2026.01.15
テレワークにおける課題とは?具体的な対処法をわかりやすく解説
テレワークの課題は、コミュニケーション不足や勤怠管理の複雑化、セキュリティーリスク、評価の曖昧さなど多岐にわたります。
場当たり的な対策ではなく、企業全体で体制を整えることが大切です。
本記事では、とくに中小企業が直面しやすいテレワークにおける課題を紹介します。企業側、従業員側の課題に加え、対処方法もまとめました。
テレワークの主な課題
まずはテレワークにおける主な課題を、下記の5つに分けて解説します。
- コミュニケーション不足になりやすい
- 業務の進捗状況を把握しにくい
- 業務の向き・不向きがある
- セキュリティーに関するリスクが高い
- 作業環境・設備に個人差がある
コミュニケーション不足になりやすい
テレワークでは、オフィスのような偶発的な会話が生まれにくく、相談やフィードバックのタイミングをつかみにくくなります。結果として、認識のズレや情報伝達の遅れが生じ、業務ミスや心理的な孤立感につながるケースが見られます。
また、チャット中心のコミュニケーションは文字情報に依存するため、意図が伝わりにくく、関係性の摩擦が起きやすい点も課題です。リモートだからこそ、必要なコミュニケーションを仕組みとして意図的に設計することが必要です。
業務の進捗状況を把握しにくい
テレワーク環境では、部下がどれくらいの業務を抱えているのか、業務の進捗などが見えにくくなるのも課題です。
進捗確認が属人的になり、管理職が逐一状況を聞かなければならない非効率が発生しがちです。結果として、過度な監視・過干渉につながり、従業員のストレスを増大させるケースもあります。
テレワークでは見える化された業務管理が不可欠で、タスク管理ツールやガイドライン整備が求められます。
業務の向き・不向きがある
すべての業務がリモートに適しているわけではありません。新人教育や、頻繁なレビューが必要な業務、対人スキルをともなう業務は、対面のほうが効率的な場合があります。
新人が「誰に相談すべきかわからないまま孤立する」ケースもあり、学習の遅れや早期離職の原因にもなります。
テレワークでは、業務ごとの適性を見極め、プロセスをリモート前提に再設計することが欠かせません。
セキュリティーに関するリスクが高い
テレワークでは、社外ネットワークや私用端末を利用する機会が増えるため、情報漏えい・端末紛失・不正アクセスなどのリスクが高まります。とくにフリーWi-Fiの利用やUSBメモリの持ち出しは危険性が高く、重大な事故につながる可能性があります。
また、従業員のITリテラシーに差があると、設定ミスや誤操作によるインシデントも発生しやすくなります。そのため、リモート前提のセキュリティー設計が求められます。
作業環境・設備に個人差がある
自宅の作業環境は従業員ごとに差があり、机・椅子・回線速度などが不十分な場合、生産性の低下や健康被害のリスクが生じます。腰痛や目の疲れなどの不調が続けば業務パフォーマンスに影響が出る可能性もあります。
また、環境整備を個人に任せたままでは、社員間で働きやすさの格差が生まれやすくなるため、企業として一定のサポートが必要です。
【企業側】のテレワークの課題3選
ここでは、企業側が抱えるテレワークの課題について紹介します。
主な課題は、下記の3つです。
- 機密情報の漏えいリスクが高まる
- ランニングコストがかかる
- 適切に人事評価するのが難しい
機密情報の漏えいリスクが高まる
テレワークは、企業の機密情報や社内のみで共有されているマニュアルなどが、漏えいするリスクが高まります。
オフィスの外に業務環境が広がることで、サイバー攻撃を受ける対象が拡大するためです。
とくに、VPN(仮想プライベートネットワーク)の脆弱性や、従業員が無許可で使用するシャドーIT(従業員が独自に導入した、IT機器やシステム)を通じて、機密情報の漏えいリスクが高まります。
テレワークを実施する際には、重要なデータを持ち出さないなどの、セキュリティーポリシーを策定することが重要です。
ランニングコストがかかる
テレワークを導入するにあたり、新たなランニングコストが発生する課題があります。
たとえば、セキュリティー対策ツールの導入費用やインターネット回線の整備などです。
従業員が自宅でオフィス同様の生産性を発揮するには、椅子やモニターなど、適切な作業環境への補助も必要になります。
また、オフィスの固定費を見直さないまま、テレワーク環境を整える場合、コストが二重にかかってしまうこともあります。
適切に人事評価するのが難しい
テレワークでは、従業員の働き方を公平に評価するのが難しいという課題もあります。
テレワークの場合、従業員の勤務態度や業務プロセスなどが、管理職の目視に頼る評価項目が機能しなくなります。
部下の頑張りが見えない不安から、管理職がPC監視ツールに頼ると、かえって業務効率が低下する可能性もあります。
従来の評価制度ではなく、テレワークに合わせた評価制度を新たに整備することが大切です。
【従業員側】のテレワークの課題3選
企業側だけでなく、従業員側が抱える課題も把握しておくことが重要です。
ここでは、従業員側のテレワークの課題を、下記の3つに分けて紹介します。
- 気軽に質問・相談しにくい
- 業務に最適な環境を整えにくい
- ワークライフバランスが乱れやすい
気軽に質問・相談しにくい
テレワークにおいて、多くの従業員が気軽に質問、相談しにくいという課題を感じています。
オフィスであれば可能だった「今、少しいいですか」という短時間の声かけや、雑談の中での情報共有が難しくなるためです。
とくに新人や中途入社者にとっては、誰に聞けばよいのかがわからず深刻です。
「初歩的なことをチャットで聞いたら、評価が下がるのではないか」という心理的ハードルを感じ、ひとつの業務で何時間もつまずいてしまうケースが発生します。
業務に最適な環境を整えにくい
従業員が、自宅にいながら業務へ集中できる環境を整えることが難しい点も、大きな課題です。
オフィスであれば、会社が提供する備品が利用できます。しかし、在宅勤務では、これらを従業員が自費で準備しなければならないケースが多く、作業環境に格差が生まれることもあるでしょう。
不十分な環境での作業は、生産性の低下だけでなく、従業員の健康にも影響が及ぼします。
たとえば、ダイニングチェアでの長時間のデスクワークは、腰痛などの不調を招く原因です。
また、通信費や水道光熱費といった費用の増加も従業員の負担となります。
ワークライフバランスが乱れやすい
テレワークは、通勤時間がなくなるというメリットがある一方で、仕事と私生活の境界線が曖昧になる点が課題です。
そのため、従業員がワークライフバランスを乱しやすいといえます。
始業前のメールチェックや、終業打刻後の「だらだら働き」が発生しやすくなります。
善意や責任感から残業を申告せずに、労働を続けると、知らないうちに疲労が蓄積するかもしれません。結果的に、メンタルヘルス不調や燃え尽き症候群を引き起こすこともあります。
また、育児や介護のための中抜けを許可した場合、その分終業時刻がスライドし、意図せず深夜労働が発生するケースもあります。
テレワークの課題への対処法
テレワークの課題がわかったところで、どのように対処すればよいのかを知りたくなった方もいるでしょう。
ここでは、テレワークの課題への対処法を、下記の7つに分けて解説します。
- Web会議やビジネスチャットなどを活用する
- 従来の人事制度を見直す
- セキュリティーポリシーを定める
- 勤怠管理システムを活用する
- 業務の進捗・スケジュールを共有する
- 補助金や助成金などを活用する
- マニュアルを整備する
Web会議やビジネスチャットなどを活用する
テレワークでは、対面時の偶発的な会話が消失するため、意図的なコミュニケーション設計が不可欠です。
Web会議は報告・相談の場として、チャットは即時の確認や軽い相談として使い分けるなど、目的に応じた運用ルールを定めることが重要です。また、毎朝の5分ミーティングや週1回程度の1on1を固定化することで、心理的孤立を防ぎ、情報共有の質を高められます。
単にツールを導入するだけでなく、「いつ・どう使うか」まで明確に設計することが大切です。
従来の人事制度を見直す
テレワークの公平性を担保し、従業員の納得度を高めるためには、従来の人事評価制度を見直す必要があります。
従来型の人事制度をそのまま適用すると、「出社している人ばかりが評価される」といった不公平が生まれ、従業員の納得感が低下する可能性があります。評価基準を成果・行動・アウトプットの3軸で再定義し、リモートでも客観的に判断できる基準に更新しましょう。
また、管理職向けに「リモート前提でのメンバー管理・評価」を学ぶ研修を実施することで、組織全体のマネジメント力を底上げできます。
セキュリティーポリシーを定める
リモート環境では社外ネットワーク利用や私物端末の持ち込みなど、情報漏えいリスクが急増します。
情報漏えいを防ぐためには、端末管理、パスワード運用、クラウドサービス利用範囲、生成AIへの情報入力禁止などを明文化したセキュリティーポリシーを策定し、従業員教育を徹底する必要があります。
加えて、VPN接続やデバイスの暗号化、MDM(端末管理ツール)導入など、技術的な対策をセットで実施するとより万全です。
勤怠管理システムを活用する
テレワークでは、自己申告に頼る勤怠管理では正確な労働時間を把握できず、長時間労働や健康リスクが見えにくくなります。
そのため、勤怠管理システムを導入すれば、スマホやPCから出退勤を記録でき、企業は従業員の働き方を客観的に把握できます。また、休憩時間や残業時間の記録も自動化できるため、働きすぎの防止や労務リスクの軽減にもつながります。
テレワークでは、メンバーの作業状況が見えにくく、認識のズレや業務停滞が起こりがちです。タスク管理ツールや共有カレンダーを活用し、「誰が・いつまでに・何をやるか」を可視化する仕組みが必要です。
とくに、未着手・作業中・完了などのステータス管理を徹底すると、管理職がサポートに入るタイミングを判断しやすくなり、チーム全体の生産性が向上します。
補助金や助成金などを活用する
テレワーク環境の構築には、Web会議ツール・クラウドサービス・デバイスなどの初期投資が必要で、中小企業には大きな負担となります。
厚生労働省や経済産業省では、テレワーク設備の導入費を支援する補助金・助成金を提供しており、これらを活用することで導入コストを抑えることが可能です。たとえば、DX推進補助金やIT導入補助金などがあります。
制度は毎年更新されるため、最新情報を確認しながら最適な制度を選ぶことが重要です。
マニュアルを整備する
リモート環境では、近くに同僚がいないため、疑問点がすぐに解決できず業務が滞りやすくなります。業務マニュアルやFAQを体系的に整備しておくことで、従業員は必要な情報にすぐアクセスでき、自己解決能力が高まります。
また、マニュアルがあることで、管理職が同じ質問に繰り返し対応する負担も軽減され、教育コストの削減にもつながります。更新し続けられる運用ルールを設定することが重要です。
まとめ
テレワークの課題は、企業側と従業員側にそれぞれにあり、とくにコミュニケーション不足や人事評価の曖昧さ、セキュリティーリスクは重要な課題です。
テレワークの課題解決には、勤怠管理システムやセキュリティーポリシーの導入など、具体的な対策が必要となります。
自社に合ったツールとルールを整備し、従業員が安心して働ける環境を構築しましょう。
自社だけでテレワーク環境を整えるのに不安のある方は、富士フイルムビジネスイノベーションまでお気軽にお問い合わせください。