お客様導入事例

院内ネットワークデバイスの詳細情報や
稼働率データを自動収集
セキュリティー強化に加え、資産管理の精度向上も実現
事例の概要
- ネットワークデバイスのセキュリティー強化などに必要な資産管理が不十分だった。
- NDRを試用してみたが、専門的な知識がなくても使いこなせるか不安があった。
- リスクの可視化およびその対策活動推進により、セキュリティー強化への意識付けや今後の取り組みの土台づくりが進んだ。
- 医療デバイスの稼働率の把握などを通じて資産管理の精度が向上し、機器更新の適正化や業務の効率化につながった。
- 初見でも直感的に操作できるインターフェースで、システムに長けていないスタッフでも使いこなせる感触を得た。
- 院内のネットワークデバイスに関する最新データが自動的に収集でき、各デバイスの稼働状況も容易に把握できる。
事例の詳細
事業内容を教えてください
導入前はどのような課題を感じていましたか
病床稼働率が平均99%と多忙な環境の中で、情報システムの適切な管理を通じて診療業務の質や効率の維持・向上に貢献することが、私たちの属する情報マネジメント課の使命です。
近年、医療機関に対するランサムウェアなどによるサイバー攻撃が多発していることを受け、厚生労働省が「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の強化を行っています。それに合わせて当課でもセキュリティーに関わるツールの導入を検討し、その1つとしてネットワークを常時監視して脅威を検知するNDR(Network Detection and Response)を試用してみました。しかし、専門的な知識や技術が不足している上に、システムでは具体的に何が起きていて、どのように対処すべきか分かりづらく、使いこなすのが難しい印象を持ちました。当課には、いわゆるシステムエンジニアに相当する人材は在籍していないため、新たなツールを導入するのであれば、可能な限りシンプルで誰にでも使いやすいツールでなければならないと考えていました。
また、そもそも院内のデバイスの全体像がつかめていないということにも気づきました。院内には、PCやサーバーはもちろん、超音波・心電図・内視鏡・画像端末・薬剤システム・血液ガス分析装置といった多くの医療デバイスがあり、それらはネットワークと接続された状態で運用されています。
そうしたネットワークデバイスの全体像を把握することは、セキュリティー強化や導入・運用コストの適正化のために欠かせませんが、当院ではその点が不十分だったということをあらためて認識したのです。
情報マネジメント課 課長
千葉 美洋 様
導入の決め手を教えてください
各種ツールに関する情報収集や検討をしている中で、富士フイルムビジネスイノベーション(以下「富士フイルムBI」という)からコンタクトを受け、「ネットワークデバイスの可視化とセキュリティーリスクの管理を一元的に提供し、医療機関のセキュリティー対策の強化に貢献するサービス」として紹介されたのが、今回導入した「IT Expert Services IoMTデバイスマネジメントサービス」(以下「IoMTサービス」という)でした。これまで、富士フイルムBIとは多くの取引はありませんでしたが、ITの世界は日進月歩であり、当院にとって有益なツールであれば積極的に検討したいと考えました。
まず、説明を受けて感じたのが、ツールの分かりやすさ、使いやすさでした。インターフェースも初見で直感的に操作でき、これまではシステムの詳しいことにまで関わっていなかったスタッフにも使いこなせそうだ、というのが第一印象でした。実際に試用してみたところ、その通りの印象で、院内のネットワークデバイスの状況を非常に効率よく把握することができました。
実は、各種ツールの検討を進めていたとき、それと並行し、院内のデバイスの棚卸を行いました。これまでPCなどのIT機器は当課で管理していましたが、医療デバイスは部門管理となっていたため、各部門から提出されたリストをもとに、現場に出向いて確認しました。苦労の末に作成した棚卸リストと「IoMTサービス」で収集したデータを見比べたところ、高い精度で一致していることがわかりました。
院内のデバイスの状況は常に変化しますし、台数も多いので、人手で常に把握しておくのは困難ですが、このサービスを使えば最新のデータが自動的に収集できる上、各デバイスの稼働状況も分かります。稼働率は、機器の効率的な運用や導入・更新を検討するための基礎データになります。
このようにセキュリティー対策だけでなく資産管理の精度向上や導入・運用コストの適正化にも役立てられるということで、病院経営の観点からも効果が期待できることから「IoMTサービス」の導入を決定しました。
導入後の効果について教えてください
大きな導入効果の1つは、セキュリティーリスクが可視化され、リスク対策活動を具体的に実施したことにより、ネットワークデバイスをより安全に管理する意識付けや今後の取り組みの土台づくりが進んだことです。その点では、サービス導入後に富士フイルムBIと共同で実施した「運用検証プロジェクト」の成果が大きかったと思っています。このプロジェクトでは、富士フイルムBIから、可視化されたリスクの改善に向け衛生管理の提案があり、具体的な活動内容に落とし込んで実践することができました。その際には、各部門のスタッフや当院で導入している機器・サービスのベンダーを巻き込み活動していきました。その結果、セキュリティーリスクへの対応が強化されただけでなく、各ベンダーとのコミュニケーションも深まりました。これまでは私たち側の知識不足もあってどうしてもベンダーに対して受け身になりがちでしたが、プロジェクトを通じてネットワークデバイスへの理解が進んだことで、今はこちらから掘り下げた質問を投げかけるなど、よりよい関係性が築かれつつあります。各部門とも同じ情報を用いて会話できることで、コミュニケーションの質・量ともに改善されたと実感しています。院長からも情報の一元管理を推奨されており、散在していた情報を有効活用できているという手応えを感じています。
2つ目の効果は、医療デバイスの稼働率の把握などを通じて資産管理の精度が向上したことです。例えば、複数台ある心エコーのうちの1台が使われていないことが分かり、次回更新時の検討材料として調達部門を含めて情報共有しました。また、機器の稼働情報から検査が特定の機器に集中していることが判明しました。非効率な業務が医療職の慢性的な残業の一因となっているため、機器ごとの偏りをなくし、検査数を変えずに残業時間を低減できそうだという気づきを得ることができました。
そうした情報は、更新時のコストダウンだけでなく、医師や看護師の働き方改革にもつながると確信しました。IoMTサービスのデータは各部門でも確認できるため、部門主導で機器の共有や台数適正化などを目指す動きも見られ、心強く感じています。今後、具体的な効果が表れてくると期待しています。
「IoMTサービス」はどのような医療機関におすすめですか
当院のように必ずしもIT分野に高度な知識を持ったスタッフばかりではない病院などでは、特に威力を発揮してくれるのではないでしょうか。可視化された情報をどう活用するか方針をきちんと整えれば、少人数でも安定的に運用していけるシステムだと思います。
また、各部門やベンダーにネットワークデバイスに関する情報が散在しているために、情報の正誤がわからなくなってしまっている病院にも、安全な医療サービスを維持するという観点でおすすめします。
さらなる活用や今後の取り組み予定について教えてください
まだネットワークにつながっていない医療デバイスが多くあります。それらの中には、導入後、診療状況の変化などに伴い、実際には使われていないものも存在すると推測できます。今後はそうした医療デバイスについてもネットワークにつなげて、稼働率を見ていきたいと考えています。従来は各部門の医療デバイスは各部門で管理するものという意識がありましたが、これからはそれぞれが連携を取りながら病院全体で一元管理する体制を構築し、資産の最適化を図っていきたいと考えています。富士フイルムBIには、そうした面でのサポートの充実や効率的な活用方法の展開を期待しています。
(左から)
富士フイルムビジネスイノベーション 荒川 はるな
石巻赤十字病院 情報マネジメント課 加藤 留美 様
石巻赤十字病院 情報マネジメント課 阿部 ひと美 様
石巻赤十字病院 情報マネジメント課 田島 沙紀 様
石巻赤十字病院 情報マネジメント課 課長 千葉 美洋 様
石巻赤十字病院 情報マネジメント課 佐藤 雅哉 様
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 高橋 淳一
本事例に関するご質問や見積等のご要望はコチラ
導入ソリューション
法人プロフィール
石巻赤十字病院
- 業種
- 医療業
- 業務内容
- 医療サービスの提供
- 従業員
- 1,386人(2025年6月1日時点)
- 所在地
- 宮城県石巻市蛇田字西道下71番地
※掲載内容は2025年6月時点の情報です





日本赤十字社の医療事業を担う、病床数460床の総合病院です。宮城県北東部に位置する中核病院として、「世界一強く、そして、優しい病院」を目指しています。当院が属する石巻医療圏で唯一の救命救急センターが設置されているなど、地域医療の最後の砦として活動しています。