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日本
動物医療コラム

FGF23と血清マグネシウムが
AKIの治療・予後評価のマーカーになる!?
~AKIにおけるFGF23とMgの臨床的意義~

このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。

私達の研究室では、急性腎障害(AKI)におけるFGF-23およびそれに関わるミネラル、特にマグネシウム(Mg)との関連を調査しています。初めの研究成果は、Evaluation of serum FGF23 and serum magnesium levels in dogs and cats with acute kidney injury. Vet J. 2025 Dec;314:106495.として論文が掲載されました。この研究では、AKIの犬および猫で、血清FGF-23濃度が有意に高値だったこと、犬でのみでしたが、血清Mg濃度はAKIで高値を示しました。 

ヒトの研究では、AKI患者では血清FGF-23濃度が上昇しておりCKDに進行した患者はCKDに進行しなかった患者よりも血清FGF-23濃度が有意に高かったことが報告されており、別の研究では、血清FGF-23濃度の上昇が内皮損傷および線維化を介して重度のAKIを誘発する可能性があることが報告されています。そのため、血清FGF-23濃度がAKIの予後と関連している可能性があります。FGF-23は猫ではCaと関連しますが、マウスの研究では、Mgと関連することが報告されており、Mgバランスの変化が血管抵抗や腎灌流に影響し、AKIの病態と関連する可能性も指摘されています。CKDでは、MgやFGF-23の関連は犬や猫でも報告されていますが、AKIでの役割は獣医療では不明なままです。 

現時点では、犬や猫のAKIにおいてFGF-23やMgの変化がどのように病態と関連しているか、治療対象とすべきかは明らかにできていません。猫のCKDにおいて、特発性高カルシウム血症が生じることは以前から認識されていましたが、長い間にわたってCKDの進行と関連していることは明らかにされませんでした。最近になってこの高カルシウム血症は治療すべき対象となっています。犬や猫のMgもまだまだ知見が不足していますが、今後は治療対象とすべきミネラルとなる可能性があります。FGF-23もMgもAKIの診断や鑑別に使用できるものではありませんが、治療・予後評価に使用できる可能性があります。