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日本
動物医療コラム

動物病院の新規開業で必要な機器とは?

主要な医療機器を解説

このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。

「動物病院の新規開業で必要医療機器は何だろうか?」
これから新規開業を控える獣医師のなかには、このように疑問を抱く方がいるのではないでしょうか。

本記事では、動物病院で一般的に使用されている主要な医療機器を解説します。
開業時に医療機器を導入する際の参考にしてください。

動物病院の新規開業で必要な医療機器

動物病院の新規開業時に必要な医療機器(利用シーン別)は以下のとおりです。開業前に選定し、計画的に導入していきましょう。

【診察時】
診察台

診察や治療をスムーズに行うために、あらゆる動物がリラックスできるように安定性・快適性に優れたものがあります。
また、体重計表示ができるものや電動昇降できるタイプなどもあります。

血圧計

動物の血圧を非観血にモニタリングすることで、心臓病や腎臓病の管理に貢献します。
軽量かつコンパクトであるため、持ち運びにも優れています。視覚的に血圧の状態が把握できるため、飼い主さんにも動物の変化が共有しやすいのが特徴です。

【検査時】
臨床化学分析装置

一般化学(GLU・BUN・CRE・TCHOなど)や酵素(ALT、ALP、LIPなど)、免疫学であるCRPや電解質(NaKCl)などを測定し、炎症性ストレスや膵炎などの疾患の鑑別に貢献します。

全自動血球計数器

CBC8項目( WBC・RBC・HGB・HCT・MCV・MCH・MCHC・PLT )や白血球4分類(LY・MO・EO・GR)などを測定し、貧血・アレルギー・炎症などの症状が確認できます。
動物の健康状態を把握しやすくなるため、治療方針の立案に貢献できます。

超音波画像診断装置

超音波画像を参照することで病変を把握し、形状・大きさ・深度などを確認のうえ炎症や腫瘍、結石などの診断を行います。画像を確認しながら穿刺や組織採取、治療や血行動態の観察も可能です。放射線被ばくや検査時の痛みの心配がない点もメリットといえます。

レントゲン装置

腫瘍の検出や内蔵の状態の確認、骨折の診断などに貢献します。
小型から大型の動物まで対応可能であり、天板をスライドさせることで静止した状態で迅速な検査が可能です。

X線画像診断システム(CR)

院内にあるX線装置と連携し、スピーディーに画像処理を行うことで、正確・迅速なX線画像診断をサポートします。
黒化処理による視認性の向上やVHS計測などによる読影の効率化に貢献します。

内視鏡

高解像度のスコープを用いてモニタリングすることで、微細な血管や粘膜の表面をリアルに再現できるため、高精度な検査・診断が実現できます。
動物病院の日常診療から高度な手術に至るまで幅広い用途に対応しています。

遠心分離機

血液に含まれる白血球や赤血球などの形成要素と血漿や血清などの液体成分を分離するために有効です。遠心分離後、各成分を個別に評価することが可能です。

顕微鏡

細胞や組織の微細な構造を観察できるため、病理検査や診断に活用できます。
顕微鏡像をモニタに映すことで飼い主さんにも高精細かつ色再現性に優れた静止画・動画を共有することが可能です。

(準備できると望ましい)
免疫反応測定装置

猫の炎症マーカーであるSAAや、継続的に測定が必要なCOR・T4などの検査項目に対応しています。設置スペースをさほど気にすることなく検査できます。

心電計
心電計

心電図を測定することで、不整脈や心臓病などの異常所見を検出することが可能です。
種別・体重・年齢・検査体位を考慮した高度な解析理論で詳細に解析できます。

X線画像診断システム(DR)

X線を受けた部位の画像をデジタル形式で瞬時に表示できます。
カセッテを交換せずに撮影が可能になるため、撮影効率を上げながら診療に臨めます。
低線量でも高精細なデジタル画像が参照可能です。

【手術時】
手術台

診療対象となる動物の種類や手術の種類に応じてさまざまなタイプがあります。
電動昇降できるものや撮影台がセットになっているタイプなど、診療規模や用途に応じて選択することが可能です。

人工呼吸器

自発呼吸ができない場合や麻酔中の呼吸、外科手術中の酸素供給・換気をサポートします。一回換気量や呼吸回数、分時換気量などを確認することで動物の呼吸状態をリアルタイムで把握できます。

麻酔器

イソフルランやセボフルラン用の気化器を使用し、手術や検査中の動物を麻酔状態に導くことが可能です。麻酔器単独タイプや人工呼吸器を搭載したハイブリッドタイプなどがあります。

無影灯

手術領域や診察領域を適切に照らすことで、視認性を向上させ、診療効率を高めます。
ユニット数やLED数など、診療規模規に応じた適切なものを選択することが可能です。

(準備できると望ましい)
生体情報モニタ

心電図・呼吸数・動脈血酸素飽和度・体温・非観血血圧・観血血圧などをモニタリングすることが可能です。手術中の重症動物の生命体徴や麻酔中の血行動態などを正確に把握できるため、早期に異常所見を検出することが可能です。

ウォーミングシステム

手術中や麻酔中における動物の体温を維持することが可能です。
体温が低下しやすい術中で適切な体温を維持しながら治療できます。

【入院時】
入院ケージ

動物の治療や回復をサポートするためのものです。
猫用や犬用など、さまざまな動物が安全かつ快適に過ごせるような機能・設備が組み込まれています。

【機器管理時】
滅菌器

動物病院で使用される医療器具の衛生管理において重要な役割を担います。
滅菌作業を行うことで、無菌状態を維持し、感染リスクを低減させることが可能です。

【2025年5月/文責:GMC株式会社 動物医療担当】