メールセキュリティーとは?安全なメール環境を構築する方法について解説

2026.01.20

メールセキュリティーとは?安全なメール環境を構築する方法について解説

メールセキュリティーとは?安全なメール環境を構築する方法について解説

メールは単なる連絡手段ではなく、契約書・請求書・顧客情報など、企業のあらゆる重要データが行き交う業務インフラです。その一方で、サイバー攻撃の侵入口になったり、従業員のミスによる情報漏えいを引き起こしたりと、多くのリスクを抱えています。

攻撃手法は年々巧妙化し、フィッシング詐欺・標的型攻撃・ビジネスメール詐欺など、従来の対策だけでは防ぎきれない脅威が増えています。

こうした状況のなかで、企業が安全にメールを使い続けるには、送受信双方向のセキュリティ―リスクを意識した対策が必要です。

本記事では、メールに潜む脅威や効果的な対策、製品選定のポイントまで解説します。

メールセキュリティーとは?

ここでは、メールセキュリティーの定義や重要視されている背景を解説します。

  • メールセキュリティーの定義
  • メールセキュリティーが重要視される背景

メールセキュリティーとは、送受信双方向で企業の情報資産を脅威から守るための技術的対策と運用体制を指します。いまやメールは単なる連絡手段ではなく、契約書や請求書、機密情報が日常的に行き交う重要なインフラです。

一方で、サイバー攻撃の侵入口になったり、宛先ミスによる情報漏えいを引き起こしたりと、多くのリスクを抱えています。従来のスパム対策だけではこうした脅威を防ぎきれないため、送信・受信双方のリスクを削減するための仕組みが必要です。

メールセキュリティーが重要視される背景には、攻撃手法の高度化に加えて、企業の重要情報が日常的にメールでやり取りされる時代になったことがあります。

契約書や請求書など、かつて紙の書類や対面でのやり取りが主流だった機密情報が、今ではメールを通じて送受信されるのが当たり前になりました。そのため、メールが攻撃者にとって狙う価値の高い入口になり、企業に大きなリスクをもたらすようになっています。

また、リモートワークやクラウド利用の普及で社内外の境界が曖昧になったことも、攻撃範囲を広げる要因になっています。

過去にはマルウェア付きメールのばらまき型攻撃が主流でしたが、現在は心理的な隙を突く攻撃が中心で、完全に防ぐのは困難です。そのため複数の機能を組み合わせながら、安全にメールを送受信できる仕組みが必要です。

メールに潜む主な外部脅威

メールに潜む主な外部脅威には、以下のものがあります。

  • 標的型メール攻撃(特定個人・組織を狙う)
  • フィッシング詐欺(偽装サイトへ誘導、情報搾取)
  • マルウェア感染(添付ファイル経由)
  • ビジネスメール詐欺(BEC、金銭・財務情報を狙う)

標的型メール攻撃は、特定の企業や組織の機密情報を狙い、綿密な調査のうえで実行されるサイバー攻撃です。攻撃者は取引先などの情報を収集し、業務に関係があるように見せかけた巧妙なメールを作成します。

実在の取引先を装い「請求書の確認」「見積書の送付」など、開かざるを得ない件名でメールを送り、添付のWordやZIPファイルにマルウェアを潜ませる手口が代表的です。

フィッシング詐欺は、金融機関・ECサイト・宅配業者・公的機関などになりすまし、偽のサイトへ誘導してIDやパスワード、クレジットカード情報を盗み取る手口です。

「アカウントがロックされました」「至急ご確認ください」など、不安をあおる文面で冷静な判断を奪い、偽サイトへアクセスさせます。

社員が偽サイトに業務で使用しているアカウント情報やパスワードなどを入力すると、その情報が悪意のある第三者に渡り、メールアカウントや業務システムが乗っ取られる危険性があります。

その結果、機密データが盗まれる、不正送金が行われる、さらには企業内部への攻撃の足掛かりとして利用される(例:ランサムウェアの侵入)など、さまざまな被害につながる可能性があります。

メールの添付ファイルは、マルウェア感染の代表的な侵入経路です。

攻撃者は、Word・Excel・PDF・ZIPなど日常的に使われる形式にマルウェアを潜ませます。なかでも、日本で多く利用されてきたパスワード付きZIP(PPAP)は暗号化されているため、ウイルス対策ソフトの検知をすり抜けやすいのが弱点でした。

こうした添付ファイルによる初期侵入の後、攻撃者が内部に入り込んで最終的に実行する代表的なマルウェアがランサムウェアです。ランサムウェアに感染するとPCやサーバーのデータが暗号化され、業務が停止し、復旧と引き換えに高額な身代金を要求されます。

ビジネスメール詐欺は、マルウェアを使わず、経営者や取引先になりすまして送金を指示して金銭を詐取する攻撃です。不正URLや添付ファイルがなく、文章だけで成立するため、セキュリティー対策をすり抜けて受信箱に届いてしまいます。

典型的な手口には、経営者を装って「至急の送金が必要」「極秘案件」などと急がせるCEO詐欺。実在の取引先になりすまし、「振込先が変更になった」と偽の請求内容を送る請求書詐欺があります。

ビジネスメール詐欺に騙された人は指示どおりに送金してしまい、多額の資金が攻撃者の口座へ振り込まれます。一度送金された資金は即座に海外口座へ移されるため、回収はほぼ不可能です。

メールの主な内部リスク

メールの内部リスクには、誤送信・情報漏えいがあげられます。

メールの内部リスクで多いのが、従業員のうっかりミスによる誤送信です。一通の誤送信が、個人情報の漏えいや取引先との信頼失墜につながりかねません。

【メールの誤送信・情報漏えいの原因】

  • 送信先を誤ってしまう
  • BCCで送るべきメールを誤ってCCに入力し、アドレスを公開してしまう
  • 添付すべきファイルを間違え、機密資料を送ってしまう

ヒューマンエラーは悪意がないため完全にゼロにはできず、注意喚起だけに頼る対策には限界があります。そのため、ミスを前提とした仕組みづくりが重要です。

メールセキュリティー対策6選

メールセキュリティー対策には、以下の6つが有効です。

  • 迷惑メールの自動検知
  • 添付ファイルやURLの安全性チェック
  • マルウェア防御の実施
  • ビジネスメール詐欺対策
  • メール誤送信防止の運用ルール・システム
  • 従業員のセキュリティー教育を実施する

迷惑メールの自動検知は、メールセキュリティーにおける重要な防御ラインです。

送信元やメールの内容をチェックし、怪しいと判断されたものは迷惑メールフォルダーに振り分けられます。これにより、従業員は不要なメールに時間を取られず、重要なメールだけに集中できます。

添付ファイルやメール内のURLを自動で検査する仕組みは、マルウェア感染やフィッシングを防ぐのに有効な入口対策です。

代表的な対策がサンドボックスで、受信したファイルを隔離環境で実行し、不審な動作があればブロックします。

また、URLを安全なリンクに書き換え、クリック時にリアルタイムで危険性を再評価するシステムも有効です。

マルウェア防御は、メールに含まれるマルウェアや不正プログラムから会社を守るための対策です。添付ファイルやURLを検査するだけでなく、複数の仕組みを組み合わせてランサムウェアやEmotetのような深刻な攻撃を防ぎます。

基本となるのは、マルウェアとして知られているパターンと照らし合わせてチェックする「アンチウイルス」です。「無害化(CDR)」は、受信したWordやPDFからマクロなど危険な部分を自動的に取り除き、安全な形に作り直してからユーザーに届けます。

また、日本で多く用いられるパスワード付きZIPファイルの送付方法(PPAP)は、添付ファイルが暗号化されており、マルウェア検査をすり抜けやすいため、受信をブロックしたり無害化したりする運用が必要です。

ビジネスメール詐欺には、技術面と運用面での対策が重要です。

技術的には、SPF・DKIM・DMARCといった送信ドメイン認証を導入し、なりすましメールが取引先に届くのを防ぎます。また、AIによる文面や送信元の異常検知を活用する方法も有効です。

運用面では、振込先変更や緊急送金などの依頼はメールだけで判断せず、電話やチャットなど別経路で確認する体制を整える必要があります。

すべてを完全に防ぐことは難しくても、適切な技術と明確なルールを整えておくと、ビジネスメール詐欺のリスクは減らせます。

メール誤送信は、悪意のないうっかりミスでも重大な情報漏えいにつながるため、「気をつけましょう」という注意だけでは防ぎきれません。

宛先の選び間違い・添付ファイルの入れ違い・CcとBccの誤用などは、誰にでも起こり得るヒューマンエラーです。そのため、技術と運用の両方でミスを防ぐ仕組みを整える必要があります。

特に効果的なのが「送信保留」です。メールを送った直後にすぐ送信せず、数分間だけ待機させることで、その間に送信者が「間違えた」と気づけば取り消せます。

また、機密情報が含まれている場合に上司の確認を必須にするルール、マイナンバーなどを検出して送信を止めるDLPなども役立ちます。

どれほど高度な技術対策を導入しても、最終的にメールを開き判断するのは従業員です。そのため、人を弱点ではなく第一の防衛線に変える継続的なセキュリティー教育が欠かせません。

怪しいリンクや添付ファイルを安易に開かないよう教育し、「少しでもおかしい」と感じたメールは自分で抱え込まずに報告する文化を育てることが重要です。

また、フィッシングの見分け方や安全なパスワード管理など、基本的な知識を全社員が定期的に学ぶ仕組みも必要です。

繰り返し教育することで、組織全体としてだまされにくい強いセキュリティー文化をつくれます。

メールセキュリティー製品の選び方

メールセキュリティー製品は、以下の基準で選んでください。

  • 自社の課題を解決できる機能が備わっているか
  • 自社のシステム環境に合っているか
  • 既存のメール環境がクラウドかオンプレミスか

メールセキュリティー製品を選ぶうえで重要なのは、自社の課題を解決できる機能を備えているかどうかです。

高機能、低価格という表面的なスペックだけを基準に製品を選ぶと、現場の実際のニーズが満たされず、コストだけが増えて肝心のリスクが放置される可能性があります。

まずは自社の課題を整理し、優先順位をつけることが出発点です。受信・送信・保存の三局面で自社のリスクを棚卸しし、重要な課題を現実的な運用で解決できる製品を選ぶことが、投資対効果を最大化する鍵になります。

導入を検討するメールセキュリティー製品が、自社の既存システムと技術的・運用的な負担なく連携できるかどうかも重要です。連携に複雑な設定が必要な製品は、導入の手間が増えるだけでなく、将来のソフトウェア更新や、システム構成の変更時に不具合や追加作業が発生するリスクがあります。

また、スマートフォンで業務を行う機会が増えている現在、モバイル端末でURL検査やフィッシング対策が適用されない製品は、防御の抜け穴になりかねません。

製品を選ぶ際は、PCとスマートフォンのどちらでも同一のセキュリティーポリシーが適用されるか、運用面も含めて確認してください。

自社のメールサーバーがクラウドサービス(例:Microsoft 365、Google Workspaceなど)か、オンプレミス(自社で物理サーバーを設置・運用)かによって、適したメールセキュリティー製品や導入方法は大きく異なります。

クラウドサービスの場合、多くの標準セキュリティー機能(迷惑メール、ウイルス検知など)が備わっていますが、標準機能だけでは防御が難しいビジネスメール詐欺(BEC)対策なども重要です。そのため、クラウドの弱点を補完する対策製品の導入や追加設定が必要になる場合があります。

一方オンプレミス環境では、スパム対策・マルウェア防御・情報漏えい防止(DLP)・メールのアーカイブ管理など、ほぼすべての対応を自社で行う必要があります。そのため、受信・送信の両局面を一括で制御できる「セキュアメールゲートウェイ」の導入が基本です。

いずれの場合も、自社のセキュリティポリシーや法令、社内規定に適合できるか、また運用・管理の負担やサポート面も含めて総合的に選定することが重要です。

まとめ

メールは企業にとって欠かせない業務インフラである一方、サイバー攻撃や誤送信といったさまざまなリスクが存在します。

攻撃手法が高度化する現在、従来のスパム対策だけでは十分ではなく、送受信メールを安全に運用できるセキュリティー対策が求められています。

外部からの攻撃対策と、内部リスク対策をバランスよく組み合わせることが、メール環境を安全に保つ鍵です。さらに、自社の課題やシステム環境に合った製品を選ぶことで、効率的かつ現実的な運用が可能になります。

基本を押さえて適切な対策を進めることで、企業の大切な情報資産を守る安全なメール環境を構築できます。

メールセキュリティーにお悩みの方は、ぜひ富士フイルムビジネスイノベーションまでご相談ください。

【関連コンテンツ】