2026.01.15
ローコードとノーコードの違いは?注目される背景やメリットを解説
「ローコードとノーコードの違いは何か?」「自社の業務にはどちらが適しているのか?」など、疑問を抱えていませんか。
どちらを選択すればよいか、適切に判断できないと、拡張性やコストの面で不都合が生じる場合があります。
本記事では、ローコードとノーコードの違いを解説しています。それぞれの特徴やメリット・デメリットについても詳しく説明します。
ローコード・ノーコードとは?
まずは、ローコード・ノーコードそれぞれの特徴を解説します。
- ローコードの特徴
- ノーコードの特徴
ローコードの特徴
ローコードとは、基本的な機能は画面操作で組み立てつつ、必要な部分だけ最小限のコードを書いて開発する方法です。ドラッグ&ドロップなどのGUI操作で土台を作り、細かい処理や独自要件はソースコードで補います。
ノーコードよりも自由度が高く、業務システムや外部サービスとの連携など、やや複雑な仕組みの構築にも対応できます。そのため、開発スピードと拡張性のバランスが取れているのが特徴です。
一定のプログラミング知識は必要ですが、フルスクラッチ開発よりも工数やコストを抑えやすいというメリットがあります。
ノーコードの特徴
ノーコードとは、ソースコードを一切記述せず、Webブラウザー上の管理画面でドラッグ&ドロップなどの視覚的な操作のみで開発する方法のことです。
ツール上にテンプレートや機能が搭載されているため、小規模なアプリケーションの開発に向いています。
プログラミング知識を持たない担当者にも、開発の権限を与えられる点が特徴です。
ノーコードの必要性やおすすめツールについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
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ローコードとノーコードの違い
ローコードとノーコードの主な違いは、下記の5つです。
- コーディングの有無
- 開発スキルのレベル
- 開発の柔軟性と拡張性
- 開発の規模
- 運用管理と保守対応
コーディングの有無
ノーコードは、プログラミングコードを一切書かずにアプリケーションを完成させる手法です。開発ツールが提供する部品をドラッグ&ドロップで配置し、開発を進めます。
一方でローコードは、GUI(視覚的な操作画面)による開発をベースにしつつ、必要に応じて最小限のコーディングを行うことを前提としています。
一般的に開発工程の約80%を自動化し、残りの20%をコード記述で補完するイメージです。複雑なロジックの実装が必要な場面では、プログラミング言語を用いて手動で記述します。
開発スキルのレベル
ノーコードは、プログラミング知識を持たない方でも利用可能です。
たとえば、人事担当者が申請フォームを作成する程度であれば、IT専門知識は不要です。ノーコードツールの学習コストのみで対応できます。
一方、ローコードは、主にIT部門やエンジニア、技術者レベルのスキルを求められます。
現場主導であればノーコード、IT部門が主導するならローコードを選択しましょう。
開発の柔軟性と拡張性
システムの拡張性において、ローコードは優位です。
ノーコードは、プラットフォームが標準で提供している機能の範囲内でしか開発ができません。そのため、ツールにない機能が必要になった場合、実装を諦めるか、運用でカバーする必要があります。
一方、ローコードは、標準機能で対応できない部分を手書きのコーディングで対応できます。
将来的に複雑な機能追加が見込まれるプロジェクトでは、迷わず拡張性の高いローコードを選択すべきです。
開発の規模
開発するシステムの規模と複雑さによっても、適した手法は異なります。
ノーコードは、主に小規模なアプリケーションや単一業務の効率化に適しています。大量データや複雑な処理には、弱いのが特徴です。
たとえば、部署内の日報アプリやタスク管理など、利用人数が限定的でデータ構造が単純なものがおすすめです。
一方、ローコードは中〜大規模なシステムの構築が可能な設計となっています。数万ユーザー規模のアクセスや、基幹システムとのリアルタイム連携などにも対応可能です。
主に、社員が利用する経費精算システムや、顧客向けの会員ポータルなどを構築する場合に役立ちます。
運用管理と保守対応
導入後の運用フェーズにおいても、両者には違いがあります。
ノーコードは現場主導で手軽にアプリを作成できる反面、作成した担当者が退職すると、誰も修正できないブラックボックス化したアプリが残される問題があります。
一方、ローコードプラットフォームは、企業利用を前提とした高度なガバナンス機能を備えることが可能です。そのため、バージョン管理機能により、いつ誰が変更を加えたのかを追跡することが可能です。
ローコード・ノーコードが注目されている背景
ローコードやノーコード開発が急速に普及している理由として、以下のようなものが挙げられます。
- IT人材が不足している
- 内製化が進められている
- クラウドサービスが急速に広まった
- 消費者ニーズの多様化
なかでも、エンジニアなどのIT人材の不足は深刻です。
エンジニアの多くはIT企業で働いており、一般企業の多くはITの専門知識を持った人材を確保できていません。
今後、ますます人手不足が加速するなかで、ITの専門知識を持たない人でも使えるノーコード、ローコードツールが注目されています。
ローコード開発のメリット3選
ローコード開発のメリットを、以下の3つにわけて解説します。
- 拡張性が高い
- 社内のシステムと連携しやすい
- 人材を確保しやすい
拡張性が高い
ローコード開発のメリットは、拡張性の高さです。
標準機能だけでは対応できない複雑な要件が発生した際に、プログラミングコードを記述することで柔軟に機能を拡張できます。
たとえば、一般的な画面作成やデータベース設定はドラッグ&ドロップで実装しつつ、企業ブランドに合わせたUI(ユーザーインターフェイス)調整のみを、プログラム言語で補完します。
これにより、開発効率を維持しながらも、細かなニーズに応えることが可能です。
社内のシステムと連携しやすい
ローコードプラットフォームは、当初からエンタープライズ環境での利用を想定して設計されているため、外部システムとの連携機能が充実しています。
そのため、社内の既存システムと連携しやすいでしょう。
また、社内のサーバーやネットワーク機器にある、既存システムとの安全な接続が可能です。
人材を確保しやすい
ローコード開発は、人材確保の面でも優位性を持っています。
開発担当者に求められるスキルのハードルが低く、プログラミング言語をゼロから習得する手間を省くことが可能です。
主に、インフラの構築や基本的なデータ処理などの定型作業はプラットフォーム側が自動化してくれるため、開発者は企業独自の実装部分のみに集中できます。
そのため、経験の浅い若手エンジニアや、社内の業務に詳しい非エンジニアを戦力として考えられるのが魅力です。
ローコード開発のデメリット3選
ローコード開発のデメリットについて、以下の3つをご紹介します。
- 実装できる機能に制限がある
- 独自のセキュリティー対策が難しい
- プラットフォームの習熟に一定の学習コストがかかる
実装できる機能に制限がある
ローコード開発は、プログラミングですべてをゼロから構築するフルスクラッチ開発と比較すると、どうしてもプラットフォームの仕様による制約を受けます。
そのため、実装できる機能に制限がある点がデメリットです。
部品の想定外にある特殊な挙動や、極めて高度な処理の実装は困難な場合があります。
自動生成されるコードがブラックボックス化し、開発者が細部まで制御できないことも問題点です。
独自のセキュリティー対策が難しい
ローコード開発では、セキュリティーやインフラの設定がプラットフォーム提供者に依存します。そのため、自社のセキュリティーポリシーを適用できない場合があることに注意が必要です。
多くのローコードプラットフォームはクラウドとして提供されており、利用者側でコントロールできるのはアプリケーション層の一部に限られます。
主に、サーバーOSやミドルウェア層の設定変更は、制限されていることが一般的です。
ツールの導入前に必ずセキュリティーホワイトペーパーを確認し、自社のセキュリティーポリシーと合致するか、情報システム部門や法務部門を含めて精査しましょう。
プラットフォームの習熟に一定の学習コストがかかる
ローコードはノーコードのように、誰でもすぐに直感的に使えるわけではありません。
ローコード開発ツールには、独自の操作方法や開発手順があります。そのため、利用する際には操作方法を学ぶなど、一定の学習コストが発生します。
ある程度コードが書けるエンジニアにとっては、GUIでのドラッグ&ドロップ操作がかえって「コードを書いたほうが早い」と感じるストレス要因になることもあるかもしれません。
また、ツール独自の認定資格がある場合、社内での人材育成に相応の時間とトレーニング費用がかかるでしょう。
ノーコード開発のメリット3選
ここでは、以下のノーコード開発のメリット3つを紹介します。
- 専門的な知識が必要ない
- 開発・運用コストを抑えられる
- スピーディーに開発を進められる
専門的な知識が必要ない
ノーコード開発のメリットは、専門的なプログラミングスキルを持たない非エンジニアであっても、実用的なアプリケーションを開発できる点にあります。
従来、システム開発を行うにはJavaやPythonといった専門的なプログラミング言語の習得が必須でした。
しかし、ノーコードツールであれば、画面上の部品をマウスでドラッグ&ドロップして配置するだけで大丈夫です。
必要な設定項目を選択するだけで、直感的にアプリを構築できます。
開発・運用コストを抑えられる
システム開発にかかるコストを抑えられることも、ノーコード開発のメリットです。
従来の方法では要件定義や設計、実装、テストといった各工程に膨大なリソースが必要でした。
ノーコード開発では、これらの工数を大幅に短縮できるため、初期の導入コストを大幅に抑えることが可能です。
また、導入後の運用・保守フェーズにおいても、コスト削減効果が期待できます。
スピーディーに開発を進められる
ノーコード開発により、企画から実装までをスピーディーに実施できる点がメリットです。
市場の変化が激しい現代において、開発スピードは企業の競争力を左右する強力な武器となります。
あらかじめ用意されたテンプレートやコンポーネント(機能部品)を組み合わせることで、ゼロからコードを書く時間を省略し、数日から数週間という短期間でのリリースを実現します。
ノーコード開発のデメリット3選
ノーコード開発のデメリットについて、下記の3つをご紹介します。
- 使用するプラットフォームへ依存しやすい
- 拡張性が低い
- 大規模・複雑な機能は実装が難しい
使用するプラットフォームへ依存しやすい
ノーコード開発における最大のリスクは、作成したアプリケーションが特定のプラットフォームに依存してしまうベンダーロックインです。
ノーコードツールは独自の技術やランタイム上で動作しているケースが大半です。そのため、作成したアプリを標準的なソースコードとしてエクスポートできない仕様となっています。
一度ツールで開発を進めると、他の環境へ移行することが極めて困難です。
たとえば、利用しているツールがサービス終了した場合や、運営会社による一方的な利用料金の値上げが発生した場合に問題が生じます。
拡張性が低い
ノーコードツールは、あらかじめプラットフォーム側が用意したテンプレートやパーツを組み合わせて開発を行います。
そのため、開発できる機能やデザインの自由度は、そのツールが提供している範囲内に限定されます。ツール側が想定していない独自の複雑な機能や、ピクセル単位の細かいUIの調整などは、技術的に実装不可能です。
これにより、複数のツールを無理やり組み合わせるといった、非効率な対策が必要なこともあります。
大規模・複雑な機能は実装が難しい
ノーコードツールは、手軽にアプリを作成できる反面、大量のデータを扱うシステムや複雑な連携処理を要する大規模開発には不向きです。
とくに、複雑なトランザクション制御や、高度なセキュリティー要件への対応は苦手としています。
たとえば、数万件以上の顧客データを一括で集計処理しようとすると、タイムアウトエラーが発生するかもしれません。
ノーコードを導入する際は、ツールに適した規模感かどうかを見極めることが大切です。
ローコード・ノーコードツールを選ぶ際のポイント
最後に、ローコードとノーコードツールを選ぶ際のポイントを、以下の3つにわけてご紹介します。
- 自社に必要な機能が搭載されているかどうか
- スマートフォン対応の開発が可能かどうか
- セキュリティー対策はしっかりしているかどうか
自社に必要な機能が搭載されているかどうか
開発ツールにはWebサイト制作に特化したものから、業務アプリ構築が得意なもの、データベース管理に強みを持つものまで、さまざまなものがあります。
まずは、自社の課題を解決するために必要な機能が搭載されているかどうかを確認します。
とくにノーコードツールの場合、プラットフォームが提供していない機能は後から追加することが極めて困難です。
無料トライアルやPoC(小規模検証)を通じて、「本当に自社の業務フローを実現できるか」を事前にテストすることが重要です。
使用するデバイスに対応しているかどうか
デスクワーク中心の業務だけでなく、営業先や建設現場、店舗、倉庫などでの利用が想定される場合はスマートフォン対応の開発が可能かどうかも重要です。
現場担当者がスマートフォンやタブレットからその場で即時に入力・確認できるアプリケーションであれば、生産性の向上につながります。
アプリケーションを開発しても、スマートフォンで見るとレイアウトが崩れたり、操作性が著しく低下したりするものもあります。そのため、利用目的に合わせて実装を検討するのがベストです。
セキュリティー対策はしっかりしているかどうか
企業としてアプリケーションを開発する以上、機能の便利さだけでなく、セキュリティーやガバナンス機能が自社のポリシーに準拠しているかをチェックする必要があります。
クラウドサービスを利用するノーコード・ローコード開発では、情報漏えいや不正アクセスへの対策が不十分だと問題です。
たとえば、コンプライアンス違反や、管理不能なシャドーIT(従業員が独自に導入したIT機器やシステム)の温床となるリスクがあります。
顧客情報や機密データを扱う場合は、セキュリティー対策は妥協できないポイントです。
まとめ
ノーコードとローコードは、単にコードを書くか否かだけの違いではありません。
現場主導でスピードを最優先するならノーコード、基幹システムとの連携や将来的な拡張性を重視するならローコードというように、目的と規模に応じた明確な使い分けが重要です。
導入成功の鍵は、セキュリティー要件や運用コストを含めた全体像を把握し、まずは小規模な検証から始めることにあります。
自社の課題に最適なツールを選定し、現場とIT部門が共創するDXを推進しましょう。
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