データ活用を起点とした新技術や製品・サービスの開発、生産管理、サービス提供などが広がる中、企業などにおける大量のデータは、競争力向上に欠かせない資産であると同時に、その保管コストは今後ますます大きくなります。実は近年、データの扱いに長じるMicrosoftやGoogle、Baiduなどの世界のデジタルプラットフォーマーが、コスト抑制・安全性向上の両立を目的に「テープストレージ」を採用しています。その理由と活用方法をみていきましょう。
Microsoft Azureはトータルコストメリット、将来性、安全性からデータアーカイブに採用
米Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」では、世界各地にデータセンターを持ち、ゼタバイト(ペタバイトの百万倍)スケールものデータを保有するなど、桁違いのストレージインフラを構築しています。年々増大しつづけるストレージへの需要に応えつつ、自社開発のストレージやソフトウエアによってコストの削減も進めてきました。同社がこうした膨大なデータのアーカイブ(長期保管)でコストを圧縮するべく活用しているのが、テープストレージです。
同社では、データ活用のためのデータレイクや機械学習などの用途に向けたデータアーカイブ用ストレージサービス「Azure Blob Storage」で、データ保管にテープストレージを使用しています。
Microsoft Azureがテープストレージを選ぶ理由として、米国にある富士フイルムのグループ会社であるFUJIFILM Recording Media U.S.A, Incが2017に開催したイベント「Global IT Executive Summit」に登壇したMicrosoft Azure Storageの開発マネージャー(当時)Marvin McNett氏は、主に次の6点を挙げています。
①容量単価の安さ、消費電力の低さなどのトータルコストメリット
②将来性の高さ (HDDと比べより大容量化に向けた技術ロードマップが実証されている)
③拡張性の高さ (拡張しても消費電力の影響がない、小さく保管できる)
④HDDと比べたエラー率の低さ
⑤オフライン保管による安全性 (サイバー攻撃、特にファームウエア攻撃を受けるリスクの低さ)
⑥長期耐久性 (※動画当時は30年以上ですが、現在のLTOテープ*では、50年以上磁気特性に劣化が生じないことを実証)
Googleの重要データがあわや消失…という事態を救ったテープでのバックアップ
米Googleでは、テープストレージを極めて信頼性の高いバックアップメディアとして認めており、活用し続けていることを広く告知しています。2012年に自社の……
Baidu Cloudなどアジアでも広がるアーカイブ用途のテープストレージ導入
欧米で先行したテープストレージ活用の動きは、近年アジアにも波及。中国のBaidu Cloudもテープストレージをデータのアーカイブに活用しています。同社では……