大阪府南東部に位置し、約9万5千人が暮らす河内長野市。同市では2024年10月より、「法人請求オンラインサービス」をトライアル導入しています。
導入の背景には、郵送請求業務の効率化に加え、定額小為替の管理や換金にともなう職員負担の軽減という課題がありました。
今回は、サービス導入の経緯や導入前の課題、実際の運用を通じて実感している効果、そして、今後の期待について、市民窓口課の松原課長にお話を伺いました。
郵送請求業務は多くの自治体で行われている業務ですが、以前から非効率的だと感じていました。封筒を開封して内容を確認し、証明書を発行する作業そのものにも手間がかかりますが、特に負担だったのが定額小為替の取り扱いです。おつりの準備や換金処理、数量管理など現金同様の管理が求められます。枚数が多いと庁舎内の銀行で換金処理を受け付けてもらえず、職員が郵便局まで持ち込んで換金しなければならないケースもありました。
当市は窓口業務と郵送請求業務の一部を委託していますが、郵便物は昼前後に集中するため、委託事業者の作業負荷が午後に偏る傾向がありました。
一方で、定額小為替の確認や換金は職員が対応する必要があり、窓口対応の合間を縫って処理しなければなりません。請求件数は月150~200件程度ですが、継続的な負担となっていました。
庁内でさまざまな業務のDXを検討していましたが、その中でも郵送請求業務は改善余地が大きい業務のひとつだと認識していました。そうしたなかで富士フイルムシステムサービスのセミナーに参加し、「法人請求オンラインサービス」を知りました。業務改善につながる可能性を感じ、トライアル導入を決めました。
導入にあたっては、庁内から費用面の懸念や、既存の個人向けオンライン請求の仕組みを活用できるのではないかという意見もありました。ただ、自治体側だけが仕組みを整備しても、実際に事業者に利用されなければ効果は生まれません。
その点、本サービスではトライアル導入を行っている事業者があらかじめ示されており、実際の運用を見据えながら検証できる点に安心感がありました。
また、トライアル期間中は初期費用やランニングコストが発生しないため、庁内への説明もしやすく、導入を進めやすい環境が整っていました。
委託事業者からは、「オンラインで届く請求の処理が楽になった」との声が上がっています。現時点では利用件数がまだ限定的であるため、効果が数値として明確に表れる段階ではありませんが、導入前との変化は確実に感じています。
これまでは証明書の検認に加え、定額小為替の確認作業も必要でした。現在はオンライン申請分についてはシステム上で決済が完了するため、それらの確認作業が不要になっています。
また、不備が発生した際も従来は電話対応が中心で、担当者不在時には折り返し対応が必要でした。現在はシステム上でメッセージのやり取りができるため、問い合わせ対応の効率化にもつながっています。
郵送請求は多くの自治体で当たり前に行われている業務ですが、必ずしも費用対効果の高い業務とはいえません。一件あたりの工数もそれなりにかかりますし、非常に非効率な側面があります。
特に債権回収会社からの請求対応のような業務は、現場にとっては確実な負担となっている一方、DX推進部門からは実態が見えにくい業務でもあります。だからこそ 、こうした領域のDXを進めていくことには大きな意義があると思っています。
利用自治体や利用事業者が増えれば、「法人請求オンラインサービス」の提供価値はさらに高まります。多くの自治体が参加し、事業者の利用も広がることで、「法人請求といえばこの仕組み」という標準的なサービスになることを期待しています。
国による職務上請求システムの検討の動きもありますが、法人に留まらず、士業団体も利用できるようなサービス拡張がなされれば、自治体全体の業務効率化につながりますし、河内長野市としても非常にうれしく思います。