大阪府北部に位置し、約28万人が暮らす茨木市。文化・子育て複合施設「おにクル」や「ダムパークいばきた」の開業など、新たなまちの魅力づくりを進める一方、市役所内では年間約5,000件に及ぶ郵送請求業務への対応が、継続的な課題となっていました。
同市は2024年10月より、「法人請求オンラインサービス」をトライアル導入しています。
導入前に抱えていた課題や、トライアル導入を通じて実感した効果、今後の展望について、暮らし産業環境部 市民課の武部様にお話を伺いました。
法人からの郵送請求は、年間約5,000件にのぼり、多い月には800件近くを処理しています。1件あたりの処理時間を正確に計測しているわけではありませんが、決して短時間で完了する業務ではありません。
さらに、申請書の様式は事業者ごとに異なり、定型化されていないため、必要な情報がどこに記載されているかを一件ごとに確認する必要があります。そのため、請求処理には多くの時間と手間がかかり、担当者の大きな負担となっていました。
また、手数料は定額小為替で受領するため、その管理や換金にも手間が発生していました。不交付や過払いが発生した際には返金対応が必要となり、返金用の定額小為替の準備・管理も職員の負担となっていました。このように、定額小為替を用いた運用は、自治体・事業者の双方にとって負担が大きく、業務効率化が求められていました。
加えて、証明書発行後も、申請書類への連番付与や保管年限管理、ファイリング、保管場所の確保など、多くの付随業務が発生していました。さらに、申請内容に不備があれば電話で確認を行う必要があります。第三者への証明書交付を伴う業務であるため、請求権の確認には慎重な判断が求められます。そのため、作業の負荷だけでなく精神的な負担も大きい業務であると感じていました。
トライアル期間中は利用料が発生しないことが、導入を決めた理由のひとつでした。
それ以上に評価したのは、「郵送請求」という目立ちにくい業務課題の解決に真正面から取り組んでいる点でした。郵送請求業務は多くの自治体で行われている一方で、改善の優先順位が上がりにくい領域でもあります。そうした現場の課題に対し、サービスとして具体的な解決策を提示していることに大きな可能性を感じました。
また、導入検討にあたっては、業務効率化の前提となる安全性を重視しました。その点、LGWANへの対応をはじめ、自治体での利用を前提としたセキュリティー対策が講じられていたため、デジタル部門としても特段の懸念なく導入を進めることができました。
現在は紙による運用も一部併用していますが、一件あたりの業務負担は大きく削減されたと感じています。
従来の紙申請では、事業者ごとに申請書の様式が異なり、氏名や住所、請求理由などの必要な情報を毎回探しながら確認する必要がありました。 本サービスの導入により、様式が統一されたことで、必要な情報を効率的に確認できるようになり、作業効率が大幅に向上しました。また、担当者ごとの対応のばらつきも抑えられ、業務の標準化・平準化という点でも、大きな効果を実感しています。
特に、手数料決済がシステム上で完結するようになったことで、これまで必要だった定額小為替の受領・管理・換金といった作業が不要になりました。体感としては、業務負担を3割程度削減できていると感じています。
また、従来は不交付案件について照会を受けた際、紙のファイルを探し出して当時の判断経緯を確認する必要があり、対応に手間と時間を要していました。 現在は、処理履歴や判断経緯をシステム上で検索・確認できるほか、不交付理由も通知できることから、電話問い合わせ対応にかかる負担も大幅に軽減されています。証明書発行後の後追い業務まで含めて効率化が進んだことは、大きな効果のひとつだと感じています。
これまでの郵送請求業務は、請求件数に応じて人員を確保するという考え方が中心でした。「法人請求オンラインサービス」を導入したことで、業務そのものを変えることで負担を削減できるというDXの可能性を実感しました。
単に人手を増やすのではなく、仕組みを変えることで業務改善を実現する。この考え方を得られたことは、大きな成果だと感じています。
さらに、事業者側も決められた手順に沿って申請を行うため、不備そのものも大きく減少しています。操作面についても、処理状況や次に行うべき作業が画面上で分かりやすく表示されるため、途中で作業を中断しても迷うことがありません。何度もマニュアルを確認することなく利用できており、直感的で分かりやすいシステムだと感じています。
現在は住民票交付が中心ですが、戸籍証明書や戸籍附票など、対象業務のさらなる拡大を期待しています。
また、
- 申請書の電子保管
- 処理履歴の管理
- 発送状況の記録
- 検索や集計機能
などにも大きな価値を感じています。
今後は、オンライン申請だけでなく、紙申請書の電子管理や定額小為替管理の管理も含め、郵送請求業務全体を一元管理できるプラットフォームへと発展していくことを期待しています。
「法人請求オンラインサービス」は非常に有用なサービスです。現在は利用件数が限定的であっても、今後利用が拡大していけば、業務効率化の効果はさらに高まると考えています。
トライアル期間を活用しながら、自治体と事業者がともにサービスを育てていく。そのような視点で導入を検討する価値は十分にあると思います。今後のさらなる発展に期待するとともに、他自治体にもぜひ活用を検討していただきたいです。