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導入事例

医療法人成仁会 成仁会病院 : 大阪市東淀川区

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導入製品 : Open-Karte AD
院長 : 遠藤 義彦先生

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

医療法人成仁会 成仁会病院(院長 遠藤 義彦)は、大阪のベッドタウン、東淀川区に位置する60床の小規模病院です。
1983年の開院以来、「地域に密着し、きめ細やかで真心のこもった質の高い医療を提供することで、地域社会への貢献を目指す」という基本理念を守り、患者さんに寄り添う丁寧な外来診療、訪問診療や急変時の入院受け入れ、医療と介護のシームレスな連携など、地域包括ケア時代の今、まさに小規模病院に求められる医療サービスの提供に取り組み、地域医療に貢献されています。
今回は、2016年4月より運用を開始された電子カルテ「Open-Karte AD」の導入経緯と現状について、理事・内科部長の遠藤文司先生と事務長の勝岡翌聡様にお話をお聞きしました。

MEDIX Vol.70(2019年11月発行)*1

電子カルテ「Open-Karte AD」を導入
さらなる医療の質向上と地域社会への貢献をめざす

  • *1 文中の社名を、現社名に変更し掲載しております。

より良い医療の提供をめざして

遠藤先生 私が当院に戻ったタイミングで、すぐに電子カルテ導入に向けた検討を開始しました。目的は効率的かつ最適な医療の提供です。

紙カルテ運用に大きな支障があったわけではありませんが、カルテを探す手間と時間がかかります。情報が十分ではない、手書き文字が判読困難などのケースもあります。また、病棟では一人がカルテを記載しているとほかの職員は見ることができませんし、回診時には「カルテの戻り」を待たなくてはならないなど、タイムリーに欲しい情報を得られないことも多々あります。紙カルテ運用の病院では、医師以外の職種が「1冊のカルテを取り合う」などということは日常茶飯事かもしれません。

私たちがめざす「効率的かつ最適な医療の提供」を実現するためには、必要な情報を正確に、かつ分かりやすく記録し、スピーディーに参照・共有する必要がありました。これらの課題を解決するためにはICT(Information and Communication Technology)の力が有効である、すなわち、電子カルテの導入が不可欠だと判断したのです。

「Open-Karte AD」という選択

遠藤先生 導入にあたり、当然ながら複数メーカーの電子カルテを比較検討しました。第一印象として「Open-Karte AD」は視認性が良く、直観的操作が可能であると感じました。洗練されたイメージですね(図1)。

また、Webブラウザで動作するところにも注目しました。故障や増設の際にも端末を用意すれば簡単に対処できますから、導入時のコストはもちろん、維持管理コストの低減効果も期待できます。

そして何より決め手となったのは「Open-Karte AD」稼働施設の見学です。導入に際し疑問に思っていることについて実際の現場でたくさん質問をし、説明を受けました。おかげさまで細かな内容まで理解でき、実用性のあるシステムだと実感しました。

さらに後押しとなったのは、やはり御社の信頼と充実したサポート体制です。地域医療を預かる立場として、情報のセキュアな管理は必須条件ですし、電子カルテは導入後もずっと安心して使えるものでなくてはなりません。当院の規模からするとIT部門の設置はまだ難しい状況にありますから、導入後もメーカーからSE的なフォローを受けられるか否かは重要な要素です。

理事・内科部長 遠藤文司 先生

スタッフの反応

遠藤先生 当初懸念していたスタッフの混乱はほとんどありませんでした。当院は小規模病院であり、医師含め総勢100名というコンパクトな組織だからこその機動力を生かすために、まずは協力体制の構築に努めました。

電子カルテ導入決定を通達した際、すぐに「嬉しいです!」と言ってくれたスタッフはほんの数名でした。多くのスタッフはパソコンに不慣れで「電子カルテなんて、見たことも、触ったこともない!」という状況にありましたが、患者さんにとって最適な、密度の濃い医療の提供をめざしたいという想いを真摯(しんし)に伝え、理解してもらえたことがスムーズな電子カルテ導入につながったのではと考えています。

勝岡翌聡 事務長

導入前トレーニング

勝岡事務長 スタッフの理解を得たとはいえ、正直、キーボード操作も不慣れなスタッフが少なくありませんでしたから、まずは「パソコンに慣れる」ところからのスタートです。とにかく「覚えてしまえば、あとは楽になる!」と言い聞かせ、日々意識を変えるようにしました。

システム導入までに設けた準備期間は、操作トレーニングやデータ移行等を含め約3か月。2016年1月から準備を開始し、同年4月で本稼働をスタートさせました。

富士フイルムヘルスケアシステムズに端末を用意してもらい、空いた時間に各自で自主的な操作トレーニングを行うよう促しました。期間が短いように思えるかもしれませんが、念には念をと準備期間を長く取り、例えば1年前にスタートしたとしても、効果は同等かそれ以下だったのではと思います。「導入はまだ1年先」と感じてしまえば、忙しい業務の中、操作トレーニングが後回しになってしまうのは目に見えています。

おかげさまで「Open-Karte AD」は操作の煩雑さや複雑さはなく、看護師をはじめとしたコメディカルの現場目線にたった視点で作られていますので、今となっては「覚えたら楽になる」が現実となり、若いスタッフはもちろん、これまでパソコンを使い慣れていなかった職員も含め、皆さん見事に使いこなしてくれています。

クラーク入力で電子カルテに対応する遠藤院長

導入後の効果

遠藤先生 よく、「電子カルテを導入すると医師はPCの画面を見たまま患者さんの顔を見なくなる」と言われますが、患者さんとしっかり顔と顔を合わせて診察しない医師は、紙カルテでも同じことなのではと思います。

当院は、患者さんに寄り添うきめ細やかな診療をめざしていますので、電子カルテ導入前から医師は意識して患者さんの顔をしっかり見ながら診療することを心がけています。これまで特に「電子カルテになってから、先生がこちらを見てくれない」といったお言葉を患者さんからいただいたことはありません。

電子カルテの導入に伴い、まず当初の課題であったカルテの質向上はクリアできたのではないでしょうか。手間をかけずとも、十分必要な情報を記載したカルテが容易に作成できるようになったと評価しています。院長も現役で診療を続けていますが、クラーク入力というスタイルを取ることで、すっかり順応しています。

また、過去のデータも含めた時系列での状況把握、多職種との情報連携がスムーズに行えるようになりました。いつでもどこでもカルテの閲覧・入力が行えるよう、クライアント端末は増設を続け最適化を図りました。結果として、全体を俯瞰(ふかん)した密度の濃い医療が提供できるようになったのではと考えています(図2)。

経営的な観点からすると、超音波検査のような検査や、さまざまな消耗品を使用するような各種処置に関する発生源入力が徹底できるようになったのは大きな効果です。すぐ手の届く場所に電子カルテの端末が設置されていますから、患者さんが診察室から退出したあと、あるいは医師が医局などに移動してからでも、そこにある電子カルテに必要事項を入力すれば確実に実施情報が会計に伝わります。

紙カルテでは記入漏れがあった場合、わざわざ会計に移動したカルテを追って実施記録を記入する必要がありますから、どうしても「まあいいか」という意識が先行してしまいます。必然的に請求漏れにつながりやすい環境にあったことは否めません。

勝岡事務長 カルテの質向上に伴い、医事課の業務は非常に楽になったという印象があります。医師に確認する手間や時間は削減され、正確でスピーディーな会計処理ができるようになりました。

レセプト作成時には、レセプトチェックソフト「べてらん君コラボ」が担当者に代わりしっかりと点検してくれます。電子カルテは医事課の業務省力化にも、大きく貢献したと実感しています。

さらなる改善に向けて

遠藤先生 電子カルテは導入がゴールではなく、日々の変化に応じて毎日少しずつ運用改善をしていく必要があると考えています。変化というのは、医師の診療スタイルやスタッフの意識、患者さんのニーズ、社会情勢等を含めた私たちを取り巻く全ての環境を指します。

たとえ話をすると、炊飯器は「お米を炊く」のがミッションであり、購入後すぐにその目的を果たすことができます。それ以上の期待はありません。しかしながら、電子カルテは導入すればそれだけで目標が達成されるというものではありません。医療サービスは日々の改善が求められます。昨日より今日、今日より明日と少しずつ電子カルテの運用に改善・工夫を重ね、理想的な医療環境を整備していきたいと考えています。

これから期待したいのは、医療統計や患者横断的なデータ解析です。私どものような小規模病院では、IT投資には限界があります。電子カルテに蓄積したデータをうまく活用し、さらなる改善につなげたいと思います。

医療と介護のシームレスな連携

遠藤先生 私たちがみている患者さんの多くは高齢者です。訪問診療に対応する患者さんは年々増加し、施設に入居される方も少なくありません。今後さらに医療と介護のシームレスな連携が求められることは間違いありません。

今年度よりリハビリテーション室を拡充したほか、来年春には系列のサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を開設する予定です。地域の医療ニーズの変化に柔軟に対応することで、さらなる地域貢献に取り組んでいきます。

今年度より拡充したリハビリテーション室

サービス付き高齢者向け住宅「シンフォニア豊里」
(2020 年5月開設予定)

今回取材させていただいた成仁会病院様のような小規模病院(200床未満)は全国に約5,800施設、病院全体の約7割を占めています。
地域包括ケアシステムにおいて重要な役割を期待されている中小規模病院ですが、電子カルテ導入率は全体の約1/4と未だ低い状況にあります。
電子カルテ導入の検討にあたり、導入コストや教育面での負担が課題となりますが、成仁会病院様のように、効率的で質の高い医療サービス提供の実現において電子カルテは非常に有効なツールであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
末筆ながら、このたびご協力いただきました遠藤先生、勝岡事務長に心より御礼申し上げます。