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コンピューター用塗布型磁気テープ「富士フイルムDLT tapeⅣ」が国立科学博物館「重要科学技術史資料」に登録

2021年9月1日

富士フイルム株式会社が1996年に発売したコンピューター用塗布型磁気テープ「富士フイルムDLT tapeⅣ」が独立行政法人国立科学博物館(以下、国立科学博物館)により、「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録されました。

[画像]コンピューター用塗布型磁気テープ「富士フイルムDLT tapeⅣ」

コンピューター用塗布型磁気テープ「富士フイルムDLT tapeⅣ」

「重要科学技術史資料」の登録制度は、「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つ科学技術史資料」および「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えた科学技術史資料」の保存と活用を図り、科学技術を担ってきた先人たちの経験を次世代に継承していくことを目的として、国立科学博物館が2008年より実施しています。

今回登録された「富士フイルムDLT tapeⅣ」は、当社の「ATOMM*1技術」を初めて採用したコンピューター用塗布型磁気テープで、来るべきIoT・ICT時代のデータ記録媒体として磁気テープが普及していく先駆けとなった製品です。

1992年に当社が開発に成功した「ATOMM技術(極薄層塗布型メタルメディア技術)」は、大量生産に適した塗布方式で、微粒子磁性体を分散させた塗布液をベースフィルム上に均一に塗布してサブミクロンオーダーという極薄層の磁性層を形成する技術です。これにより、大容量で安定的なデータの読み書きが可能な走行耐久性に優れた磁気テープの供給を可能としました。本技術はコンピューター用塗布型磁気テープのデファクト技術になるとともに、次世代の磁気テープの技術開発にも継承されています。これらの点が評価されて、今回「重要科学技術史資料」に登録されました。

  • *1 Advanced Super Thin Layer & High Output Metal Mediaの略

開発の背景

本技術開発当時、大容量なコンピューター用磁気テープの需要が拡大し、またビデオテープなどの民生用テープ、業務用テープの記録方式がアナログからデジタルへ急速に転換するなど、デジタル磁気記録メディアは、大容量化・高性能化とともに低コストで大量生産ができることが求められていました。この背景から、当時実用化されていた蒸着方式に比べて広幅・高速・連続生産が可能で、かつコスト・量産面で有利な塗布型による極薄層デジタル磁気記録メディアの開発が必須となりました。

「ATOMM技術」の概要

当時の塗布型磁気テープの磁性層の厚みは3~5μm程度でしたが、デジタル信号を記録するには磁性層の厚みをさらに薄くする必要がありました。一方で0.5μm以下の薄い磁性層を直接ベースフィルム上に均一に形成することは技術的に困難でした。そこで、非磁性層を超薄層磁性層の下に設け2層構造にするという新しい層構成と、それを一度に形成する同時重層塗布技術を開発しました。これにより単層塗布では困難だった0.1μmまで磁性層を極薄層化することに成功しました。「富士フイルムDLT tapeⅣ」は従来の1/10となる0.3μmの磁性層を実現し、従来のコンピューター用磁気テープに対して記録容量を約8倍向上させました。さらに、2層構造を活用して非磁性下層に潤滑剤を保有させることで、テープ走行を繰り返す度に磁気ヘッドとの摩擦により減少する磁性層表面の潤滑剤を補給する仕組みを実現し、優れた走行耐久性を実現しました。

[図]ATOMM技術による磁気テープの層構成断面図

ATOMM技術による磁気テープの層構成断面図

特長と効果

本技術は、コンピューター用磁気テープ、高容量フロッピーディスク、放送用デジタルビデオテープに採用され、増大するデジタルデータの保管、デジタル画像の高画質化に貢献しました。本技術を発展させた「NANOCUBIC技術」*2では、0.1μmを切るナノオーダーの磁性層厚みを実現し、更なる高密度、大容量化を達成しました。

富士フイルムは、世界シェアNo.1*3のコンピューター用磁気テープメーカーとして、お客さまのニーズと信頼にお応えする高性能・高品質のメディアやサービスを開発・提供し、世の中の社会課題の解決に取り組んでいきます。

  • *2 高密度の磁気記録を実現する富士フイルム独自のナノ薄層塗布型磁気テープ技術。磁性体の微粒子化を実現する「ナノ・パーティクル技術」、微粒子化した磁性体を均一に分散・配列させる「ナノ・ディスパージョン技術」、超薄層塗布を実現する「ナノ・コーティング技術」から構成されます。
  • *3 生産者シェア。当社調べ。

お問い合わせ

富士フイルム株式会社 記録メディア事業部