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日本
一歩進んだクリニック経営

クリニックの在宅医療。在支診を目指すなら

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

積極的に取り組むなら在宅療養支援診療所に

訪問診療に積極的に取り組むには、体制を整えて在宅療養支援診療所(在支診)になることも、将来的には検討したいところです。

在支診は、患家からの連絡に24時間対応し、必要に応じて他の医療機関と連携しつつ、24時間対応ができる体制を有するクリニックのことで、診療報酬上も手厚い評価が行われています。在支診は2006年度診療報酬改定で制度化されました。

在支診と、その病院版である在宅療養支援病院(在支病)には診療報酬上(1)から(3)の区分があり、区分によって「在宅時医学総合管理料」「施設入居時等医学総合管理料」の算定点数や「往診料」の加算などが異なります。さらに、在宅がん医療総合診療料のように、在支診、在支病でのみ算定可能な項目もあります。

在支診(1)は「機能強化型在宅療養支援診療所(単独型)」(表左列)、在支診(2)は「機能強化型在宅療養支援診療所(連携型)」(表中央列)とも呼ばれています。在支診(3)は一般的な在支診・在支病です(表右列)。

在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所の施設基準の見直し

【表】在宅療養支援病院・在宅療養支援診療所の施設基準の見直し

2022年の改定で在支診の施設基準が変更

2022年の診療報酬改定において、在宅医療の充実の観点から、在支診、在支病の施設基準の見直しが行われました。

具体的には、

① すべての在支診・在支病について、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた適切な意思決定支援に係る指針を作成していることを要件(義務化)とする。

② 機能強化型の在支診・在支病について、「市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業等において在支診以外の診療所等と連携することが望ましい」「地域において24時間体制での在宅医療提供に係る積極的役割を担うことが望ましい」などを施設基準に設ける。

③ 機能強化型の在支病における「緊急の往診の実績年間10件以上」要件について、「後方ベッドを常に確保し、緊急の入院患者の受け入れ実績が過去1年間で31件以上」「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1・3の届け出」に替えることを認める。

などです(上表参照)。

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた適切な意思決定支援、すなわちACP(Advance Care Planning)が義務化されたことは、在宅での看取りの定着、推進を目指したものと言えます

連携して在宅医療体制を確保の場合も評価

また、2022年改定では 「在支診以外の診療所」の訪問診療の評価も行われました

具体的には、自院のかかりつけ患者が在宅医療が必要となった場合に、他の医療機関との連携等により24時間の往診・連絡体制を構築することを評価する【継続診療加算】について、名称が【在宅療養移行加算】に変更されるとともに、「地域の医師会などと連携して在宅医療体制を確保する」場合の評価も新たに設けられました

「クリニックの在宅医療はじめかた」でも解説したように、クリニックでの在宅医療の提供を考えている場合、週数回の訪問診療からまず始め、在宅医療が軌道に乗ってきたら、在支診、機能強化型在支診を目指すのも、かかりつけ医機能強化の一つの方向性だと言えます。その意味でも、今回の診療報酬改定は、これから在宅医療に取り組もうというクリニックにとっても、追い風となるような内容であったと言えるでしょう。


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【企画・編集 日経メディカル開発】