このウェブサイトはクッキーを使用しています。このサイトを使用することにより、プライバシーポリシーに同意したことになります。

日本
動物医療コラム

動物病院開業時に必要な医療機器は
新品医療機器と中古品医療機器どっちがいい?

それぞれの特徴を解説

このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。

動物病院開業時、医療機器を導入する際に新品医療機器(以下、新品)もしくは中古品医療機器(以下、中古品)で悩む方がいるのではないでしょうか。

本記事では、動物病院開業時に必要な医療機器について新品と中古品の特徴を解説します。新品・中古品の特長を理解し、自院の方針や予算に合った機器を導入しましょう。

新品・中古品における医療機器の特徴

新品・中古品の医療機器には、それぞれ多くの特徴があります。
どちらを導入するか迷っている場合は、以下の特徴を参考にしてください。

機能性

医療機器の場合、中古品と比べて新品のほうが測定精度や使いやすさなどが良くなっているため、より質の高い医療を提供することができます。
また、新品の機器は故障率やランニングコストが低くなっていたり、システム連携の拡張性が高まっていたりします。
さらに新品の場合、機器導入後であっても、機器のオプション品やソフトウェアなどの仕様変更をしやすい点も特徴です。中古品は販売している製品の仕様変更が難しいため、この点は中古品との大きな違いです。
使い勝手や診療効率の向上にこだわりがある場合は、新品の導入がおすすめです。

ただ、中古品の機能に問題があるわけではなく、メーカー点検がなされている機器であれば問題なく使用できます。
なぜなら、中古医療機器の販売は「医薬品医療機器等法」によって以下のルールが定められており、粗悪な中古医療機器を購入するリスクを下げる仕組みがあるからです。

  • 中古販売業者は、中古で販売する際に、メーカーにその旨を通知する必要がある
  • 通知を受けたメーカーは、商品の安全を保つために、指示や点検・修理などを行う

ただし、中古医療機器販売業者のなかには、法令を守らずにメーカーの品質確認を受けていない業者もいます。
不正流通している医療機器を購入してしまうと、適切なサポートやフォローが受けられない可能性があります。万が一医療事故が起きた場合、病院側の責任になることもあるため、購入時に法令を遵守している中古販売業者かどうかを見分けることが重要です。
機器購入時には、正規販売ルートの機器であることを証明する「メーカーの承諾書」と「再販点検済証ラベル」の有無を必ず確認しましょう。

メーカー保証

新品の場合、メーカー保証があるため、導入後に故障のトラブルが生じてもメーカーによる現地対応や修理対応が可能です。
一方で中古品の場合、年式によってはメーカー保証が切れていることがあるため、修理対応や消耗品の供給が難しいケースがあります。
目安として、導入してから5〜8年以内の年式の機器であれば、メーカー保証や消耗品の供給なども支障はないと考えられます。
もし、中古品を導入する際にアフターフォローが気になる場合は、メーカーに直接問い合わせてみるとよいでしょう。また、販売業者が独自に保証を設定している場合もありますので、販売事業者に確認をしてみてください。

開業後、医療機器を5年・10年以上使用し続けることを想定すると、保証がしっかりとしている新品のほうが安心して使用できるといえます。

在庫/納期

新品の場合、基本的にはメーカー側で在庫を保有しているため、要望に合うものを購入することが可能です。在庫があれば、注文してから1ヶ月程度で納品できる場合があります。(大型の医療機器を除く)
購入時に在庫がなかったとしても、メーカーに注文することで製造後に納品できる場合もありますが、通常の納期よりも長くかかってしまいます。

中古品の場合、販売業者が保有している在庫分しかないため、タイミングによっては購入したい商品を購入できないケースがあります。そのため、現実的にすべての医療機器を中古品でそろえるのは難しいでしょう。
また、中古品の場合は販売前に動作検証などの点検を行う必要があるため、1〜3ヶ月納期がかかるケースがあります。

新規開業の場合、開業のタイミングに機器導入が間に合わなければ、診療が開始できません。ご自身の開業スケジュールと照らし合わせながら、新品と中古品との選定をしましょう。

価格

新品に比べて中古品のほうが導入コストを抑えやすいです。
中古品であれば、機器の年式や状態によって変動はありますが、医療機器の場合「発売から5年で新品の半値」になるといわれているからです。 
最新の医療技術を反映した性能について大きなこだわりがない場合や、新旧のモデルでそれほど性能に違いがない機器の場合、ご自身の開業予算を考慮しながら中古品も選択肢の1つとして検討することをおすすめします。

【新品・中古品の医療機器】比較表

新品・中古品の特徴をまとめた比較表は以下のとおりです。
超音波画像診断装置やレントゲン装置などの診断に関わる機器の場合、最新技術にバージョンアップされている新品は測定精度が高いと考えられます。
一方、血圧計などの場合は、中古品を使用する方もいます。

新品が良い 中古品でも良い
顕微鏡
超音波画像診断装置
レントゲン装置
X線画像診断システム(CR)
X線画像診断システム(DR)
内視鏡
臨床化学分析装置 
免疫反応測定装置
全自動血球計数器
心電計
人工呼吸器
麻酔器
血圧計
遠心分離機
診察台
手術台
無影灯
生体情報モニタ
ウォーミングシステム 
入院ケージ 
滅菌器
項目 評価 新品 評価 中古品
機能性 最新技術が反映されており、質の高い医療が提供できる。
オプション対応も可能。
現行品よりは劣る。
オプション対応ができないことが多い。
メーカー保証 あり 年式によっては、対応していない場合がある。
販売店保証を付与できる販売店もある。
在庫/納期 在庫は通常有り。(なくても製造可能)
納期は比較的短い。
在庫はタイミングによる。(市場在庫のみ)
納期はメーカー検査があるためやや長い。
価格 高い 安い

【2025年5月/文責:GMC株式会社 動物医療担当】