2026.01.06
IT資産管理とは?選び方やおすすめのソリューションをご紹介
IT資産管理とは、組織が保有するハードウェアやソフトウェアに関する情報を管理し、セキュリティー対策の強化やコスト削減につなげる取り組みです。
IT資産管理ツールを導入すると、自社で保有するIT資産の情報を効率的に収集・管理できます。
本記事では、IT資産管理ツールの搭載機能や活用するメリット、選び方などを紹介します。
IT資産管理とは
IT資産管理とは、組織が保有するハードウェアや周辺機器、ソフトウェアの情報を集めて管理することです。
利用状況やライセンス情報などを収集し、集めた情報はセキュリティー対策への反映や追加購入の判断材料に役立てます。
IT資産管理が必要な理由
IT資産管理が必要な理由は、以下の3つです。
- セキュリティー対策を強化するため
- 無駄なコストを削減するため
- コンプライアンス違反を防ぐため
セキュリティー対策を強化するため
パソコンやサーバー、ソフトウェアなどには多くの機密情報が含まれています。情報流出を防ぐには、IT資産の管理とセキュリティー対策の強化に努めなければなりません。
どちらも怠ると、攻撃者からサイバー攻撃やマルウェア感染のターゲットにされ、機密情報が流出するおそれがあります。
仮に顧客情報が流出した場合、社会的信用の低下やブランドイメージの失墜は避けられません。今後の取引に影響を及ぼすだけでなく、最悪の場合は多額の損害賠償金を請求されます。
情報漏洩や損失を避けるには、ソフトウェアのバージョン管理や定期的なアップデート、USBメモリの使用制限などセキュリティー対策の強化が不可欠です。
無駄なコストを削減するため
IT資産管理を実施することで、無駄なコストの削減にもつながります。ツールごとの利用頻度や稼働状況を可視化できるため、不要なコストを把握して適切に削減できるためです。
稼働率が極端に低いソフトウェアは、契約を見直すことで運用負担の軽減や、不正アクセスリスクの低減につながります。
また、利用状況の数値から、従業員が別のシステムやアプリを優先していることも把握可能です。そのため、稼働率の低いツールを停止しても、大きな問題へ発展する可能性は低いといえます。
コンプライアンス違反を防ぐため
IT資産管理には、内部統制を強化してコンプライアンス違反を防ぐ目的もあります。機密情報が流出する原因は、外部からのサイバー攻撃だけではありません。
待遇や人間関係、組織内での地位など、現状に不満を抱く従業員が勤務先への報復を目的に、機密情報を意図的に流出するケースも考えられます。
内部不正を防ぐには、パソコンやスマートフォン、ソフトウェアなどの利用状況を監視し、不正行為をしていないか定期的な確認が必要です。
また、ソフトウェアの利用状況を確認する際、ライセンス違反の有無も確認します。仮に従業員が無課金での利用や無断コピーをした場合は著作権法違反に該当し、最悪の場合は罰金や懲役が科されます。
IT資産管理ツールの主な機能
IT資産管理ツールに搭載されている主な機能は、以下の6つです。
- インベントリ収集管理
- IT資産の台帳作成
- セキュリティー更新プログラムの配布
- ソフトウェアの配布や契約情報の管理
- ログデータの取得と管理
- リモートコントロール
インベントリ収集管理
インベントリ収集管理とは、社内ネットワークに接続したハードウェアとソフトウェアの情報をリアルタイムで取得できる機能です。主な管理対象や項目を、以下の表にまとめました。
| ハードウェア | ソフトウェア | |
|---|---|---|
| 主な管理対象 | ・パソコン ・スマートフォン ・タブレット ・サーバー ・ストレージ |
・OS ・アプリケーション ・セキュリティーソフト ・クラウドサービス |
| 主な管理項目 | ・機器の種類 ・製造番号 ・製造元 ・OSのバージョン ・ハードウェアの構成 |
・ソフトウェアの名称 ・インストールの状況 ・ライセンス情報 ・バージョン管理 ・利用実績 |
リース契約やレンタル、クラウドサービスを利用している場合、IT資産管理ツールに契約期限や契約情報を登録して一元管理できます。
インベントリ収集管理を搭載したIT資産管理ツールの導入で、IT資産の情報を効率的に集められるため、システム管理者の負担を軽減できます。
また、IT資産ごとに契約期限も確認できるため、契約更新の手続き漏れが生じるリスクを避けられる点も魅力です。
IT資産の台帳作成
社内のIT資産に関する情報を一つの台帳にまとめ、管理しておく機能です。
IT資産管理ツールにフォーマットが用意されており、エクセルやGoogleスプレッドシートなどで作成するよりも、効率的に作業を進められます。
セキュリティー更新プログラムの配布
OSで新たな脆弱性が発見された際、マルウェア感染や被害拡大を避けるため、セキュリティー更新プログラムを配布する機能です。
通常、ベンダーから新たにセキュリティー更新プログラムが配布される際は、個々のパソコンでインストールをしなければなりません。
IT資産管理ツールを導入すれば、従業員全員のパソコンにセキュリティー更新プログラムを配布できるため、脆弱性攻撃への備えを素早く強化できます。
ソフトウェアの配布や契約情報の管理
新たに購入したソフトウェアの配布、インストール済みソフトのアップデートを行う機能です。
IT資産管理ツールの導入で、従業員が使用するすべてのデバイスに対してソフトウェアの配布やアップデートを適用できるため、作業時間の短縮に加え、インストール漏れやバージョン違いなどの手作業によるミスを防ぐことができます。
また、IT資産管理ツールにアクセスすれば、使用中のソフトウェアに関するライセンス情報や契約情報を確認できます。
契約の有効期限を一目で把握できるため、更新手続きの遅れやライセンスの重複購入が生じるリスクを抑えられます。
ログデータの取得と管理
ファイルの操作履歴やアプリケーションへのログインなど、パソコンの操作履歴を取得・管理する機能です。
操作ログの取得で不正行為をしていないか、システム管理者が従業員の行動を把握できるようになるため、内部不正の抑止力が高まります。
また、ログデータからサイバー攻撃やマルウェアの有無も把握できるため、セキュリティー対策の課題抽出にも役立てられます。
リモートコントロール/MDM(遠隔デバイス管理)
リモートコントロールとは、主にパソコンを遠隔操作する機能を指し、IT資産管理ツールでは管理者が従業員のパソコンを離れた場所から操作・サポートできます。
スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスについては、MDM(モバイルデバイス管理)機能を活用することで、紛失や盗難時の遠隔画面ロックやデータ消去などのセキュリティー対策が可能です。
IT資産管理ツールの導入により、PCの遠隔操作やMDMによるモバイルデバイスのセキュリティー対策を一元的に管理でき、情報流出リスクの低減につながります。
IT資産管理ツールを導入するメリット
IT資産管理ツールの導入によるメリットは、以下の5つです。
- IT資産に関する情報を正確に把握できる
- システム管理者の負担を減らせる
- コストを削減できる
- 内部統制を強化できる
- セキュリティー対策を強化できる
IT資産に関する情報を正確に把握できる
IT資産管理ツールの導入で、自社で利用しているハードウェアやソフトウェアに関する情報を正確に把握できます。 OSのバージョンやライセンス情報、契約期限など、IT資産に関する情報は台帳でまとめて管理されているため確認の手間を省けます。
また、インベントリ収集管理の利用で、ハードウェアやソフトウェアの情報をリアルタイムで収集・更新できる点も魅力です。
システム管理者の負担を減らせる
IT資産管理ツールを導入すると、IT資産管理に関する多くの業務を効率化できるため、システム管理者の負担を軽減できます。
たとえば、新しくソフトウェアを購入した場合。IT資産管理ツールを導入すれば、全従業員のパソコンへソフトウェアを配布できるため、システム管理者が手作業でソフトウェアのインストールを行う必要はありません。
加えて、ログデータの取得やセキュリティー更新プログラムの配布なども、IT資産管理ツールに任せられるため、システム管理者は別の業務に労力と時間を割けます。
コストを削減できる
IT資産管理ツールには、インベントリ収集管理機能が搭載されており、デバイスやソフトウェアなどに関する最新の利用状況を可視化できます。 利用状況の可視化で本当に必要なIT資産が明確になり、無駄なコストを削減できます。
たとえば、業務でほとんど利用されていないソフトウェアが見つかった場合。ライセンス数やユーザー数を削減しても、従業員に不都合が生じるおそれは低いです。 利用契約を解除すれば、ライセンス料金や月額基本料金を毎月支払うことも避けられます。
ただし、契約途中で解約すると違約金が発生する可能性があるため、契約内容を確認してから更新見送りを判断してください。
内部統制を強化できる
内部統制を強化するためには、ログデータを収集できるIT資産管理ツールの導入が有効です。 パソコンやソフトウェアの利用履歴を把握できるため、不正行為の有無を確認でき、内部不正の抑止力を高められます。
内部不正は「機会・動機・正当化」の3つが揃うと発生しやすいとされています。
万が一、内部不正によって機密情報が流出すれば、顧客からの信頼低下や損害賠償請求につながり、企業に大きな損失を与えかねません。
なかでも重要なのは「機会」の要素です。
アクセス権限の過剰付与やチェック体制の形骸化など、不正に手を染めやすい環境が整っているほど、発生リスクは高まります。
そこでIT資産管理ツールを導入すれば、従業員の行動が可視化されるため、仮に不正が起きても迅速な特定が可能です。 従業員が動機や正当化の理由を持っていたとしても、不正に踏み切りにくい組織づくりにつながります。
セキュリティー対策を強化できる
セキュリティー関連の機能が充実したIT資産管理ツールを導入すると、サイバー攻撃やマルウェア感染、内部不正の脅威を軽減できます。
たとえば、ソフトウェアの使用制限機能では、業務に無関係のソフトウェアや安全性に不安を抱えるソフトウェアなどをブロックし、情報漏洩の発生を防ぎます。
既存のソフトウェアをアップデートする機能が搭載されていた場合、脆弱性攻撃が原因での損害発生や通常業務への支障も避けられます。
IT資産管理ツールの選定ポイント
IT資産管理ツールを選定する際は、以下5つのポイントを意識してください。
- オンプレミス型とクラウド型のどちらを選ぶか
- 必要な機能が備わっているか
- 対応OSとデバイスに制限はないか
- 操作性に優れているか
- サポート体制は充実しているか
オンプレミス型とクラウド型のどちらを選ぶか
IT資産管理ツールの導入形態は、オンプレミス型とクラウド型の2種類に分けられます。
オンプレミス型は自社にサーバーを設置し、IT資産管理ツールをインストールして利用するタイプです。
一方、クラウド型はインターネット経由で、メーカーの提供するIT資産管理ツールを利用するタイプです。 双方のメリット・デメリットを以下の表にまとめました。
| オンプレミス型 | クラウド型 | |
|---|---|---|
| メリット | ・セキュリティーレベルが高い ・カスタマイズ性が高い ・既存システムやツールと連携しやすい |
・初期費用が安い ・導入期間が短い ・専門知識がなくても運用できる ・自社で対応すべき作業が少ない |
| デメリット | ・初期費用が高い ・導入期間が長い ・自社で対応すべき作業が多い |
・カスタマイズ性が低い ・インターネット環境やベンダーへの依存度が高まる |
初期費用や運用負担を抑えたい場合は、クラウド型がおすすめです。 クラウド型はIT資産管理ツールを導入する際、自社でサーバーを調達する必要がありません。 メンテナンスやアップデートなどもメーカー側に任せられます。
オンプレミス型はカスタマイズ性に優れる分、セキュリティー対策や障害復旧作業なども自社で対応しなければなりません。 システムやセキュリティーに精通した人材がいない限り、安定運用は難しいです。
必要な機能が備わっているか
IT資産管理ツールの選定前に、解決したい課題や求める機能を事前に明確化しておくことが重要です。 導入目的が曖昧だと、IT資産管理ツールの導入後に「必要な機能が足りない」「不要な機能が多い」など、ミスマッチを招く可能性があります。
また、IT資産管理ツールは以下3つのタイプに分けられており、タイプごとに搭載機能や得意分野が異なります。
- IT資産管理の効率化+内部統制の強化
- IT資産管理の効率化+セキュリティー対策の強化
- IT資産管理の効率化に特化
たとえば、IT資産管理ツールを導入する目的のひとつに、内部統制の強化を掲げている場合。 ログデータの取得やデバイスの利用制限、モバイルデバイス管理などを搭載したツールの導入で、内部不正による情報漏洩のリスクを軽減できます。
解決したい課題が複数ある場合は優先順位を付けておくと、必要な機能を絞りやすくなります。
対応OSとデバイスに制限はないか
IT資産管理ツールによっては、対応可能なOSとデバイスに制限が設けられています。 仮に自社で使用するデバイスやOSに対応していない場合、IT資産管理ツールを導入したメリットが十分得られません。
基本的にWindowsパソコンは対応しているツールが多く、Macの場合はツールによって対応可否や機能制限が生じる可能性があります。
また、スマートフォンやタブレットを従業員に貸与している場合、iOSとAndroidの双方に対応しているか確認が必要です。
操作性に優れているか
操作性に優れたIT資産管理ツールを選ぶことが重要です。 収集されたインベントリ情報やログデータを、分かりやすい画面や操作で簡単に検索・閲覧・分析できることが、業務効率の向上につながります。
操作性が悪いツールを選ぶと、情報の活用や設定変更が煩雑となり、高額な費用に見合った効果を得られない場合があります。
このようなミスマッチを避けるためにも、無料トライアルを利用して、操作画面やボタン配置、画面の切り替えなどを事前に確認するのがおすすめです。 クラウド型のIT資産管理ツールでは、多くのメーカーが無料トライアルを提供しています。
有料プランの前に無料トライアルを利用することで、操作性や使い勝手をしっかりチェックでき、万が一導入を見送っても費用が発生しないため安心です。
サポート体制は充実しているか
IT資産管理ツールの導入前から導入後まで、一貫して手厚いサポートが受けられるベンダーを選んでください。
IT資産管理ツールをはじめて利用する場合、操作方法や運用体制に関して疑問が生じるケースも珍しくありません。
電話・メール・Web会議など、さまざまな方法で担当者と連絡が取れると、疑問点やトラブルが発生してもすぐに解決できます。
IT資産管理を外注するのもひとつの選択肢
IT資産管理ツールの運用に不安を抱える場合、IT資産管理のアウトソーシング(LCMサービス)サービスを利用するのもひとつの選択肢です。
LCMサービスとはソフトウェアの利用状況や契約情報、ハードウェアのライフサイクル管理など、IT資産管理に関する業務全般を外部の企業へ委託できるサービスです。
豊富な専門知識やノウハウをもつ担当者に業務を任せられるため、サービスを利用し続ける限り、IT資産の適切な管理やコスト削減が期待できます。
また、LCMサービスは、インベントリ収集管理やソフトウェアのライセンス管理など、一部の業務のみを委託できる点も魅力です。 一部の業務を委託することで、外注費の高騰を避けつつシステム管理者の負担軽減を図れます。
IT人材の不足に悩んでいる場合は、LCMサービスの利用も検討してみてください。
まとめ
IT資産管理ツールは、組織が保有するハードウェアやソフトウェアの情報を効率的に管理できるツールです。 OSのバージョンやハードウェアの構成など、IT資産台帳にさまざまな情報を記載するため、セキュリティー対策の課題抽出に役立てられます。
ログデータの取得やモバイルデバイスの制限なども搭載しており、コンプライアンスを強化できる点も魅力です。 IT資産管理ツールを選ぶ際は、導入形態・機能性・操作性など、さまざまな点を比較しながら決めてください。
ただ、IT資産管理ツールの運用を任せられる人材が不在のケースも考えられます。
自社だけでの対応が難しい場合は、外部のセキュリティーパートナーへ相談するのがおすすめです。
富士フイルムビジネスイノベーションでは、IT資産管理ツールとLCMサービスの双方を提供しています。 IT資産管理に取り組んでいる方は、一度ご相談ください。