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日本
ニュースリリース

2022年6月30日

バイオ医薬品の開発・製造受託事業の成長を一段と加速

欧米拠点に新たに総額約2,000億円の大規模投資を決定

デンマーク拠点で原薬製造設備を大幅増強、米国拠点に次世代連続生産システムを導入

このニュースリリースは、報道機関向けに発信している情報です。

富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、バイオ医薬品の開発・製造受託事業の成長を一段と加速させるため、バイオ医薬品CDMO※1の中核会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(フジフイルム ダイオシンス バイオテクノロジーズ)(以下FDB)の欧米拠点に、総額約2,000億円の大規模投資を行います。本投資は、バイオ医薬品市場で高いウエイトを占める抗体医薬品の生産能力増強を目的に、FDBのデンマーク拠点と米国テキサス拠点に対して実施するものです。なお、増強設備の稼働はいずれも2026年を予定しています。

抗体医薬品市場は、既存薬の需要増に加え、抗体薬物複合体(ADC)※2や、バイスペシフィック抗体※3を用いた薬など新型薬の拡大により、年率10%を超えるペースで成長すると見込まれています。このような中、当社は、市場ニーズの高い大型タンクによるバッチ生産方式※4と、さらなる高品質・高効率生産が可能な独自の連続生産方式※5の両輪で、抗体医薬品の生産能力の増強を進めています。

バッチ生産方式では、2020年6月に、デンマーク拠点への大型設備投資の第一弾として、20,000リットル培養タンク6基の導入など約1,000億円の設備増強を決定。さらに、2021年1月に、米国ノースカロライナ州に2,000億円超を投じることを決め、同サイズの培養タンク8基を備えた新拠点の建設を行っています。

また連続生産方式では、当社が業界で初めて※6開発した、培養から精製まで原薬の一貫生産が可能な商業用連続生産システムの英国拠点への導入を2021年6月に決定。現在、同システムによるGMP※7製造体制の整備を進めています。

今回、当社は、現在増強中の生産能力を上回る、抗体医薬品の旺盛な製造受託ニーズを受け、最短で生産設備の立ち上げが可能なデンマーク拠点に、20,000リットル培養タンク8基を追加導入する第二弾大型設備投資を行います。本投資により、2026年までに、同サイズのタンク保有数を、デンマーク拠点で20基※8、全世界で合計28基※9に拡大させます。

また、ESG先進国として世界的に高い評価を受けているデンマーク※10で脱炭素に向けた取り組みを推進するため、今回の増強設備には、天然ガスを動力源とする従来のボイラーに代えて電気ボイラーを導入予定。さらに、生産過程におけるCO2排出量削減に向けて、電気ボイラーの動力源には、再生可能エネルギー由来の電力を採用していきます。これらの取り組みにより、FDBのデンマーク拠点では、富士フイルムホールディングスの脱炭素目標(2040年度までにCO2排出量実質ゼロ)に先駆け、2030年度までにカーボンニュートラルの実現を目指します。

また、当社は、世界最大のバイオ医薬品市場である米国にも戦略的投資を行い、欧米両市場で連続生産システムによる原薬製造体制を確立します。今回、英国拠点に続き、米国テキサス拠点に連続生産システムによるGMP製造が可能な設備を導入。新薬開発を行う顧客との協働のみならず規制当局との連携で早期商用化を目指し、連続生産システムを用いた製造受託のグローバルな市場形成を図ります。

連続生産システムでは、高い生産効率で高純度な抗体を製造できることに加え、分解や凝集が生じやすい不安定な抗体の製造も可能となります。さらに、フレキシブルに生産量を調整できる特長を生かし、顧客の幅広い受託ニーズに対応していきます。また、抗体生産量の単位当たりのエネルギー消費量を削減※11できるため、環境負荷の低減にも寄与します。

当社は、幅広いバイオ医薬品を対象に生産プロセスの開発受託、小規模生産から大規模生産、原薬から製剤・包装までの製造受託ニーズに応えていきます。また、バッチ生産方式のみならず、連続生産方式による製造受託を通じて製薬企業などに新たな価値を提供し、医薬品業界におけるベストパートナーを目指します。

  • ※1 Contract Development & Manufacturing Organizationの略。生産プロセス開発や安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造まで幅広いサービスを製薬企業などに提供する。
  • ※2 Antibody-drug conjugate の略。抗がん剤などの薬物と抗体を組み合わせた医薬品。がん細胞などの細胞表面に存在する抗原とADCの抗体が結合することで薬物を直接届けられるため、少ない副作用で高い治療効果を得られると期待されている。
  • ※3 2種類の抗原と結合できる抗体。異なる抗原と同時に結合することで、薬効の増強や新たな薬効の発現が期待されている。
  • ※4 製造工程のはじめに原料を投入し、1つの工程が完了してから、そこで得られた生産物を取り出して次の工程に移行する生産方式。
  • ※5 原料を連続的に工程内に供給し、生産物を継続的に製造しながら同時に取り出す生産方式。
  • ※6 バイオ医薬品業界において。当社調べ。
  • ※7 Good Manufacturing Practiceの略。医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理規則のこと。
  • ※8 デンマーク拠点における既存タンク6基、第一弾大型設備投資による増設分6基(建設中)、今回の第二弾大型設備投資による増設分8基の合計。
  • ※9 FDBの米国ノースカロライナ拠点第二サイトで新設中の20,000リットル培養タンク8基を含む。
  • ※10 国連の提唱のもと設立された国際団体「Sustainable Development Solutions Network」がまとめた、持続可能な開発目標(SDGs)達成度の国別ランキング(2022年)において、デンマークは2位の評価を受けている。
  • ※11 バッチ生産方式により製造した場合との比較。

設備投資の概要

拠点 FUJIFILM Diosynth
Biotechnologies Denmark ApS
FUJIFILM Diosynth 
Biotechnologies Texas, LLC
所在地 デンマーク ヒルロッド市 米国 テキサス州
投資内容
  • 新棟の建設
  • 20,000リットル動物細胞培養タンク(8基)、精製設備などの導入
  • 連続生産システムによるGMP製造が可能な設備の導入
着工時期 2022年夏 2022年夏
稼働時期 2026年 2026年

(参考)FUJIFILM Diosynth Biotechnologies概要

FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)は、英国・米国・デンマークに拠点を有し、抗体医薬品や遺伝子組換えタンパク医薬品、遺伝子治療薬、細胞治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の開発・製造受託を行っています。30年以上にわたる実績・経験を持ち、業界をリードする独自の高生産性技術「pAVEway™」「Apollo™X」を活用した細胞株開発からプロセス開発、治験薬製造、商業生産まで包括的な受託サービスを提供しています。

FDBは、英国のFUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited(FDBK)、米国のFUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A., Inc.(FDBU)、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLC(FDBT)*、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies California, Inc.(FDBC)、デンマークのFUJIFILM Diosynth Biotechnologies Denmark ApS(FDBD)で構成されており、FDBKとFDBUは三菱商事株式会社より20%の出資を受けています。

  • * FDBTはFDBUの100%子会社。

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