日本

導入事例

板橋区医師会(東京都板橋区)/東京医科大学病院(東京都新宿区)

23区初の完全オンラインシステムを実現した区民の健康を想う医療人の“情熱”

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このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

東京都板橋区における対策型胃内視鏡検診事業の始まりは2019年11月。その根幹をなすのは、厳正な個人情報管理と効率的な読影を実現する独自のマニュアル「板橋ルール」と、ダブルチェック共有サービス「ASSISTA Medical check-ES」

  • * 本記事は取材日時点の情報であり、記事の内容や、施設名、所属、役職などは最新の情報とは異なる場合があります。

(左から)太田先生、安田先生、矢郷先生、風見先生、小林先生

太田内科クリニック 院長
太田 昭彦 先生

医療法人社団叡宥会 安田病院 院長
安田 武史 先生

やごうクリニック 院長
矢郷 祐三 先生

風見医院 院長
風見 明 先生

医療法人社団正風会 小林病院 院長
小林 匡 先生

対策型胃内視鏡検診の実施経緯は。

矢郷先生 全国各地で対策型胃内視鏡検診が続々と実施されている流れを受け、2017年5月に内視鏡検診準備委員会(現 運営委員会の前組織)を設置し実施に向けた検討を始めました。現 運営委員は病院側が医師2名、クリニック側が医師3名とバランスが良く、色んな視点で議論ができました。

安田先生 運営委員同士の考えをまとめるうえで、意見交換の積み重ねが大事でしたね。顔を合わせて対話するだけでなく、細かなことはメールでやり取りしていきました。

矢郷先生 議論を重ねるなかで課題として挙がったのが、検査医師をはじめとした検診に関わる人々の労務環境の改善です。その解決策候補が、インターネットを介してデータのやり取りができ、自院読影も可能なクラウドシステムでした。

太田先生 日々の臨床に加えて読影業務を兼務することは、検査医師にとって心理的にも体力的にも大きな負担になります。複数社のオンプレミスサーバーやクラウドサーバーを検討した結果、富士フイルムのASSISTA Medical checkup-ES(以下、AMCES)が効率的な読影業務をサポートし、コスト面においても中長期的な事業に適したシステムだと判断。板橋区医師会の了承を得て、自治体に要望書を提出し、2018年3月にAMCESの導入が正式に決定しました。

AMCESを運用する際に留意した点は。

矢郷先生 区民の個人情報を取り扱うため、自治体からは厳重なセキュリティ構築の要望がありました。そこで、検診用PCの条件や受診者の姓名を読影画面に表示しないなどの、板橋区独自の対策型胃内視鏡検診マニュアル「板橋ルール」を策定。富士フイルムには、検診施設に周知するための分かりやすいルールの明文化に協力いただくとともに、ルールに則ったシステム画面のカスタマイズに尽力いただきました。

太田先生 読影業務面では、検診データは即日クラウドに登録し、週明けに二次読影医に振り分けることをルール化しました。検査医師は決まった周期で読影業務ができ、受診者も短期間で検診結果が受け取れるメリットがあります。

小林先生 『一次読影医が検診全体の責任をもつ』という点も、板橋区の特徴です。二次読影医はあくまでセカンドオピニオンというスタンスは、一次読影医の検診に対する意識の向上、スキルアップにつながっていると思います。

安田先生 判断が難しい症例の場合は、板橋区の対策型胃内視鏡検診事業のアドバイザーを務める東京医科大学病院内視鏡センター主任教授・河合隆先生に相談できる点は心強い。いわば“三次読影医”を据えた盤石の体制は、対策型胃内視鏡検診に取り組むうえでの大きな安心材料になりました。

対策型胃内視鏡検診の将来展望は。

矢郷先生 今年度は検診対象を70歳代まで広げたことで、検診数が大幅に増える見込みです。新たに加わる参加施設がスムーズに検診事業にマニュアルを分かりやすく伝えていきます。また、アンケートで参加施設から意見を吸い上げ、より良い検診の仕組みをつくっていきたいです。

風見先生 当院も今年度から参加する検診施設のひとつです。昨年度の実績をふまえ、セキュリティ面や運営体制について信頼しています。着実に発展する板橋区の検診事業に貢献していきたいです。

矢郷先生 これからは間違いなくクラウドの時代。他の検診においてもクラウドという選択肢は一般的になってくると思います。だからこそ、試行錯誤しながら板橋区独自の検診システムを確立し、多様な検診事業の“先駆け”として活用されれば何よりです。

対策型胃内視鏡検診の実施、クラウドシステムの導入を検討している自治体様に向けてアドバイスを。

小林先生 検診事業においてセキュリティ体制は特に重要であり、クラウドシステムは前例が少ない分、不安に思う部分もあるかもしれません。AMCESにおいては、医療情報安全管理関連ガイドラインを満たしていることがセキュリティの厳重さを物語っています。この確かな証を信用して突き進む前向きな気持ちが、対策型胃内視鏡検診を実現するうえで大事だと思います。

矢郷先生 検診事業を実現させるためには、ゴールを設定し、チームを牽引するリーダーの存在が不可欠です。そして、自治体から託された“健やかな地域づくり”というミッションに応えようとする情熱が、検診事業の成功に向けた推進力を生むと考えています。ぜひ忌憚ない議論を重ねながら、“ONETEAM”としての結束力を高め、地域住民の健やかな生活をサポートする検診体制を構築していただきたいです。

胃内視鏡検診の有用性は。

河合先生 2016年4月に対策型胃内視鏡検診として内視鏡が推奨されて以降、検診数は着実に増加しています。その背景には、従来のX線検査と比較して胃がん発見率が高いことが挙げられます。胃がんを早期段階で発見することができ、早期発見時には内視鏡的切除で対応し、患者の身体的負担を低減することが可能。他の病気を併発するリスクを考慮すると、腹腔鏡手術より優位性があると思います。日本の検査医師における内視鏡スキルは高く、早期がんの発見に寄与していると感じますが、さらなるスキルアップを求めたいところです。

内視鏡検診においては若手の検査医師も意欲的に臨んでいる印象です。ただ、対策型胃内視鏡検診に携わるのは専門医ばかりではないため、検診クオリティの均一化は必要です。その課題を補うのが、二次読影医によるダブルチェックだと考えています。

東京医科大学病院 内視鏡センター 主任教授
河合 隆 先生

対策型胃内視鏡検診におけるAMCESの有用性は。

河合先生 所見や問診情報の項目が選択式のためスムーズな入力が可能であり、二次読影で異常がない場合にはボタンひとつで入力を完了できるため、読影業務全般の効率化につながります。私が対策型胃内視鏡検診のアドバイザーを務める板橋区では、自治体が要望する厳重なセキュリティをAMCESが満たしていたことも導入を後押ししました。利便性と安全性を両立した対策型胃内視鏡検診を実施する板橋区の事例は、クラウドの利便性を認識しながらも個人情報保護の観点から決断に至らない自治体・医師会にとって大いに参考になると思います。

AMCESはまだまだ伸び代があるシステムなだけに、クラウドを介したe-ラーニングやAIを用いたダブルチェックのサポートなど、今後期待する機能は枚挙に暇がありません。地域医療に日々貢献する先生方の検診業務を効率化し、日本全体の検診レベルを底上げするシステムへとバージョンアップしていってほしい。これは、内視鏡システム・クラウドネットワーク・AI技術・セキュリティ体制を網羅する富士フイルムだからこそ湧き上がる期待です。

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