2025.12.20
ローコード開発とは?メリット・デメリット・導入手順まで解説
ローコード開発とは、プログラミングコードをほとんど書かずに、視覚的な操作でアプリケーションを構築する開発手法です。
ドラッグ&ドロップなどマウスの直感的な操作で開発できるため、従来のスクラッチ開発と比べて開発期間を短縮できるのがメリットです。
そのため、企業のシステム開発において、「開発期間が長い」「エンジニア不足で対応できない」といった課題を解決する手段として注目されています。
本記事では、ローコード開発の基本からメリットやデメリット、具体的な導入手順などを解説します。
ローコード開発とは
ローコード開発とは、プログラミングコードをほとんど書かずにアプリケーションを開発する手法です。
操作はドラッグ&ドロップのマウス操作が中心で、画面設計やデータベース連携、業務フローの構築が可能です。
従来の開発では、エンジニアがプログラミング言語を用いて一からコードを書く必要がありました。ローコード開発では、あらかじめ用意されたパーツを組み合わせる形で開発を進めるため、専門エンジニアが不足している企業でもアプリを作りやすくなっています。
ローコード開発が注目されている背景
ローコード開発が注目される背景には、企業のDX(紙やExcelで行っていた業務のデジタル化)推進の必要性の高まりがあります。
しかし、従来のシステム開発は時間もコストも多くかかるうえに、IT人材の不足も相まって、思うようにDXを進められない企業が多く存在しました。
一方で、市場の変化スピードは年々加速し、顧客ニーズも短期間で移り変わっています。こうした環境に対応するため、企業はより迅速な改善サイクルを回していくことが求められています。
その点、ローコード開発であれば画面や処理を短時間で作り替えられるため、変化への即応性が高まり、DXを力強く推し進められるのがメリットです。こうしたメリットから、ローコード開発はさまざまな業界で導入が急速に進んでいます。
ノーコード開発・スクラッチ開発との違い
ローコード開発と混同されやすい手法に「ノーコード開発」「スクラッチ開発」があります。
それぞれの違いを、以下の表にまとめました。
| ローコード開発 | ノーコード開発 | スクラッチ開発 | |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 基本はマウス操作で開発して必要に応じて部分的にコードを追加できる | プログラミングコードを一切書かずにアプリケーションを作る | ゼロからプログラミングコードを書いて開発する |
| メリット |
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| デメリット |
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それぞれ特徴が異なるため、どの開発手法を選択するかは利用用途によって検討する必要があります。
ローコード開発が適しているケース
ローコード開発は、すべてのシステム開発に適しているわけではありません。
以下のようなケースに当てはまる場合には、ローコード開発の導入効果を実感しやすくなります。
- 短期間でのリリースが求められる業務アプリケーションの開発
- 要件変更が頻繁に発生するプロトタイプ開発や実証実験(PoC)
- 既存システムとの連携が必要な部門単位のアプリケーション開発
ローコードは小規模な機能から試しやすく、改善を積み重ねながら業務に合った仕組みに育てられます。
複雑な機能をすべて自作する必要がないため、限られた人員でも運用しやすいのが特徴です。
ローコード開発のメリット
ローコード開発を導入すると、企業のシステム開発に以下のようなメリットがもたらされます。
以下では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
- 開発コストを削減できる
- 開発スピードが向上する
- 既存システムとの連携・拡張に柔軟に対応できる
- 開発未経験者でも活用できる
開発コストを削減できる
ローコード開発のメリットは、開発コストを削減できることです。従来のスクラッチ開発と比較して、人件費やプロジェクト全体のコストを抑えられます。
具体的には、コーディング作業が減るため、エンジニアの稼働時間の削減が可能です。さらに、保守・運用コストの削減効果も期待できます。
外部ベンダーへの保守委託費用も抑えられるため、長期的なTCO(総保有コスト)の観点でも有利です。
ただし、ローコードプラットフォームのライセンス費用や、ユーザー課金が発生する点には注意が必要です。開発規模や利用人数に応じた料金体系を事前に確認し、従来の開発手法と比較して投資対効果を試算しておく必要があります。
開発スピードが向上する
ローコード開発では、あらかじめ用意されたパーツを組み合わせるだけで画面や処理を構築できるため、開発スピードが向上します。
ログイン画面やデータ入力フォーム、承認の流れなど、多くのアプリケーションに共通する機能は、テンプレートから選ぶだけで実装可能です。ゼロからコードを書く必要がないため、開発者は独自性のある機能づくりに集中できます。
既存システムとの連携・拡張に柔軟に対応できる
多くのローコード開発ツールは、標準的なデータ連携の仕組みをサポートしており、基幹システムや外部サービスと簡単に接続可能です。これにより、CRM(顧客関係管理)や会計システムなど、既に導入しているサービスとデータ連携を行いやすくなります。
また、必要に応じて独自の処理の追加も可能です。標準機能では足りない部分をコードで拡張できるため、ノーコード開発よりも柔軟性を確保できます。
この拡張性が、段階的にシステムを育てたい企業で広く採用されている理由です。
開発未経験者でも活用できる
ローコード開発は画面操作が中心のため、プログラミングに不慣れな人でもアプリ開発に携わりやすいのが特徴です。
豊富に揃っているテンプレートやマウス操作によって開発を進めるため、開発コードの文法を覚える必要がなく、初めての人でも迷わずに作り始められます。
ただし、開発未経験者が活用する場合には、一定の学習期間とサポート体制が必要です。ローコード開発ツールの操作方法やデータ管理の基本的な考え方、セキュリティーの知識などを学ぶ研修プログラムを用意すると効果的です。
ローコード開発のデメリット
ローコード開発には多くのメリットがある一方で、導入前に理解しておくべき以下のようなデメリットも存在します。
- カスタマイズに制限がある
- ツール習得のための学習コストがかかる
- ベンダーロックインのリスクがある
カスタマイズに制限がある
ローコード開発には便利な標準機能が多い一方で、細かな仕様を自由に作り込めない場面があります。
決められたパーツやテンプレートを活用して機能構築するため、複雑な処理や会社のイメージに合わせたデザイン・画面を実装したい場合に限界が生じることがあります。
必要に応じてコードを追加する方法もありますが、ツールごとの制約により実現できないケースがあるのも事実です。そのため、導入前に、実現したい機能がツールの標準機能で対応可能か確認してください。
ツール習得のための学習コストがかかる
ローコード開発は簡単に使い始められる一方で、実際にはツールの操作や仕組みを理解する必要があります。
とくに、開発未経験者がローコード開発を始める場合、データベースの基本的な考え方やシステム連携の仕組み、セキュリティーの考え方などシステム開発の基礎知識が必要です。データの扱い方や画面の構成を理解していない場合、作業が滞りやすくなります。
学習にかかる時間を抑えるには、サポート体制が充実したツールを選ぶのが有効です。オンライン学習コンテンツや利用者コミュニティー、提供会社による技術支援などが整っているツールを選ぶことでスムーズなスキル習得が可能になります。
ベンダーロックインのリスクがある
ローコードツールはプラットフォームごとに仕様が異なるため、一度導入すると特定のツール提供会社のサービスに依存しやすくなります。そのため、他のツールへ移行しにくくなる場合があります。
これを「ベンダーロックイン」と呼び、長期的な運用においてリスクとなる可能性があります。とくに、画面の構造やデータの形式が独自仕様である場合、別の環境で再構築する手間が大きくなります。
ベンダーロックインのリスクを減らすには、導入前にサービスレベル契約の内容を確認し、稼働率保証やバックアップ体制を把握しておくことが重要です。
ローコード開発の導入手順
ローコード開発を円滑に導入するためには、以下の流れで段階を踏んで準備を進める必要があります。
- 要件定義
- ツールやプラットフォームの選定
- 開発・設計
- テスト・リリース
①要件定義
要件定義とは、「どのようなシステムを作りたいのか」を明確にする作業です。この段階で目的や必要な機能をはっきりさせておくと、後の工程がスムーズに進みます。
まず、現場の困りごとを書き出し、紙やExcelで管理している作業のどの部分を改善したいのかを確認します。そして必要な画面や入力項目、操作の流れをまとめ、優先度をつけてください。
ローコード開発は段階的な拡張に向いているため、最初は最小限の機能に絞り、使いながら調整する進め方が効果的です。また、既存システムとのデータ連携の有無や使用人数についても確認しておくと、その後のステップが円滑に進みます。
②ツールやプラットフォームの選定
要件が固まったら、自社に合ったローコード開発ツールを選びます。操作性だけでなく、以下のような観点で比較検討してください。
- 実現したい機能がそのツールで作れるか
- 利用人数に応じた月額料金や機能追加時の費用
- 将来的に利用者が増えた場合のコスト
- 日本語のマニュアルやオンライン学習コンテンツが充実しているか
- 困った時に問い合わせできる窓口があるか
- 既存システムとの連携のしやすさ
複数のツールで迷った場合は、無料トライアルや体験版を使って実際に小さなアプリを作り、操作のしやすさや開発スピードを比較するのが効果的です。
開発チームのメンバーにも操作してもらい、使いやすさを評価してもらうのもおすすめです。
③開発・設計
ツールが決まったら、実際にアプリケーションを作り始めます。ローコード開発では、画面を見ながら直感的に開発を進められます。
まず、ログイン画面やデータ入力画面など操作しやすい画面レイアウトを作り、データの流れを確認してください。その後、現場のメンバーに操作してもらい、改善点を洗い出します。
この流れを短いサイクルで繰り返すと、使いやすさを高めながら開発できます。ローコードは試作が短時間で作れるため、最初に大きな仕様を決め込むより動く画面を使って意見を集める方法が効果的です。
④テスト・リリース
テストでは、入力内容が正しく処理されるか、画面遷移に不具合がないかを確認します。テストで問題を洗い出し、修正してから公開することで、利用者に安心して使ってもらえます。
とくに業務システムの場合、誤ったデータが登録されると運用へ影響が出るため、想定外の操作も含めた検証が必要です。
テストは開発チーム内だけでなく、実際に使用するメンバーにも試してもらい、使いにくい点や改善点を集めます。
問題がなければ、小規模な範囲でスモールリリースし、実際の利用状況を確認したうえで本格展開してください。リリース後も、利用者からの意見を集めて継続的に改善を続けることが成功のポイントです。
ローコード開発を導入する際のポイント
ローコード開発を成功させるには、導入前に押さえておくべき以下2つのポイントがあります。
- 開発に携わる人数を把握しておく
- 運用者のプログラミングスキルを把握しておく
開発に携わる人数を把握しておく
ローコード開発ツールの多くは、利用人数に応じた料金体系を採用しています。そのため開発や運用にかかわる人数を事前に把握しておくことで、適切な予算計画が可能です。
まず、開発フェーズで何人が同時に開発作業を行うかを確認します。開発者ライセンスは利用者ライセンスより高額な場合が多いため、実際に開発する人数を正確に見積もることで費用削減につながります。
また、将来的な拡大計画も考慮して、利用人数が増えた場合の料金体系を確認し、段階的に拡大できるプランを選択しておくと安心です。
人数の把握は単なる費用計算だけでなく、サポート体制や教育計画を立てるうえでも重要な情報になります。
運用者のプログラミングスキルを把握しておく
ローコード開発は、プログラミング不要とされていますが、運用する人のスキルレベルによって、選ぶべきツールや必要な教育内容が変わってきます。
エンジニア経験者がいる場合は、コードを追加して拡張できる柔軟性の高いツールを選ぶとより高度なシステムを構築できます。
一方、プログラミング経験がまったくない現場担当者が開発する場合は、操作が簡単でマニュアルやサポートが充実しているツールを選ぶのが成功のポイントです。
まとめ
ローコード開発は、少ないコード量でアプリを作成できるため、スピードと柔軟性を両立できる方法です。開発期間の短縮や費用の削減など、多くのメリットがある一方で、カスタマイズの制限やベンダーロックインといったデメリットも存在します。
導入を成功させるには、自社の課題を明確にしたうえで適切なツールを選び、スモールスタートで段階的に開発を進めることが重要です。
ローコード開発を検討している方は、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンがサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。