富士フイルムグループは、2024年1月に社会における存在意義を示すグループパーパス「地球上の笑顔の回数を増やしていく。」を制定し、その実現に向けた重点分野の一つに「健康」を定め、健康経営®の推進に取り組んでいます。
富士フイルム和光純薬株式会社およびその子会社は、従業員の健康維持増進を重要な経営課題としてとらえ、2019年に健康経営宣言を制定し、従業員の健康維持増進に向けた取り組みを推進しています。
グループパーパスを実現するためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと働き、まずは私たち従業員の笑顔の回数を増やしていく事が重要であると考えています。当社は「健康は財産だ!」をスローガンに、これからも従業員の健康維持増進に向けた取り組みを推進していきます。
当社は富士フイルムグループの一員として健康経営に参画し、健康保険組合と協力して社員と家族の健康づくりを支援していきます。社員一人ひとりが心身ともに健康でいきいきと働くことができる職場環境の構築を目指し、以下を宣言します。
- 経営者自身が率先して、健康づくりに取り組みます。
- 健康づくりの担当者を設置します。
- 当社の健康課題を把握し、改善に努めます。
- 健康保険組合と連携し、健康づくりを推進します。
- 労働基準法、労働安全衛生法などの法令を遵守します。
- 健康づくりに向けて次の取り組みを実施します。
- 保健指導の利用
- 食生活の改善
- 運動機会の増進
- 受動喫煙対策
- 感染予防対策
- 過重労働対策
- メンタルヘルス対策
富士フイルムグループは、働く人々の安全確保と健康の推進が企業にとって最重要基盤であると考え、本方針に基づき企業活動を展開します。
- 事業活動において、派遣社員、請負事業者を含めた従業員の労働安全衛生を最優先し、安全で働きやすい環境を確保します。
- 労働災害や過重労働の防止など労働安全衛生に関して適用される法令やルールを順守します。
- 従業員の心身の健康維持・増進を積極的に支援し、健康経営を実践します。
- 労働安全衛生および健康推進に関する従業員と会社との円滑なコミュニケーションを図ります。
- 労働安全衛生および健康推進に関する教育を積極的かつ継続的に実施します。
2010年1月制定
2019年4月改定
- 従業員が心身ともに明るくいきいきと働き続けることができるよう、生活習慣病、がん、喫煙、メンタルヘルス、長時間労働を重点課題とし、健康レベルの向上に取り組んでいきます。
- 従業員自身の健康に対する意識向上を図るための教育や、健康維持増進に向けた指導など、会社として積極的に関与していきます。
- 世界の各地域、国の実情に合った、適切な従業員の健康増進を後押ししていきます。
- ヘルスケアにおける「予防」「診断」「治療」に関わる製品・サービスにイノベーションを起こし、「100年を生きる時代」の世の中の人々、そして従業員の健康推進に、活かしていきます。
- 健康経営を実践した成果を社内外に発信し、社会全体の健康意識の向上に貢献していきます。
健康経営を効果的に推進する体制を構築しています。推進最高責任者を代表取締役社長とし、役員の中から推進チーム責任者を任命、責任者のもとコーポレート部の担当で構成する「健康経営推進チーム」を組織しています。健康経営推進チームと、産業保健スタッフ、各事業所の衛生担当間で連携を取りながら、従業員の健康維持・増進に向けた施策の立案、展開を図るとともに富士フイルム株式会社、富士フイルムグループ健康保険組合、富士フイルムワコーケミカル労働組合とも連携を図り、それぞれの役割に応じて、効果的、効率的に従業員の健康維持・増進を推進しています。
当社では、従業員のパフォーマンス向上を経営上の課題ととらえています。健康経営を推進し従業員の健康維持・増進を図ることで、事業の発展につながるものと考えています。
具体的には、「生活習慣病対策」「喫煙対策」「がん対策」「メンタルヘルス対策」「長時間労働対策」を健康経営上の重点課題とし、それぞれに健康指標(KPI)を定め健康施策を展開しています。
近年、日本では食生活の欧米化や運動不足から肥満の人が増えています。肥満は、糖尿病や脂質異常症・高血圧症・心血管疾患などの生活習慣病をはじめとして数多くの疾患のもととなるため、健康づくりにおいて肥満の予防・対策は重要な位置づけです。当社においても、生活習慣病の項目で正常値を逸脱する者が一定数おり、課題として認識しています。
2018年7月に健康増進法が改正され、原則屋内禁煙が法制化、2020年4月からは飲食店も原則屋内禁煙となるなど受動喫煙対策が進んでいます。喫煙はほとんどの部位のがんの原因になると言われおり、がんのほかにも脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患、生活習慣病の糖尿病など、さまざまな病気の原因にもなります。
当社における喫煙者は40歳以上が多く、前述の生活習慣病項目と合わせて注力して取り組んだ結果、喫煙率は改善しています。
日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんにかかるといわれており、がんは身近な病気になっています。当社従業員からがん死亡者をださないためには、早期発見、早期治療が重要になります。がん検診の受診率90%以上を目指しています。
近年日本においてメンタル疾患の社員が年々増加傾向にあるといわれています。2015年にはストレスチェック制度が義務付けられるなど、労働安全衛生の面でも精神面へのケアが重要視されてきています。
当社においても、メンタル起因の長期休職者の発生が一定数あり、対策が必要です。心身ともにいきいきと働くことができる環境構築を目指し、メンタルヘルス対策を進めています。
労働時間は従業員の心身の健康に密接に関連しているため、長時間労働者*1を発生させないこと、また長時間労働が発生した際には適切なフォローを行うことが必要と考えます。ワークライフバランスの見直しをはかり、働き方を変革していく対策を進めています。
また医療職による心身の状態確認や面談フォローを行い、体調変化の早期発見・早期対応を行える体制を整えています。
- *1 当社では月45時間以上の時間外労働者を長時間労働者と定めています。
以上、5つを重点課題として取り組み、従業員一人ひとりが健康な状態で最高のパフォーマンスを発揮し、全社を挙げ生産性の向上を図ってまいります。
社員の健康リテラシーおよび健康に関するニーズ把握のため、全従業員を対象に、健康に対する関心度、生活習慣、運動、喫煙、不安・悩みなどの意識調査を実施しています。
健康経営の推進にあたり、本調査結果を参考に、従業員が取り組みやすく、興味をもって活動できる施策を展開しています。
下表は健康管理に関する中期目標で、単年度ごとに目標を設定し活動しています。
| 重点領域 | 健康管理KPI | 2025年度 中間目標 |
2024年度 実績 |
2023年度 実績 |
||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 生活習慣病対策 | BMI値25以上(比率) | 21% | 26.4% | 21.9% | ||
| HbA1c6.0以上(比率) | 6% | 6.6% | 4.5% | |||
| 喫煙対策 | 喫煙率 | 12% | 17.6% | 19.1% | ||
| がん対策 | 受診率 | 胸部X線 | 100% | 100% | 98.4% | |
| バリウム+内視鏡 (40歳以上) |
100% | 76.7% | 61.5% | |||
| 便潜血(40歳以上) | 100% | 89.4% | 95.4% | |||
| 婦人科 | 乳がん | 90% | 45.6% | 41.8% | ||
| 子宮頸がん | 90% | 53.9% | 48.4% | |||
| メンタルヘルス対策 | メンタル疾患 | 休業率 (一週間+積休/欠勤) |
0.80% | 2.10% | 1.50% | |
| 長時間労働 | 長時間労働人数(80h+) 管理職含む
|
0名 | 0名 | 0名 | ||
経営課題の解決につながる健康課題を抽出し、期待する効果・健康維持増進に関する具体的な取組みにより、健康経営を推進しています。
健康診断の受診から事後措置に至るまで、従業員の健康状態の改善施策を、健康保険組合と協力して取り組んでいます。従業員の肥満者(BMI値25以上)の改善にむけたさまざまな取り組みを実施しています。
チームを組んで平均歩数を競うゲーム感覚のウォーキングイベント「みんなで歩活」を健康保険組合とのコラボ活動として年2回実施しています。普段あまり歩かない層の行動変容や、チーム内で歩数実績などの情報交換が新たなコミュニケーション機会となり、参加者も増加しています。
栄養バランスの良い食事や、減塩・ヘルシーメニューの提供を行っております。また、食生活改善に関するセミナーなどを開催し、食生活の改善を目指しています。
健康診断の結果より、再検査・精密検査が必要な対象者に受診勧奨し、受診完了するまで追跡してフォローしています。
全事業所において喫煙スペースを撤去、敷地内禁煙を実施し、就業規則としても定めました。
喫煙リスクに関する講演会の実施や、禁煙リーフレットの配布も実施し、喫煙に対するリテラシー向上にも取り組んでいます。
また卒煙希望者をいつでもサポートできる体制を整えています。
健康保険組合と連携し、無料のオンライン禁煙プログラム、禁煙パッチ、禁煙ガムの無料配布、禁煙外来、禁煙補助薬の費用補助し、当社独自に卒煙達成者への特典の用意や卒煙証明書の発行、つらい時に参加者同士が励まし合えるコミュニケーションツールを提供しています。
「がん検診」を受診しやすいように定期健康診断に組み込み、胃がんについては早期発見のため内視鏡(経口、経鼻)検査を推奨しています。
胃がん、大腸がんを対象とした「がん検診」は35歳以上を原則受診の対象としています。2025年度までに従業員のがん検診受診率(胃がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん)90%以上を目指します。
従業員への調査により、何らかの不安や悩みを抱えている方が一定数いることを把握しています。
- メンタル不調者の早期発見・早期治療につなげることを目標に、社内・外の相談窓口を設置・周知するとともに、ストレスチェックを実施し、高ストレス職場に対して職場環境改善対応を行いました。
- 新卒社員、キャリア採用社員を対象に、フォローアップアンケートを実施し、必要時面談を実施しています。
全管理職に対し、メンタルヘルス対策の意義、メンタルヘルスにおける管理職の役割についてラインケア研修を実施しています。また、新任管理職に対しては上記に加え「メンタルヘルス・ラインケア基礎研修」の教育も実施しています。
長時間労働対策として、ノー残業デーを設けたり、フレックス勤務、時間有休制度の導入などを行っています。
また全部門においてBPR*2プロジェクトにより、業務効率化を秤、時間外労働の削減に取り組んでいます。
- *2 BPR=Business Process Reengineering
業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で、職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインしなおすこと
- * 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。