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富士フイルム富山化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:佐藤 充宏、以下 富士フイルム富山化学)は、創薬支援CROサービスを提供する富山研究開発センターにおいて、医薬品GLP*1(試験区分:in vitro毒性試験)適合の認証を取得したことをお知らせします。今回取得した施設適合の調査対象試験は、「ヒトiPS細胞由来心筋細胞(iPS心筋細胞)を用いた細胞外電位測定(MEA法)」で、これにより富士フイルム富山化学は、国内で要望の高いGLPの基準を満たした当該試験の受託サービスを本日より開始します。
生命維持に関わる重要な器官系への影響を評価するために欠かせない毒性試験である安全性薬理試験は、国際的なガイドライン(ICH S7A)に基づき、GLP適合施設で実施されます。その中でも、心血管系の安全性薬理試験において、実施が必須とされてきたin vitro試験*2では、心臓の電気信号に関与する特定のたんぱく質の機能評価のみを行うため、その後の臨床段階における試験結果の予測精度に課題がありました。一方、iPS心筋細胞は特定のたんぱく質だけでなく、生体と同様に複数の電気信号に関与するたんぱく質を発現する特性を持つため、iPS心筋細胞を用いたMEA法は、QT間隔延長*3や致死性不整脈をより高い精度で検出できる可能性があります。このことから、本試験法は従来の安全性薬理試験を補完し、将来的には代替しうる技術として注目を集めています。
今回、富士フイルム富山化学は、医薬品GLP認証取得により、ヒト生体への作用を再現し高精度に評価・解析できる特徴を持つiPS細胞由来分化細胞を使ったCROサービスを拡充し、GLPの基準を満たしたiPS心筋細胞を用いたMEA法の試験受託サービスを開始します。富士フイルム富山化学が持つ高度な創薬の知見を活用し、創薬研究から医薬品の開発・製造受託(CDMO)まで一貫したサービスを展開するとともに、富士フイルムグループのバイオ関連技術の研究開発を行うバイオサイエンス&エンジニアリング研究所*4と連携して最先端の評価技術の開発と導入に取り組んでいきます。
富士フイルム富山化学は、富士フイルムグループにおいて展開する創薬支援CRO事業の中核を担い、これまで医薬品の開発で培った研究基盤のみならずiPS細胞などを用いた最先端の評価系を活用することで、新たな付加価値と高い信頼性を担保した創薬支援サービスを展開し、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。
- *1 “Good Laboratory Practice”の略称で、 医薬品の非臨床試験の安全性に関する信頼性を確保するための基準
- *2 hERG試験と呼称され、心筋活動に関わるカリウムチャネルの阻害作用を評価する安全性薬理試験
- *3 QRS 波の始めからT波の終わりまでの間隔として計測される、心室の脱分極からそれに続く再分極までの時間
- *4 バイオサイエンス&エンジニアリング研究所は、ヒトiPS細胞応用安全性評価コンソーシアム(CSAHi)に参画し、iPS心筋細胞を用いたMEA法の国際基準の構築に貢献しています。
富士フイルムグループは、幅広い事業を通じて培ったAI技術やバイオテクノロジー関連技術を生かし、製薬企業やバイオベンチャー向けに、新薬候補物質の探索や有効性・安全性評価を行う創薬支援CROサービスを提供しています。本サービスでは、iPS細胞のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Incの製品、および独自開発のヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™」を用いた評価サービスや、mRNAディスプレイ法による特殊ペプチド探索サービスなど、先端技術を活用した多岐にわたるソリューションを通じて、お客さまの創薬研究を包括的にサポートします。富士フイルムグループは、バイオ関連技術の研究開発を担うバイオサイエンス&エンジニアリング研究所を中心に、創薬研究の知見を活用し、薬理・動態安全性評価および合成サービスやリポソーム・脂質ナノ粒子のCDMOサービスを展開する富士フイルム富山化学、さらに最先端分野の研究ニーズにこたえる総合試薬メーカーの富士フイルム和光純薬など、グループのリソースを結集して推進しています。「Partners for Life」のタグラインのもと、製薬企業や患者さまに寄り添う真のパートナーとして、医薬品産業の発展に貢献してまいります。詳細については、以下をご覧ください。
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