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ポータブルエコーのインタビュー

令和2年度診療報酬改定後 在宅医療におけるポータブルエコーの活用と保険点数【定期診療のケース】

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

この記事では、4月1日から施行の診療報酬改定における、定期診療時の超音波診断装置(ポータブルエコー)の活用と保険点数について、症例を通してご紹介します。

ポータブルエコーを活用した際の診療報酬(保険点数)改訂の背景について

往診にポータブルエコーを活用した際の診療報酬(保険点数)について

住まい:神奈川県
性別:男性
年齢:80代前半
家族構成:独居。ただし、自宅近くに介護力のある娘夫婦が住んでいる。
症状の概要:終末期の胆管がん

以前に経験した患者さまのケースです。神奈川県在住の80代男性の木村正幸さん(仮名)は終末期の胆管がんを患っていました。

病状的には手の施しようがなく、病院では緩和ケアの病棟を勧められていました。しかし、木村さん本人が最期は自宅で過ごすことを希望され、在宅医療に変更となりました。胆汁を適宜抜く必要があったので、PTCDを施した状態での帰宅でした。木村さんは奥さまと死別されて一人暮らしなのですが、近所に住む娘さん夫婦が介護をされていました。

2回目の定期診療に行った際、木村さんは微熱がありました。がんを患っていると腫瘍熱が出るので、問題視するほどではなかったのですが、胆汁の排液量が少量だったのが気になりました。PTCDから胆汁量が少ないのに熱が出ている場合、PTCDが効いていないことが考えられます。そうなると、閉塞性胆管炎になっている可能性があります。

胆管炎になると敗血症になりやすくなります。最期は自宅での暮らしを希望されたにも関わらず、苦しい思いをしながら過ごすことになってしまったり、症状の悪化によって病院へ戻らざるを得なくなったりする可能性もあったので、早い段階で確認したいと考えました。

そこでポータブルエコーを活用し、胆のうの状態を見た結果、胆管の拡張はないことが確認できました。また、腹水をチェックするためにポータブルエコーを当てました。これは、次回以降の定期診療時の腹水量と比較するためです。

そして、その日のうちに血液検査もしたところ、胆管炎ではないことが確認できました。胆汁の排液量は少なかったのですが、胆管炎ではないことが判明したので、PTCDも正常に作動していることがわかりました。胆管炎の可能性を除外できたので、微熱に関しては腫瘍熱と判断し、微熱剤を処方しました。

定期診療後、手技の内容をカルテに記載します。私たちは電子カルテを使用しているため、木村さんのご自宅を出た後、次の訪問先へ行くまでに車の中でパソコンに入力しました。

具体的な記入内容ですが、「微熱あり。PTCDからの排液量が少なかったためエコーを施行。管内胆管の拡張はなし。その他、腹水が少しあった」というような所見と、画像の登録です。画像に関しては、胆管と腹水の画像を1枚ずつ、計2枚をアップロードしました。

胆管

腹水

この症例が、400点の保険点数として算定されるケースです。

最後に、今回の症例・ポータブルエコーの活用ポイントについてまとめておきます。

症状把握:患者は終末期の肝門部胆管がん。病院で緩和ケアを進められたが、患者本人が自宅での療養を希望したため在宅医療に変更した。その際、PTCDを施した状態で帰宅。2回目の定期診療の際、微熱があり、胆汁の排液量は少なかった。

ポータブルエコーの活用を決断した理由;胆管炎の疑いがあったため、胆管が拡張していないか確認する必要があった。また、PTCDが作動していない場合、高熱が出てしまい、胆管炎や敗血症になる可能性があったため。

活用結果:胆管の拡張がないこと、またPTCDも問題なく作動していることを確認。

活用の効果:血液検査を実施し、胆管炎ではないことを確認できた

活用のポイント:胆管炎を疑った際、その日のうちに結果を確認することができた。結果、胆管炎ではないことが判明したため、腫瘍熱としての微熱剤を処方できた。

保険点数:定期診療時の検査のため400点

ポータブルエコーを活用した際の診療報酬(保険点数)改訂の背景について

往診にポータブルエコーを活用した際の診療報酬(保険点数)について

医師 / 在宅
一般社団法人medX 神田川訪問診療所 診療部長/悠翔会在宅クリニック川崎 前院長
宮原 光興 先生

出身大学:東京医科大学

主な経歴:東京都済生会中央病院、東京警察病院、東京医科大学病院など

専門(学会等):日本外科学会認定外科専門医、日本外科学会、日本消化器内視鏡学会、日本大腸肛門病学会、日本消化管学会

在宅医療に関わるきっかけ:もともと外科医として病院に勤務していましたが、独居の祖母が認知症やがんにかかり在宅療養を開始した際に在宅療養の知識がなく適切なサービスを提案できなかった経験が、在宅医療を始めるきっかけになりました。

患者さんの人生に寄り添うために、地域の皆さんと協力しながら診療させていただいていることに日々大きな喜びを感じております。