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日本
動物医療コラム

基準範囲に関する誤解

このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。

基準範囲については、その算出方法から「健康であれば測定結果は基準範囲内に収まる可能性が高い」とは言えますが、「基準範囲内に収まっているから健康」とは言えません。基準範囲の算出プロセスには最初から病的異常を持つ個体は含まれておらず、病的異常をもつ個体の測定結果がどのように分布するかは考慮されていないからです。そのため、健康診断において測定結果が基準範囲内なので問題ない(=健康である)と判断するのは、厳密に言えば誤りということになります

基準範囲のイメージ

例えば、クレアチニンは腎機能の指標として一般的に用いられますが、その測定結果は筋肉量の影響を受けることが知られています。そのため、高齢で痩せた個体では、腎機能が低下していてもクレアチニンが基準範囲内に収まってしまう場合があります。この場合、尿素窒素(BUN)やSDMA、尿検査などから腎機能の低下を総合的に判断することが必要になります 。