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コラム
通販におけるDMのメリット・デメリットとは?
課題改善に役立つ方法 -
通販・EC事業で継続的な利益を創出するため、リピーター(リピート顧客)の存在は重要です。しかしながら、リピート顧客をうまく増やすことができず、悩んでいる通販担当者の方もいるのではないでしょうか。
既存顧客をリピート顧客へ育成するアプローチ手段の一つとして用いられているのが、紙媒体のダイレクトメール(DM)です。
デジタル化が進む現代において、アナログな手法であるDMは一見時代遅れに思えるかもしれません。しかし、実際にはDMの開封率は高く、購入や申し込みなどの具体的な行動に結びつけることができる有力な手段です。ポイントを押さえてDMを活用すれば、リピーター獲得に大きな期待が持てるでしょう。
本記事では、通販におけるDMのメリットやデメリットを解説するとともに、課題改善に役立つ方法として「One to One明細書」を紹介します。
DMとは
DMとは「ダイレクトメール」の略称であり、個人や企業に対して直接的に商品情報を届けるマーケティング方法です。近年は、EメールやSNSを活用した「ダイレクトメッセージ」を「DM」と称することもありますが、この記事ではハガキや封書、カタログなどの紙媒体を用いた広告を「DM」としてご紹介しています。
スマートフォンやパソコンが普及している昨今、デジタルメディアを活用した施策は飽和し、差別化が難しくなっています。また、膨大な情報に埋もれてしまい、本当に届けたい情報がユーザーの目に留まらないケースも少なくありません。
一方DMは、紙のもつ手作りの温かみや特別感といった五感に訴える表現や、個々のユーザーに寄り添ったコミュニケーションなど、受取人が手元に保存できるため繰り返し閲覧され得る点が魅力であり、現在も多くの企業が活用しています。
通販でDMを活用する重要性
2025年に一般社団法人日本ダイレクトメール協会が発表した「DMメディア実態調査2024」によると、2024年の本人宛DM開封率は74.3%と高いスコアになっています。さらに、本人宛DMの「行動喚起率」は受け取りに対して20.8%でした。
ここでいう「行動」には、購入やサービス利用、資料請求、問い合わせなど、売上に直結する行動が含まれます。DMを受け取った中で約2割もの人々が、購入に繋がる何かしらの行動を取っているということになります。
一方で、メールやメルマガのコンテンツを閲覧したユーザーのリーチは6%と低めです。DMに比べて手軽に送付できるものの、成果につながりにくいことがわかります。こうしたデジタルメディアのデメリットを踏まえると、紙媒体を併せた活用の重要性が見えてくるでしょう。
特に、DMは過去に資料請求・問い合わせをしたことのある顕在層や既存顧客のアフターサポートに効果的です。また、デジタルツールに苦手意識をもつ層にとっては馴染みのあるツールとして、またデジタルネイティブであるZ世代にとっては逆に珍しく特別感のある媒体として、高い効果を発揮すると考えられています。このように、Eメールやメルマガなどのデジタルマーケティングだけではカバーできないユーザーへのアプローチや、より確実にユーザーへ情報を届けるために、DMは重要な戦略といえます。
通販でDMを活用する5つのメリット
本項では、通販でDMを活用する5つのメリットをより詳しく解説します。
◇既存顧客をセグメントして効果的にアプローチできる
DMは、名前や住所を把握している既存顧客へのアプローチに役立つ手法です。それゆえ、把握している顧客情報(年齢・性別・購入履歴等)をもとにターゲットをセグメントし、より効果的な訴求を検討することができます。
例えば、特定の商品を長く愛用してくれている顧客に対して、その商品と一緒に使うとより効果がある商品をおすすめ(クロスセル)するほか、モニターやサンプルに応募したユーザーや、会員登録・住所登録が済んでいるもののカートに商品を追加したまま購入にいたっていない見込み客に対して、当該商品に使えるクーポン付きのDMを送ることなどが考えられます。一度購入して以降、一定以上の間購入や利用の履歴がない見込み客(休眠顧客)にも有効な手段でしょう。
◇リピート率向上につながる
DMを活用すれば、ユーザーに合った情報を届けられます。例えば、購入履歴をもとにおすすめ商品や季節限定品などを告知できれば、リピートにつながりやすいでしょう。
ほかにも、割引クーポンやサンプルなどを同封できる点もDMの特徴です。「リピーター限定割引」といった購入権などを提示することで、再購入を促しやすくなります。特に、健康食品や食材、化粧品など、リピートされやすい商品を取り扱っている場合に効果的な手法です。
◇企業ブランディングを図ることができる
DMの特徴として、紙の質感や形状、開封する動作などから五感に訴えかけられることが挙げられます。デジタルツールにはない魅力であり、企業ブランディングを図るうえでも効果的です。
例えば、高級感のある紙を使用したり、香り付きにしたりすることでブランドの世界観を表現できます。また、デザインやキャッチコピーにこだわると、ユーザーの印象に残りやすくなります。
そのほか、ターゲットの属性を踏まえた情報を届けられる点も魅力の一つです。既存顧客に対しては、購入履歴や閲覧歴を踏まえた商品を紹介するほか、会員制度があるならば、会員ランクやポイント残高など、個人に基づいた情報を提示することもできます。
「カゴ落ち」と呼ばれるカートに入れた状態で離脱した会員登録・住所登録済のユーザーには、クーポン付きの紙DMの送付など当該商品の再訴求が適しています。こうしたニーズにマッチしたDMは、ユーザーからの信頼獲得にもつながります。
◇保存性・持続性が高い
DMを始めとする紙媒体は物理的な形として存在するため、受け取った顧客の目に留まれば、そのまま一定期間保存する可能性があります。これにより、繰り返し見ることが期待でき、長期間にわたった販促効果を見込むことができます。
◇効果測定ができる
マーケティングの効果測定というと、デジタルメディアなどで成果を評価するものと思われている方も多いでしょう。しかし、DMでもユーザーの行動を測定することが可能です。
例えば、DMにクーポンや割引チケットを同封すると、使用状況からリピート率や反応率を測定できます。また、二次元バーコードをDMに印刷する方法も有効です。ユーザーが二次元バーコードを読み取った段階で情報を収集できるため、開封後のWeb行動を蓄積し分析することで、ユーザーの一連の行動を理解し、新たな施策検討を行うことができます。
通販でDMを活用する3つのデメリット
通販でDMを効果的に活用するには、デメリットを押さえておくことも重要です。本項では、3つのデメリットを解説します。
◇費用と時間がかかる
DMを発送する際は、顧客情報の収集やターゲットの選定、原稿作成、印刷・封入・発送作業など複数の工程を経る必要があります。デジタルメディアであれば、送付先と原稿がまとまればすぐに配信できますが、DMの場合、ユーザーに情報が届くまでに時間や手間がかかる点は否めません。
また印刷費や送料、発送作業にかかわる社員の人件費などのコストも発生するため、費用対効果を踏まえたうえでターゲットや送付内容を検討することが大切です。
◇運用改善にタイムラグが生じる
DMは、デジタルメディアのようにリアルタイムでの分析ができません。発送してからユーザーの手もとに届くまでに配送という物理的な制約があるほか、開封後の反応が得られるまでには個人差もあります。
改善点が見つかった場合も、次のDMに反映されるまでに時間がかかります。DMはリピート獲得や見込み客への訴求に効果的な手段ですが、即効性を求める場合には適していません。
◇破棄される可能性がある
前述したように、DMの開封率は高い傾向にありますが、必ず開封されるとは限りません。ユーザーの興味を引かなければ、開封されないまま破棄される可能性もあります。
DMは、ユーザーが開封してはじめて効果を発揮します。開封してもらうには、インパクトのあるデザインやキャッチコピーを活用したり、割引券やサンプルを同封したりする工夫が必要です。
DM同様「紙」の持つメリットを活かすなら「One to One 明細書」
DMは既存顧客へのアプローチ方法として非常に有用です。DMの持つデメリットを緩和させながら紙媒体が持つメリットを活用できるソリューションとして、富士フィルムビジネスイノベーションが提案する「One to One 明細書」があります。これは、通販で購入した商品と同梱される明細書に販促チラシの要素を付加したもので、顧客一人ひとりにカスタマイズされた情報を届けることができます。
◇一人ひとりに合わせた訴求で継続率や顧客満足度を向上
パーソナライズした情報をもとに訴求内容を検討することがDMを送るうえでは大切なポイントですが、「One to One 明細書」は、一人ひとりにマッチする情報やメッセージを、商品の到着とともに届けられます。ユーザーにとっては、楽しみにしていた商品と同時に興味のある情報が受け取れることで、特別感を得られるでしょう。
ユーザーのニーズに寄り添った情報をベストなタイミングで届けられるため、キャンペーンなどの効果も高いほか、顧客満足度向上も期待できます。
◇郵送料を抑えられる
「One to One 明細書」は、通販商品の配送時に同封可能であり、DM単体の郵送料が発生しません。また、明細書に販促情報を1枚にまとめることで、用紙や付帯業務の軽減にもつながります。
加えて、ユーザーのニーズに合わせて掲載するコンテンツを入れ替えられる「バリアブル印刷」を採用している点も特徴です。ユーザーの情報を踏まえて出力する情報を可変できます。
◇読まずに破棄される心配がない
明細書には、商品明細や支払情報など重要な情報が多く記載されており、読まずに破棄される心配がありません。DMは必ず開封されるとは限りませんが、明細書についてはほぼ100%の人が開封し、その中でも8割を超える人が再度読み返すというデータもあります。
「明細書」という媒体の特性を活用した「One to One 明細書」であれば、DMと比べて閲覧されたり読み返されたりする可能性が高いため、訴求率向上につながります。
【株式会社あじかん様】「One to One 明細書」導入事例
株式会社あじかん様では、これまでチラシやパンフレットなどを活用した販促をメインに行なっていましたが、内容を十分閲覧してもらえずにそのまま捨てられているであろうことが課題でした。
「One to One 明細書」の導入により、明細書と販促物が一体化され、顧客一人ひとりに合わせた情報を届けられるようになりました。その効果として、お客様のお声を記入するハガキの返送率がシステム導入前に比べ5〜6倍に増加するなど、閲覧率が改善されていると実感されています。
また、出荷日前日でもチラシの内容を差し替えられるため、より鮮度の高い情報が届けられることも改善されたポイントの一つです。
さらに、明細書と注文用ハガキの一体化により、これまでと比べてハガキによる申し込みが1.5~2倍に増加しました。
まとめ
紙媒体を活用したDMは、紙という材質ならではの手作りのような温かみや特別感など、デジタルメディアにはない魅力があります。
デジタル化が進む現代でも、既存顧客へのアプローチや企業ブランディングを図るうえで多くの企業に活用されています。
より効果的にDM施策を行なうには、パーソナライズされた情報を有効に活用していく必要があるでしょう。
「One to One 明細書」では、一人ひとりのニーズにあった最適な情報を商品とともに届けられます。個人情報が記載された明細書に販促情報を掲載できるため、読まずに捨てられる可能性が減り、さらに再度閲覧されやすいという点がメリットです。
また、DM単体の送料や印刷費、用紙の削減にもつながります。DM施策にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。