バックオフィスDXとは?効果や導入の流れ、成功事例を解説

2023.03.24

バックオフィスDXとは?効果や導入の流れ、成功事例を解説

バックオフィスDXとは?効果や導入の流れ、成功事例を解説

バックオフィス業務の重要性はどこの企業でも同じで、現場が円滑に業務遂行するためにはバックオフィス業務の充実が欠かせません。しかしながら、多くの企業では、人材充当をはじめとしてバックオフィス以上にフロントオフィスへ注力するケースが多く、バックオフィスの負担が大きくなってしまいます。そこで役立つのが「バックオフィスDX」の取り組みです。「バックオフィスDX」に取り組むことができれば、バックオフィス業務の効率化はもちろんのこと、全社的な業務負担の軽減や現場の業務遂行度の向上にも繋がるでしょう。

そこで当記事では、バックオフィスDXの基本情報や導入する流れについて解説します。バックオフィスDXについて知らない方や、これから取り組むことを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

バックオフィス業務とは、企業の売上に直接的には絡まないような業務のことを指します。バックオフィス業務は売上に絡まない業務ではあるものの、利益を上げるために現場が仕事をしやすくことへ欠かせない業務です。そのことを踏まえて以下でご紹介するバックオフィスの主な職種について確認しておきましょう。

【バックオフィスの主な職種】

職種 業務内容
経理 企業内の出納業務など、取引先との間で実際に動く請求・支払いなどの金の管理をします。他にも、従業員の給与計算なども経理の業務内容となってきます。
財務 資産の運用・管理や予算管理などを行ないます。経理と少し内容が被る部分もあるため、企業の規模によっては経理の業務に財務業務がすべて含まれるケースもあります。
人事・労務 社員の採用や退職に関わる事務業務をします。他にも社内の部署移動や労働環境などに関する業務も行います。
総務 備品管理などの業務を行います。企業によっては経理や事務が担当することもあります。
一般事務 来客対応や電話対応などを行います。事務所内の対応だけでなく、データ入力など事務作業と呼ばれるものはすべて対応します。

バックオフィス業務の詳細については、「バックオフィス業務とは?重要性や課題、効率化の方法を徹底解説」のコラムもご参照ください。

バックオフィスDXとは、先で解説したバックオフィス業務にAIやITツールなどを導入してデジタル化を実現し、業務効率化やコスト削減を目指す取り組みのことを指します。DXという用語は、昨今のIT技術の発展によって耳にすることが増えており、バックオフィス業務だけでなくあらゆる業務に対して使われているので覚えておきましょう。

紙媒体での処理などのアナログ的な面の強い業務などがいまだ多く見られるバックオフィス業務では、DX化の余地が多くあるため、「バックオフィスDX」が注目を集めています。バックオフィスDXに取り組めば、入力作業などの事務処理の自動化が実現したり、リモートワークが行えるようになったりして、大幅な効率化が図れるでしょう。

バックオフィスDXが注目されるようになった背景には、先で解説したアナログ的な面の多さや働き方の変化が挙げられます。例えば、IT技術が発展することで、業務の多くを自動化・簡易化できるようになり、従来の業務に対してムダやムラが目立つようになりました。これにより、業務の改善に取り組み続けている企業ではDX化が必須であることに気づくようになり、ムダやムラの多いバックオフィス業務にITツールなどを組み込むバックオフィスDXが注目されるようになったのです。

また、働き方の変化については、新型コロナウイルスの流行などによって普及し始めた「リモートワーク」などが挙げられます。従来までは事務所に通勤して業務を行う必要があったバックオフィスですが、技術の発展によりクラウドサービスなどが普及し、わざわざ出勤せずとも必要業務をこなせるようになりました。こういった背景もあって、バックオフィスDXは注目されるようになったのです。

バックオフィスのDX化によって、バックオフィス業務の取り組み方は大きく変化するため、様々な効果に期待が持てるでしょう。以下ではバックオフィスのDX化に伴って期待される効果について解説します。自社のバックオフィスに対してどういった変化を求めているのかを踏まえて、以下でご紹介する内容を参考にしてみてください。

【バックオフィスのDX化で期待される効果】

  • 生産性向上
  • コスト削減
  • 正確性の担保
  • 業務属人化の防止
  • 社員満足度の向上

生産性向上

バックオフィスのDX化により、業務にかかる多くの時間を短縮できます。これにより、1日に対応できる業務の量が大幅に向上するため、結果として生産性が向上します。対応できる業務量の拡大以外にも、ヒューマンエラーの防止や業務の標準化も図れるため、問題が発生する可能性を排除できて安定した業務遂行に繋がるでしょう。

生産性向上を図りたい方は、入力作業の自動化やクラウドサービスの活用によるリモートワークの実現に取り組むことで、目的を達成できる可能性が高まります。

コスト削減

入力作業の自動化などを一例に、DX化を進めることで工数を削減できるだけでなく、ペーパーレス化なども実現するため、印刷費用などのさまざまな関連コストを削減できます。DX化に取り組むことで設備導入費用などの初期投資費用はかかりますが、長期的な目線で見れば投資額以上のコスト効果を創出できます。

また、ペーパーレス化を進めればDX化の幅が広がるため、より高い効果が見込めます。技術が発展するほどDX化の効果は高くなるため、長期的な目線で取り組めば効果は計り知れないものがあるでしょう。

コスト削減は企業の利益率を上げるための重要な取り組みであり、バックオフィス業務には改善できるポイントが多くあることに注目することが大切です。

正確性の担保

DX化を進めると人の手による作業が自然と減っていきます。これにより、ヒューマンエラーなどのミスが発生しづらくなり、業務の質が安定するでしょう。バックオフィス業務はフロントオフィス業務以上に正確性を求められることが多いため、正確性が担保できるようになれば、他社からの評価にも良い影響を与えます。

また、正確性が担保される理由としては、自動化や業務の標準化が挙げられます。DX化を進めることで、ITツールに合わせた業務に変化するため、ITツールが自動で行なう業務はミスが発生しにくくなり、ITツールによって統一されたフォーマットなどを使用して標準化が実現すれば、独自のやり方をする人が減ってミスなどを防げるでしょう。

業務の属人化の防止

DX化を進めると業務の進め方が統一されるようになってきます。そうすることで、バックオフィス業務に発生しやすかった属人化を防ぐことができるでしょう。属人化は人手が不足しがちなバックオフィスには致命的な問題となるため、DX化によって業務の標準化を図ることが重要となってきます。

導入するツールにもよりますが、多くのITツールでは決まったフォーマットがあって、簡単に扱えるようになっています。そのため、新入社員が入ってきても簡単に扱えるようになりますし、フォーマットも決まっているので標準化の実現も容易となります。

社員満足度の向上

バックオフィスDXが進めば業務の効率化が進むため、従業員にかかる負担が大幅に軽減されます。負担が減ることで従業員に適切な業務量を任せることができるようになり、満足度が向上するでしょう。また他にも、DX化が進めばリモートワークなども実現して働きやすさが向上するため、満足度の向上が期待できます。

社員の満足度が向上すれば、離職率の低下などの業務以外の部分でもメリットが生まれやすいため、バックオフィスの体制を整えるためにも「社員満足度」についてはしっかりと意識しておくことが大切になってくるでしょう。

バックオフィスDXの基本情報や効果を踏まえた上で、実際に導入を検討している方は以下で紹介する導入の流れを把握しておきましょう。流れを把握しておくことで、実際に導入に向けて動き始める際の取り組みがスムーズになります。

【バックオフィスDXを導入する流れ】

  1. 業務の可視化を行う
  2. DX化する業務を選定する
  3. 目的にあったツール・サービスを導入する
  4. 効果検証を行う

1.業務の可視化を行う

まずは業務の可視化を進めることで、DX化が図れそうな業務を見定めます。すべての業務をDX化することもできなくはないですが、それにかかるコストは膨大になってしまいます。そのため、まずは既存の業務を全て書き出して選定しやすくなるような下地を作りましょう。

この際、大小問わず存在する業務は全て洗い出すようにしてください。時代の流れや技術の変化によってDX化を優先すべき業務が変化する可能性もあるため、全て洗い出して可視化したものを長期にわたって活用していくことが大切です。

2.DX化する業務を選定する

業務の可視化が完了したら、それらを基にDX化する業務を選定していきましょう。選定する際は、ITツールとの相性や効率化する優先度などを加味して行なってください。他にも、ITツール次第では同時進行できるものもあるため、DX化を進める際の効率や効果の大きさも意識して選定しましょう。

実際に選定ができたら、DX化に詳しいプロの方に依頼して取り組みの方向性に間違いがないかを確認してもらいましょう。自社にITツールなどの専門家がいれば問題ありませんが、多くの場合はいないかと思いますので、外部企業から提案などを受け、取り組みのアドバイスをもらいながら最終的な選定を完了してください。弊社もご支援していますので、こちらから是非お問い合わせください。

3.目的にあったツール・サービスを導入する

選定作業が完了したら、実際に必要となるツール・サービスの導入を進めましょう。ツールやサービスにはクラウドサービスを利用するものもあれば、オンプレミス型を導入して自社でカスタマイズするものもあります。バックオフィス業務の多くは、どの分野でも共通している部分が多いため、カスタマイズをする必要は殆どないので汎用的なシステムを導入したりクラウドサービスを利用したりするのがおすすめです。

4.効果検証を行う

導入を完了して実際に稼働し始めたら、定期的に効果検証を行いましょう。DX化の効果が出なければ導入した価値が全く無くなってしまうため、検証作業は重要な作業の一つです。

効果検証をした結果、ツールが合わない場合には別ツールの導入を検討しなくてはいけませんし、業務内容自体に問題がある場合は業務の根本を改善する必要があるかもしれません。DX化で出来ることと出来ないことを見極めて、バックオフィス業務の効率が上がるように効果検証を進めていきましょう。

バックオフィスDXを推進する方法には色々な種類があります。先の「導入する流れ」の解説ではツールやサービスを利用するといった抽象的な紹介となりましたが、以下では具体的にどういった取り組みがあるのかをご紹介していきます。

【バックオフィスDXを進めるための具体的な取り組み】

  • ペーパーレス化を推進する
  • AIやRPAを活用する
  • クラウドサービスを導入する

DX化では主に以上のような取り組みが行われることが多いです。ITツールは色々と種類があるため、取り組みの内容によって最適なものを選定しなくてはいけないでしょう。

ペーパーレス化を推進する

ペーパーレス化とは、既存の書類を電子化することで紙媒体の取り扱いを減らしていくことを指します。DX化を進めるうえでペーパーレス化は必須の取り組みと言えるため、バックオフィス業務をDX化するうえでの第一歩と言えるでしょう。

ペーパーレス化を進める方法は色々とあり、スキャンをして書類の電子化だけを図る方法や、電子化後のことも見越してシステムを利用しながらペーパーレス化を進める方法などがあります。例として、以下では富士フイルムビジネスイノベーションが提供するペーパーレス化に役立つシステムや取り組みについてご紹介します。

ワークフローシステム
『X-point Cloud』
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複合機とも連携の可能なワークフローシステムです。導入することによって、稟議書や申請書などの承認プロセスを電子上で実施することができます。
ドキュメントコラボレーションクラウド
『FUJIFILM IWpro』
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FUJIFILM IWproは、文書の自動取込み・仕分けから、データ共有、管理、出力、そしてセキュリティーや操作のしやすさまで、デジタル化した業務に求められる機能を集約したクラウドサービスです。クラウド上の統合環境で協働・コラボレーションを実現し、お客様の業務変革を支援します。
電子サイン
『SAdobe Sign/DocuSign/クラウドサイン』
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電子サインを導入することによって、契約書を紙媒体で発行する必要がなくなり、電子取引がスムーズになります。

RPAやAIを活用する

RPAとは、業務をAIが組み込まれたソフトウェアにやらせて自動化を図るプログラムのことを指します。活用することで入力作業などの自動化が図れて、必要となる人員数の削減や業務スピードの向上に期待が持てるでしょう。RPAやAIを活用した自動化では、ヒューマンエラー発生率の軽減や、24時間稼働といった効果も見込めます。

RPAは「データ入力」や「他システムとの連携」といった業務を得意としており、AIと共に活用することで決められたロジック内での作業の自動化が実現しやすいです。DX化において「自動化」は必須の取り組みであるため、積極的に導入していくことをおすすめします。

AI-OCR
『ApeosPlus desola』
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AI-OCRは、読み取り技術であるOCRにAIを組み込んだものです。『ApeosPlus desola』では、入力作業からシステム登録作業までを支援するクラウドサービスです。データ入力の事務作業を大幅に効率化することが可能となります。

クラウドサービスを導入する

バックオフィス業務に相性の良い取り組みとしてクラウドサービスの導入があります。クラウドサービスを導入すれば事務所で行なっていた事務作業などのリモート化が実現するため、働き方の改善にも繋がります。バックオフィスは負担の多いポジションであるがゆえに、従業員が辞めてしまうことも少なくなりません。ですが、そういった問題点も、クラウドサービスなどを活用したDX化によって、従業員の満足度を高められれば、離職率の低下に期待できるでしょう。

クラウドサービスには『会計ソフト』『販売管理ソフト』『経費精算ソフト』『勤怠管理ソフト』『kintone』などがあります。何のバックオフィス業務をDX化したいかによって利用するクラウドサービスは異なるので、以下のサイトを参考に最適なサービスを検討してみましょう。

バックオフィスDXを実際に取り組む決断をしたのであれば、成功事例を知っておきましょう。成功事例を知っているだけで、実際に取り組む際の目安にもなりますし、導入した後のイメージを抱きやすくなります。以降では、富士フイルムビジネスイノベーションが携わった成功事例についてご紹介します。3種類の業務に関するDX化の成功事例をご紹介しますので参考にしてみてください。

【富士フイルムビジネスイノベーションの成功事例】

  • 受注処理業務のDX化成功事例
  • 文書管理業務のDX化成功事例
  • 収益管理などの経営報告業務のDX化成功事例

受注処理業務のDX化成功事例

A社様では、「DocuWorks」「ペーパーレスファクス」の導入により、ペーパーレス化によるバックオフィス業務の効率化に成功しています。これまではファクスなどで届いた注文書を紙に出力してから発注手続きをしており、その結果、保管する書類がすぐに溜まってしまうなどの課題が生まれました。

そこで、活躍したのが富士フィルムビジネスイノベーションのDocuWorksとペーパーレスファクスです。導入したことによって電子文書による運用が実現し、「仕分け処理の手間の削減」や「コストの削減」に成功しました。紙媒体のせいで増えていた業務がIT技術の導入によって、大幅に効率化した良い例と言えるでしょう。

文書管理業務のDX化成功事例

B社様では、「DocuWorks」「Working Folder」を導入することでDX化に成功しています。蓄積された大量の紙の文書で保管スペースがひっ迫していたため、効率性を備えた環境へ改善することが課題となっていました。

そこで活躍したのがDocuWorksとWorking Folderです。これらのツールによって、蓄積された紙媒体を電子化することに成功し、検索性が高い保管に実現しています。また、段階的に取り組むことによって、従来のフローを生かしつつ、DX化に取り組むことに成功しています。

収益管理などの経営報告業務のDX化

C社様では、「kintone」の導入を行いました。収益管理や経営報告業務に課題があり、また、社員の業務状況の把握が出来ないという問題もありました。それを解決するために導入したのがkintoneです。導入することによって収益管理や日報を効率的に管理・把握できる環境が実現しました。

ITツールの有効活用により、確実な課題解決につながった事例となります。

バックオフィスDXとは、バックオフィス業務にAIやITツールなどを導入してデジタル化を実現し、業務効率化やコスト削減を目指す取り組みのことです。IT技術が発展し続けている昨今において、DXという取り組みは欠かせないものとなってきており、導入した企業の様々な課題を解決しています。

また、バックオフィスDXに取り組むことで、コスト削減や生産性向上など様々な効果が見込めます。業務の負担も大きくなりやすいバックオフィス業務には、DXのような取り組みとの相性が良いとされているので、まだDX化に取り組めていない方はすぐにでもITツールやクラウドサービスの導入を検討することをおすすめします。

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