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日本
ニュースリリース

2021年5月18日

富士フイルムグループのFUJIFILM Cellular Dynamics・Opsis TherapeuticsとBlueRock Therapeutics

iPS細胞を用いた眼疾患治療法の研究開発における戦略的提携に合意

このニュースリリースは、報道機関向けに発信している情報です。

富士フイルムグループのFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(FCDI)・Opsis Therapeutics, LLC(オプシス社)と、大手製薬企業Bayer AG(バイエル社)の子会社であるBlueRock Therapeutics LP(ブルーロック社)は、このたび、iPS細胞を用いた眼疾患治療法の研究開発における戦略的提携に合意しました。

FCDIはヒトiPS細胞の開発・製造・販売の世界的なリーディングカンパニー、オプシス社は医師であり眼科領域で最先端の研究を進めるDr. David GammとFCDIが設立した網膜疾患治療法の開発会社、ブルーロック社は臨床ステージを中心に事業展開するバイオ製薬企業です。3社は、今回の戦略的提携により、互いの技術や知見を結集させて、iPS細胞を用いた眼疾患治療法の研究開発を推進していきます。また本提携に基づき、ブルーロック社は、現在FCDI・オプシス社が研究開発を行っている、非臨床段階の網膜疾患治療プログラム3件の独占ライセンスを取得できるオプション権を得ます。なお、3件の治療プログラムは、他家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞・視細胞を用いた細胞治療薬の研究開発プログラムで、加齢黄斑変性症および網膜色素変性症を対象としています。

今回の提携は、「網膜疾患に対する、ベスト・イン・クラスの細胞治療法を開発する」というFCDI・オプシス社の使命と、「新世代の細胞治療法を開発する」というブルーロック社の使命が、戦略上、合致したものです。

FCDIの山本武CEOは、「今回の提携では、FCDIとオプシス社が持つiPS細胞作製技術・ノウハウと網膜疾患に対する知見、ブルーロック社の細胞治療に関する研究開発の経験を生かし、次世代の眼疾患治療法の実現を目指します。眼疾患の進行を抑制し、患者さんの視力を取り戻すための細胞治療法の研究開発をブルーロック社とともに進められることを嬉しく思います」と述べています。

またオプシス社のNick Manusos CEOは、「現在、世界で数百万の患者さんが、治療法のない眼疾患により視力を失っています。高品質iPS細胞由来のヒト網膜細胞の作製に関する私たちのイノベーションと、パートナーの専門知識を一体化することで、患者さんとそのご家族に希望を与える治療法を開発できるポテンシャルが高まります」と述べています。

ブルーロック社のEmile Nuwaysir(Ph.D.)社長兼CEOは、次のように述べています。「信頼性の高い細胞は、加齢黄斑変性症や網膜色素変性症といった網膜疾患の治療における画期的なアプローチであると確信しています。ブルーロック社とFCDI・オプシス社が、今回のパートナーシップを通して、それぞれの強みを発揮し、バイエル社が持つ眼科領域における専門知識と組み合わせることで、急速に進展するこの領域をリードし、何百万もの人々の生活を大きく改善できる可能性を高めていきます」

今回の戦略的提携にあたって締結した契約の条件に基づき、FCDIとオプシス社は、3件の網膜疾患治療プログラムの開発に関して、契約一時金(3千万ドル)と研究開発および治験薬製造の一部にかかる資金(最大4千万ドル)を受領します。また、開発および販売の進捗に応じたマイルストンと、10%前後を料率とする販売ロイヤリティを治療プログラム毎に受け取る権利を有しています。一方、ブルーロック社は、治療プログラムごとに独占的にライセンスを取得できるオプション権を保有。本オプション権は、各治療プログラムの開発および販売の責任を伴うものです。また生産に関しては、治験薬製造をFCDIが、商業生産を両社が担う予定です。

加齢黄斑変性症および網膜色素変性症について

加齢黄斑変性症は、失明および視力障害を引き起こす主な原因となっています。専門家によると、本疾患の患者数は、2050年までに全世界で2,200万人に達すると予測されています。また、網膜色素変性症は、15~45歳の失明の主な原因です。失明性網膜疾患の治療というアンメットニーズに対応するため、今回の提携を通じて必要な技術と知見を結集させ、加齢黄斑変性症および網膜色素変性症に対する、細胞を用いた治療法の開発に取り組んでいきます。

富士フイルムグループについて

FCDIは、創薬および細胞治療に利用されるiPS細胞の開発・製造におけるリーディングカンパニーです。iPS細胞技術・ノウハウを生かし、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症、がん免疫などの分野におけるアンメット・メディカル・ニーズにこたえるための細胞治療製品の開発に取り組んでいます。自社のiPS細胞プラットフォームを利用し、パートナー企業が臨床開発を進めるための開発・製造受託(CDMO)サービスを展開しています。また、新薬の毒性試験や標的分子の同定に用いられる創薬支援用ツールも提供。本ツールには、幅広いラインアップを持つヒトiPS細胞由来分化細胞「iCell®」や、疾患患者由来のヒトiPS細胞から分化誘導したオーダーメイドの細胞などがあります。FCDIの目標は、iPS細胞の高い有用性を活用して人々の健康を増進させ、世界中の患者のQOLを向上させることです。FCDIに関する詳細は、www.FujifilmCDI.comをご覧ください。

富士フイルムホールディングス株式会社は、絶え間ないイノベーションを通じて培った知識と基盤技術を生かし、世界の幅広い産業に最先端のソリューションを提供しています。独自のコア技術により、ヘルスケア、高機能材料、ビジネスイノベーション、イメージングなど、さまざまな分野に貢献しています。これらの分野における製品とサービスは、化学、機械、光学、電子およびイメージングの広範な技術ポートフォリオに基づいています。2021年3月期の同社の売上高は2兆1,925億円です。富士フイルムホールディングスに関する詳細は、www.fujifilmholdings.comをご覧ください。

オプシス社について

オプシス社は、眼疾患に特化した細胞治療法の開発を手掛けています。iPS細胞から網膜細胞への分化誘導法や、機能性生体材料におけるイノベーションを駆使し、加齢黄斑変性症や遺伝性黄斑変性症、網膜色素変性症の細胞治療法の開発に取り組んでいます。オプシス社は、FCDIと最先端の科学者で医師でもあるDr. David Gammにより2016年に設立された合弁会社で、本部はウィスコンシン州マディソンにあります。オプシス社に関する詳細は、www.opsistx.comをご覧ください。

ブルーロック社について

ブルーロック社は、大手製薬企業バイエル社の完全子会社で、難治性疾患を対象とする再生医療製品の開発を使命とする、細胞治療におけるリーディングカンパニーです。独自の「cell+gene」プラットフォームによって細胞の力を生かし、中枢神経や心臓、免疫領域の疾患に対する新しい治療法の開発に取り組んでいます。ブルーロック社の細胞分化技術は、細胞の発生を反復させ、機能を追加した信頼性の高い細胞治療を生み出します。損傷または変性した組織を置き換える細胞治療の活用によって、失われた機能を回復、または再生できる可能性があります。ブルーロック社の企業文化は、科学のイノベーションや最高水準の倫理基準、そして、待ち望んでいるすべての人々に変革的な治療法をいち早く届ける使命感によって形成されています。ブルーロック社に関する詳細は、www.bluerocktx.comをご覧ください。

バイエル社について

バイエル社は、ヘルスケアと食糧関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。その製品とサービスを通じて、世界人口の増加と高齢化によって生じる重要課題克服への取り組みをサポートすることで、人々の生活と地球の繁栄に貢献しています。バイエル社は、持続可能な発展を推進し、事業を通じて良い影響を創出することに尽力します。同時に、収益力を高め、技術革新と成長を通して企業価値を創造することも目指しています。バイエルブランドは、世界各国で信用と信頼性および品質の証となっています。グループ全体の売上高は414億ユーロ、従業員数は100,000名(2020年)。特別項目計上前の研究開発費は49億ユーロです。バイエル社に関する詳細は、www.bayer.comをご参照ください。

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富士フイルムホールディングス株式会社
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ

BlueRock Therapeutics
Lara Steele
Director, Corporate Communications

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