルムヘルスケアシステムズの電子カルテには長期的なシステムの拡張性を感じたことと、Webタイプなので往診時に万が一端末を紛失してもデータがPC上に残らないのでセキュリティ面でも優れていると判断しました。

弊社の電子カルテシステムはどこでお知りになられたのでしょうか。

小松技師 システム検討時にはホスピタルショウにも足を運び、各社のブースも見学してまわったのですが、実はその際に富士フイルムヘルスケアシステムズのブースは見ていませんでした。後日インターネットで富士フイルムヘルスケアシステムズがWebタイプの電子カルテを販売していることを知り、ホームページから問合せを入れました。翌日すぐにいつも顔を出してくれている営業の方から連絡があり、驚いたのを覚えています。それまで富士フイルムヘルスケアシステムズの営業さんには画像診断機器のイメージしかなく、そのとき初めていつもの営業さんに連絡すれば良かったのだと気がつきました。

そういった経緯がおありだったのですね。展示ブースにお立ち寄りいただけなかったことは残念ですが、ネットでお知りいただき提案の機会をいただけたことは本当によかったです。

今回導入されたシステムの構成について教えてください。

小松技師 電子カルテ用の端末は保守用のものも合わせてデスクトップ型を30台とノート型を20台設置し、医療辞書を全端末にインストールしています(下図)。またPACSの端末は当初は8台のみでしたが、こちらも今回電子カルテの全端末で使用できるようにしました。その他、心電図ビューアも後から追加し、同じ端末上で参照できる環境になっています。また、リストバンド用のプリンタとバーコードリーダーも導入し、注射の3点チェックも病棟で実施しています。その他にも様式1用として「コードファインダー」をオプションで導入しました。コードファインダーと電子カルテは連動しているので非常に効率的です。入力が漏れている箇所のチェックもかかりますし、電子化したのは本当に正解だったと感じています。コードファインダーは一般的に医事課の端末のみに入れるため5ライセンス程度のようなのですが、当院では看護師がいつでも気兼ねなく入力できるように医事課以外の端末にも入れることにしました。

今回システム導入期間は3月のキックオフから本稼働まで約3ヶ月でしたが、いかがでしたでしょうか。

小松技師 短いとは思いますが、あまり長くとっても疲れてしまいますし、短い期間で集中してやれた印象があります。キックオフは3月でしたが、委員会はそれ以前から開催していましたし、PCやプリンタの台数や部門システムとの接続などのシステム構成はそれまでに十分検討していたのも大きかったと思います。また職員全体のシステム導入に対する温度は稼働数ヶ月前まで低いものでしたが、稼働1ヶ月前には協力してくれるようになりました。電子カルテをすでに導入している施設の見学に参加したメンバーは稼働後の運用を少しはイメージできましたが、それ以外の職員は電子カルテを使用したことがないので、準備をするにしても実機を目の前にして動かしてみないと何もイメージできなかったと思います。

システム導入時に一番苦労されたことは何だったでしょうか。

小松技師 PACSは端末が8台のみでしたので、院内のネットワークは一部しか配線されておりませんでした。そのため、院内全体のネットワーク配線工事が必要になったのですが、今回はこの工事が一番スケジュール的に厳しかったです。ネットワークは別の業者に依頼したのですが、サーバ導入の当日まで作業がかかりました。

その点については提案時に我々からも工期に関する注意をアドバイスできた部分があったと反省しています。

稼働から約5ヶ月が経過しましたが、システム稼働後の状況はいかがでしょうか。

小松技師 稼働初日はスムーズに開始できました。当院の平均外来患者数は70人程ですが、特に外来患者の予約数を減らすことはしませんでした。最初の1ヶ月は細かな部分で運用ルール決めが必要な部分もありましたが、2ヶ月経つ頃には落ち着いていました。システム的は不具合が全くなかったわけでもありません。稼働当初からしばらくの間ですが往診先での画面の切り替わり速度が遅い現象が発生していました。その後富士フイルムヘルスケアシステムズに改善いただき、いまは週3日往診先でフルに活用しています。

電子カルテが稼働して約5ヶ月が経過しましたが、いかがでしょうか。

主藤部長 看護師の7割は電子カルテ未経験者で、私自身も以前勤めていた病院では別のベンダーのオーダリングしか経験がありませんでした。5ヶ月が経過した今では、スタッフはかなり電子カルテに慣れてきました。これまでは稼働前に富士フイルムヘルスケアシステムズに教えていただいた内容でしか操作してきませんでしたが、最近ではより便利な使い方を自分達で模索する余裕もでてきました。

システムを運用されているなかで、苦労されていることはどのような点でしょうか。

主藤部長 当院は一般病棟と療養病棟を有しておりますが、それぞれの病棟間でシステムに関する温度差がある点ですね。委員会にはそれぞれの病棟の代表者に出席してもらっているのですが、足並みをそろえるのが難しいです。具体的には一般病棟では患者のデータベースを必ずシステムに登録していますが、療養病棟ではデータベースを登録しなかったり、一般病棟では看護計画を入力しますが、療養病棟では一度入れたらもうほとんど変更しないなど、使い方や利用頻度にも差があるため仕方がないところもありますが、病棟間で電子カルテシステムの習熟度に差が開いてきている状況です。

主藤看護部長

病棟ナースステーションでの電子カルテ利用風景

電子カルテで気に入ってお使いいただいている機能などございますか。

主藤部長 診療カレンダーをよく参照しています。各病棟まで足を運ばなくても端末でこの画面をみれば、進捗が一目でわかるので重宝しています。また、看護必要度の集計機能もとても便利です。データ提出については当院の看護師は経験者が多いので、直接各看護師に埋めて貰っています。看護師が入力する部分がピンク色になっているので、入力する際にも分かりやすいです。また、入院時と退院時のカルテシステムへの入力は、各看護師が自身の受け持ち分を入力することにしています。

現場では電子カルテをどのようにお使いでしょうか。

主藤部長 病棟ではカートを利用してベッドサイドで直接バイタル等の入力を行っています。複写式の紙の利用は減りましたが、病棟で混注を行っている清潔区域にPCを持ち込めないため、薬と点滴の確認についてはまだ紙で実施しています。また、バーコードによる3点チェックも実施しています。ただ、患者の腕に付けているリストバンドのバーコードの読み込みに手がかかっているので、この部分は富士フイルムヘルスケアシステムズにぜひとも改善していただきたいです。

現場の生のご意見として承りました。現在の3点チェックのシステムにはまだまだ改善の必要性を認識いたしましたので、改善に向けて検討を進めていきたいと思います。

今回電子カルテを導入したことによる効果を感じられている点がありましたらお聞かせください。

主藤部長 システム化したことによって患者ケアの質の向上を実感しています。具体的には髭剃りや入浴など細かい指示と指示受けが統一されましたし、何が終わっていないかも電子カルテの画面で一目で確認できるので看護師毎のばらつきが解消されました。また、医師の口頭指示も殆ど無くなりました。

弊社のサポートについてはどのような印象をお持ちでしょうか。

福家事務長 稼働後は特に大きなトラブルは発生しておりませんが、システムの不具合については当然ですが即時対応いただけておりますし、概ねサポートには満足しています。ただ稼働後のSEの立会期間が1週間では短いと感じました。当院では当直夜勤を18名の非常勤の先生に対応してもらっており、その先生方に誰が操作方法を説明するかが院内で問題になりました。結局は看護師に対応してもらうことになりましたが、稼働当初は看護師もそれほど詳しいわけではないので対応に苦慮しました。

非常勤の先生方への説明については他の導入施設でも懸案にあがることが多いのですが、SEの立会い期間の延長は有償対応となるため一定期間以降はお客様にご対応いただいているのが現状です。ですが、製品の使いやすさを向上させることで、お客様のご負担を少しでも軽減できるよう改善に努めてまいります。

福家事務長 システムは順次バージョンアップによって機能アップや操作性が改善されていくと伺っており、オプション機能以外は保守契約の一環として対応してもらえるのもいいですね。

今後病院として計画されていることがおありでしたらお聞かせください。

渕上院長 当院の一般病棟は、病室の床面積が要件を満たせていないため、地域包括1でなく地域包括2となっています。今回の一般病床から地域包括ケア病床への病棟転換によって収入改善が見込めることから、将来の新築移転を視野に対応を検討したいと考えています。

今回実際に電子カルテの導入をご経験されて、これから導入を検討されている施設へのアドバイスなどございましたらお聞かせください。

福家事務長 地域包括ケア病棟は7:1の一般病床を減らす目的で導入されたと思いますが、15:1の当院くらいの規模の病院が地域包括ケア病棟に転換するにはデータ提出加算をとる必要があります。これをシステム化なしで対応するには相当厳しいと思います。いまは15:1でも黒字の病院は多いですが、今後病院が生き残っていくためには時代の変化への対応が必要で、そのためにも電子カルテを軸としたICT化は必須だと思います。

今回の取材先のご施設様のように、現在病床機能の見直しを検討されている病院は多いのではないでしょうか。今回の取材を通じて、電子カルテの導入によってデータ提出の課題を解決し、病院経営を改善された貴重なお話をお伺いすることができました。今後も弊社の製品の提供を通してより多くの施設様をご支援してまいりたいと思いをあらたにいたしました。
ご多忙の中、長時間にわたり取材にご協力いただきました渕上院長はじめ職員の皆様に感謝申し上げます。