富士フイルム株式会社は、一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)が設立した「Green x Digitalコンソーシアム」に参画したことをお知らせいたします。
調査会社のインターナショナルデータコーポレイション(IDC)によると、データ量の増大によりエネルギー消費量が増加し、CO2排出量の増加も招くことが報告されています*1。
磁気テープは、大容量データを低コストで安全に長期保管できることに加え、特にデータの保管時に常時通電する必要がないことから、環境負荷を大幅に低減するデータストレージソリューションとして注目されており、IDCが発行するホワイトペーパーにおいても、磁気テープストレージを活用していくことの必要性が提言されています。
JEITAは今後「Green x Digitalコンソーシアム」の中で「データセンターの脱炭素化」をテーマとしたワーキンググループの設置を検討することを公表しています。当社は、本コンソーシアムにおいて、環境負荷を大幅に低減することができる磁気テープストレージの活用を提案し、データセンターの関連事業者やユーザーをはじめ、関連企業や電力会社などとともに、「データセンターの脱炭素化」の実現を推進していきます。
当社は、世界シェアNo.1*2のコンピューター用磁気テープメーカーとして、お客さまのニーズと信頼にお応えする高性能・高品質のメディアやサービスを開発・提供し、IoT・DXの進展に伴い急増するデータストレージ需要に応えるとともに、データセンターの脱炭素化の実現など世界的に対応が急務となっているCO2排出削減に貢献していきます。
参考情報
JEITAについて
JEITAは、Society5.0*3に向けた社会課題を解決するためにあらゆる産業を繋げ、IT/エレクトロニクス産業を中核にしたステークホルダーを結節するプラットフォームを実現する業界団体です。
「Green x Digitalコンソーシアム」について
JEITAは、企業のカーボンニュートラル化と産業・社会の変革につながる新たなデジタルソリューションの創出・実装を推進するため、「Green x Digitalコンソーシアム」を2021年10月19日に設立しました。本コンソーシアムでは、環境関連分野のデジタル化や新たなビジネスモデルの創出等に係る取り組みを通じて、日本の関連産業が世界のグリーン市場を牽引することを目指し、活動していきます。
磁気テープについて
昨今、5Gと高精細な4K・8K映像の登場やIoT・DXの進展、AIを用いたビッグデータ解析の普及などにより、世の中のデータ量は爆発的に増加しています。それにつれてデータの利用や保管のために消費される電力も増大しCO2排出量増加に繋がるため、大手データセンターでは、電力需要を再生可能エネルギーで賄う取り組みなどを進めています。一方で2017年から2020年にかけて世界の主要なデータセンター事業者が消費する電力は平均で31%増加*1しており、再生可能エネルギーへのシフトだけではなく、電力消費を抑えることでCO2排出量を削減する施策の必要性も高まっています。磁気テープは、データの保管時に常時通電する必要がないことから、ハードディスクドライブ(HDD)に比べてデータ保管において発生するCO2の排出量を95%削減でき*4、環境負荷を大幅に低減することからデータセンター脱炭素化の実現に貢献する製品として注目されています。
IDCによるホワイトペーパーについて
ITおよび通信分野に関する調査会社であるIDCは、増加するデータ量に対応していくための、サステナブルなデータセンターの在り方に関する調査をまとめたホワイトペーパー「Accelerating Green Datacenter Progress with Sustainable Storage Strategies」を発表しました。
本ホワイトペーパーを、当社特設サイトにて公開しました。特設サイトでダウンロードいただけます。
IDCホワイトペーパー概要
データ保存量・消費量 -エネルギー消費量は2017年から2020年にかけて31%増加し環境への負荷が増大-
全世界におけるデータ量が年々増加していく中、多くの大企業では2年ごとに扱うデータ量が倍増しています。また、世界で蓄積されるデータ量は、年平均27%の割合で増加していくことが予想されています。(図1)
また、データ保存量の増加に伴って、エネルギー消費量も増加しています。調査によると、主要なデータセンター事業者によるエネルギー消費量は2017年から2020年にかけて31%増加しており、それに伴うCO2排出量も増加しています。
CO2削減量 -磁気テープストレージの活用により2030年までに43.7%、6億6,400万トンのCO2を削減-
IDCによる予測によると、世界のデータの保存先をHDDやSSDからCO2削減効果の高い磁気テープに移行していくことによって、2030年に2019年比で43.7%*5、また累計で6億6,400万トンのCO2排出を削減することが可能です(図2)。8000万世帯が1年に排出するCO2排出量に相当します。そのためホワイトペーパー内では、各IT企業の経営層に対し、データストレージの選択肢を見直し、磁気テープストレージを活用していくことの必要性が提言されています。
再生可能エネルギー –再生可能エネルギーへの代替だけでなく、エネルギー量削減が必要-
現在、多くのデータセンター事業者は増大するデータ量に対応するため、エネルギー源を再生可能エネルギーに代替していく取り組みを進めています。しかし、高額な導入コストや、導入までにかかる日数、安定性の問題から、データセンターが必要とするエネルギー源をすべて再生可能エネルギーでまかなうことは難しいとされています。そのため、電力消費の最適化が必要であり、磁気テープストレージの導入によって、データセンターが必要としているエネルギー量そのものを減少させていく必要があります。