2026.01.15
業務改善とは?業務効率化との違いやメリット・実施の手順などを解説
残業や属人化など、ビジネスにおけるさまざまな悩みを解決するためには、業務改善が必要です。しかし、具体的にどのように業務改善を進めればよいのかご存知でしょうか?
本記事では、業務改善とは何かを整理して解説します。業務効率化との違いや必要とされる背景、メリットなどをまとめました。
企業で業務改善を進める、具体的な手順や方法についても解説します。
業務改善とは?
業務改善とは、既存の業務フローを残したまま、効率アップにつなげるための創意工夫のことを指します。業務上の課題を解決しつつ、企業が目指すべき目標に向けたアプローチを実施するのが特徴です。
具体的には、業務上のムダや非効率な工程を洗い出し、改善につなげます。
業務改善を行った結果として、顧客満足度の向上につなげる狙いもあります。
業務効率化との違い
業務改善と業務効率化は、どちらも企業の業務フローを改善する目的がありますが、アプローチの方法に違いがあります。
業務改善は、業務のあり方そのものを見直す活動を指します。業務改善では、「そもそもこの業務は必要か?」「承認フローは適切か?」などを考え、業務の必要性を問うのが特徴です。
一方、業務効率化は、既存の業務をより速くラクにするための施策です。たとえば、ツールの導入や手順の最適化などで、時間短縮をはかります。
業務改善のQCDとは?
QCDとはQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を取った、業務改善における評価指標です。
業務改善は、単純に速さや安さを追求するだけでは不十分です。そのため、QCDの3要素のバランスを最適化することが、業務改善の成功を左右します。
Qualityでは、製品やサービスの品質を確認するのが基本です。また、Costでは人件費や材料費などをチェックします。Deliveryは、リードタイムや納期遵守率として、具体的に測定します。
業務改善が必要とされる背景
ここでは、業務改善が必要とされる背景について以下の3つを紹介します。
- 少子高齢化による人材不足
- 働き方の多様化
- テクノロジーの進化
それぞれ詳しく見ていきましょう。
少子高齢化による人材不足
日本の生産年齢人口は減少を続けており、多くの企業が深刻な人手不足に直面しています。なかでも中小企業では、必要な人材を確保できないことが課題です。
人材不足を補うためには、ひとり当たりの生産性を高めることが有効です。
業務改善によって非効率な作業をなくし、IT技術やAI(人工知能)を活用した自動化や省人化を進めることが求められています。
少ない人員でも、従来以上の成果を出せる体制を構築することが重要です。
働き方の多様化
昨今では、働き方改革が進められていることもあり、働き方が多様化しています。
たとえば、リモートワークやフレックス制度、副業の容認など、従業員の働き方はさまざまです。
柔軟な働き方をしながら生産性を向上させるには、業務改善が不可欠です。
テクノロジーの進化
テクノロジーの進化により、かつては大企業しか導入できなかった高度なITシステムを、多くの企業が導入できるようになりました。
一方で、高度なシステムを導入しても、使いこなせる人材の育成・確保ができていないという課題があります。
そのため、業務改善を通じて、自社のシステムを使いこなせる人材を増やすことが急務です。企業は定期的にIT技術研修を実施したり、専門家に依頼したりする対策が求められています。
業務改善のメリット3選
企業が業務改善を実施するメリットは、主に以下の3つです。
- 生産性アップにつながる
- 迅速な意思決定が可能になる
- 不要なコストを削減できる
生産性アップにつながる
業務改善により、非効率な作業や重複業務を排除することで同じ時間でより多くの成果を生み出せるようになります。結果として、組織全体の生産性が向上するのがメリットです。
業務改善を実施することで、従業員は本来注力すべきコア業務に時間を割けるようになります。
業務フローを見直すことで、作業時間の短縮だけでなく品質の向上も期待できます。
迅速な意思決定が可能になる
業務改善を実施すると、業務プロセスが明確になり情報共有がスムーズになります。これにより、スピーディーな意思決定が可能になります。
たとえば、業務改善によって承認フローを最適化すれば、承認待ちの時間を大幅に削減できます。
市場の変化が激しい現代において、意思決定スピードの向上は競争優位性を確保することにつながります。
不要なコストを削減できる
業務改善により重複している業務や、過剰な在庫などのムダを排除することでコストを削減できます。
たとえば、人件費や材料費、管理費などが主な対象です。
業務プロセスの見直しにより、無駄な出張や会議なども削減できるでしょう。
ペーパーレス化により紙代や印刷代、保管スペースのコストなども削減可能です。
企業で業務改善を進める手順・方法
ここでは、企業が業務改善を実際に進めるための具体的な手順と方法について紹介します。
主な業務改善の手順は、以下の5つです。
- 現在の業務フローを把握する
- 改善点を見つける
- 改善策を考える
- 現実的なスケジュールに落とし込む
- 実行および効果の分析
1.現在の業務フローを把握する
業務改善を進めるにあたり、現状の業務プロセスを正確に把握することは重要です。
いつ誰が何を、どのように行っているかを客観的に記録します。
現状の業務フローを把握していない状態では、的外れな施策につながるリスクがあります。
業務フローを可視化し、社内で共通の認識をもてるようにしましょう。
2.改善点を見つける
現状の業務フローを可視化した後は、そのなかから改善できるポイントを探ります。
業務には多くの非効率なフローがありますが、すべてを同時に改善することは不可能です。限られたリソースで最大の効果を得るためには、大きな課題を優先的に特定する必要があります。
まずは、可視化した業務フローのなかで、もっとも時間がかかっている工程を確認しましょう。
3.改善策を考える
業務フローのなかから特定した課題に対して、改善策を検討します。
まずは「そもそもこの業務を省けないか?」と問い、業務フローの簡略化を目指します。業務を省くことができない場合には、ツールの導入や配置の変更などを検討しましょう。
たとえば、顧客データの入力作業をツールで自動化し、一元管理することで作業時間を短縮するなどの方法が考えられます。
4.現実的なスケジュールに落とし込む
具体的な改善策を立てたあとは、実際に改善を行うためにスケジュールに落とし込みます。
担当者や期限、必要なリソースなどを明確にし、社内に共有しましょう。
業務改善を実施するときは、一部の業務からスモールスタートするのが鉄則です。実施の効果が感じられた場合は、段階的に社内全体に広げていきます。
5.実行および効果の分析
業務改善策を実行した後は、効果の検証および分析を行います。
PDCAサイクルを回し、継続的な改善と定着化につなげましょう。業務改善は、一度実行して終わりではなく、期待通りの成果が出ているかを検証し、定期的に見直すことが大切です。
期待した効果が出ていない場合は、原因を分析し、計画を修正する必要があります。
また、新たな業務フローをマニュアル化することで、一時的な改善ではなく、持続的な効果を得られるでしょう。
業務改善を成功させるポイント
業務改善を成功させるポイントは、以下の4つです。
- 会社全体で目的意識をもって取り組む
- 現場と経営層の連携を強化する
- 部分的に小さく始める
- 長期的な視点で継続的な改善を試みる
会社全体で目的意識をもって取り組む
業務改善は特定の部署や担当者だけの活動ではなく、経営層から現場の従業員まで、会社全体が同じ目的意識をもって取り組むことが重要です。
業務改善の目的が共有されていない場合、「やらされ感」が生まれてしまいます。そのため、現場の協力が得られず、施策を進めにくくなります。
経営層が明確なビジョンを示し、全従業員が「なぜこの改善が必要なのか」を理解することで、成功につながります。
現場と経営層の連携を強化する
業務改善は、実際の業務を熟知している現場と、戦略的方向性を示す経営層との連携を強化することが大切です。
現場は具体的な課題のヒントをもっていますが、全社的な視点や戦略的判断が不足しがちです。一方、経営層は戦略的方向性を示せますが、現場の実情を十分に理解していないことがあります。
現場と経営層が双方向にコミュニケーションを取り、現場の知見と経営の戦略を統合することで、実現可能で効果的な業務改善策が生まれます。
部分的に小さく始める
業務改善は、最初から全社的な大規模展開を目指すのではなく、特定の部署や業務に限定して小さく始めるのがコツです。
一部の業務で効果を得られてから、企業全体へと段階的に拡大しましょう。
いきなり全社規模で改善施策を展開すると、予期せぬ問題が発生した際の影響が大きく、リカバリーが困難です。
また、多大な初期投資が必要となり、失敗した場合の損失も大きくなる点も注意が必要です。
長期的な視点で継続的な改善を試みる
業務改善は一度実施して終わりではなく、市場の変化に応じて継続的に改善を重ねることが大切です。あくまでも、長期的な取り組みとして位置づけましょう。
ビジネスのトレンドや技術の進化、顧客ニーズなどは常に変化しています。
一度最適化したプロセスも、時間の経過とともに非効率になり、新たな課題が生じたりします。
定期的に業務フローを見直し、小さな改善を積み重ねる習慣が必要です。
業務改善に役立つフレームワーク
ここでは、業務改善に役立つフレームワークである以下の5つをご紹介します。
- ECRS
- PDCAサイクル
- ロジックツリー
- KPT法
- BPMN
ECRS
ECRS(イクルス)とは、業務フローからムダをなくし、業務を簡素化するためのフレームワークです。
主に、以下の4つの手順で進められます。
- Eliminate(排除)
- Combine(結合と分離)
- Rearrange(入替えと代替)
- Simplify(簡素化)
ECRSは、AI技術やツールなどを導入する前に活用するとよいでしょう。
PDCAサイクル
PDCAサイクルとは、施策の実施を通じて業務を改善するためのフレームワークです。
主に、以下の4つの手順から成り立っています。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
Planで設定した仮説と目標に合わせて、Doで施策を実行し、Checkで客観的に評価します。評価内容をもとに、Actで改善行動につなげるのが一般的な流れです。
このサイクルを回すことで、業務改善の効果を高められます。
ロジックツリー(決定木分析)
ロジックツリー(決定木分析)は、複雑な問題を木のように枝分かれさせて、分解して考えるフレームワークです。業務改善において、構造化された要素に分解することで、根本原因や解決策を特定できます。
複雑な課題に直面した際、多くの組織は問題の全体像を把握できず、表面的な症状だけに対処しがちです。
ロジックツリーは問題をツリー状に分解することで、どの要素がボトルネックとなっているかを可視化できます。結果として、解決策を打つべきポイントを明確にすることが可能です。
KPT法
KPT法は、業務改善を振り返る際に役に立つフレームワークのひとつです。
主に、以下の3つの観点から評価します。
- Keep(継続すべき点)
- Problem(改善点)
- Try(改善につなげる施策)
物事を実施した後に、次の具体的なアクションを導き出すために役立ちます。
BPMN
BPMN(Business Process Model and Notation)は、業務の開始から終了までのフローを図式化するフレームワークです。
国際標準(ISO19510)にもとづいて作成されており、ビジュアルで直感的に理解できるメリットがあります。
業務改善では、部門間の業務フローを正確に視覚化する際に、役に立つといえるでしょう。
業務改善の注意点3選
業務改善の際の注意点を3つ紹介します。
- 現場から反対されるリスクがある
- 業務改善の必要性を伝えなければならない
- 変化に対して従業員から不安の声があがることもある
注意すべきポイントを押さえておくことで、対策を立てやすくなるでしょう。
現場から反対されるリスクがある
業務改善は、現状維持を望む現場からの強い抵抗や反対に直面するリスクがあります。
従業員が業務改善に反対する主な理由は、慣れ親しんだ現状のやり方を失うことへの現状維持バイアスや、新しい方法を学ぶことへの手間に対する拒否反応などが挙げられます。
もしも現場から反対意見が出た場合は、フィードバックとして受け止めつつ、業務改善の必要性を丁寧に説明することが大切です。
業務改善の必要性を伝えなければならない
業務改善を成功させるためには、現場の納得感を得るために、必要性を説明することが重要です。
なぜ今、業務改善が必要なのかという理由を、企業全体に透明性をもって繰り返し伝えます。これにより、共通の危機意識と目的意識をもってもらうことが大切です。
従業員が業務改善の背景を理解していないと、一時的な手間や負担として認識され、モチベーションが上がりません。
目的の共有は、全社的な協力体制を引き出す土台となります。
変化に対して従業員から不安の声があがることもある
業務改善を進めるにあたって、反対意見だけでなく、不安の声があがる場合もあります。
とくに、AIなどの自動化技術の導入は、自分の仕事が奪われるのではないかという従業員の焦りにつながりやすいでしょう。
業務フローは見直しつつも、従業員の役割を新たに設計し、スキルアップ計画とセットで提案することがおすすめです。
従業員が自分のポジションを奪われないと感じられれば、不安が解消する可能性があります。
まとめ
業務改善を実施することで、業務効率や生産性、顧客満足度などがアップする可能性があります。
自社で業務改善を進めるためには、現状を正確に把握し、課題を可視化することが大切です。まずは、一部の業務でスモールスタートしながら、段階的に全社へ展開しましょう。
現場の納得感を得るために、経営が業務改善の必要性を説明することも必要です。
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