日本

ポータブルエコーの使用事例

ベッドサイドで問題解決・患者さんの苦痛軽減に
看護の現場におけるポータブルエコー活用

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

看護 / 病棟
京都民医連中央病院
看護師 堀江 晃 さん
看護師 塚本 悠季 さん

京都民医連中央病院 看護師 堀江 晃 さん

私が担当しているのは、80代後半~90代というご高齢な患者さんです。自分の症状を訴えられない人が多く、言葉にできたとしても、たとえば「おしっこがしたい」と言えずに「おなかが痛い」と表現してしまうなど、不正確なことも少なくありません。ですから、疑わしいと思った部位にさっとプローブをあてて体の内部の画像をチェックできるポータブルエコーは、正確なアセスメントのために非常に役立っています。日頃の病棟を回るときには、すぐに使える状態で常に持ち歩き、1日2、3回は使用しています。

使用場面はさまざまですが、なかでも多いのは膀胱を見るケースです。たとえばお腹が張っているのに、おしっこがあまり出ていないとき。お腹の張りが、おしっこによるものなのか、そのほかの原因なのかの鑑別に使用します。おしっこ由来であれば導尿をし、尿でなければ医師に報告をすることになります。これまでなら、腹部CTを撮ったり、写真を撮ったりということをしていました。それがエコーによってベッドサイドで解決できるようになったというわけです。

便秘のときは、便の位置を把握するために使います。プローブをあてて、まず直腸に便があるかどうかを確認し、下行結腸からS状結腸とずっと追っていきます。基本的には、直腸にあれば浣腸をし、それより上の場合は下剤を飲んでいただきます。先日、便秘5日目の患者さんにエコーをあてたところ、口から栄養をとっていないため直腸には便はなく、さらに出血傾向もみられていました。それで、浣腸をする必要はないという判断をしました。もしもエコーが使えなかったとしたら、浣腸をしていたケースだと思います。

ポータブルエコーを使う最大のメリットは、このように患者さんに対するケアの質を高めることができるということではないでしょうか。

京都民医連中央病院 看護師 塚本悠季さん

ポータブルエコーは、スマホ感覚で携帯できるうえ、ワイヤレスなのでベッドサイドでの取り回しもよく、非常に使いやすいと思います。

これまでは、何が起こっているのかわからないなかで、直腸診をしてみる、導尿をしてみる、それでもわからなかったら医師に報告する、と手探り状態ですすめてきました。それが、ポータブルエコーによって、気になったらすぐにプローブを当てて、症状を裏付ける所見があるかないかを視覚的に確認できるようになりました。このことの意味は大きいと思います。

というのも、手探りであったためにこれまで患者さんに与えてきた不要な苦痛を、減らすことができるからです。私が担当している患者さんで、エコーで確認しながら、膀胱に尿が150ml以上溜まった場合だけ導尿している人がいます。この人の場合、もしもエコーがなかったら、機械的に8時間ごとに管を入れて導尿するという処置をしていたはずです。管を入れてみて「残尿はないですね」という処置は、苦痛を与えるだけでなく、尿管を傷付けるリスクを無駄に増やすことにもなります。エコーによって、尿の量をはかり「様子をみましょう」という判断ができる。患者さんにとってのメリットはとても大きいと言えます。

また、自分たちで判断がつかず医師にコンサルする場合でも、「排尿がありません」という状況を伝えるだけではなく、エコーでの所見をもとにアセスメントし報告することができます。また、患者さんへの状況の説明も自信をもって行うことが可能になり、患者さんの安心感を高めることにもつながると思います。