このニュースリリースは、報道機関向けに発信している情報です。
富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一)は、操作性を向上させた動物用免疫反応測定装置「富士ドライケム AU20V(エーユートゥエンティブイ)」(以下、「AU20V」)を、富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原 芳博)および富士フイルムVETシステムズ株式会社(本社:東京都三鷹市、代表取締役社長:牧野 純一 )*1を通じて7月18日より発売します。本製品は、2013年に発売した「富士ドライケム IMMUNO AU10V(イムノ エーユーテンブイ)」(以下、「AU10V」)の後継機で、動物病院施設内での簡単・迅速な免疫検査が可能な小型定量免疫反応測定装置というコンセプトはそのままに、ワンストップで完了する自動希釈機能やカラータッチパネルによる直感的な操作を実現した免疫反応測定装置です。
富士ドライケム AU20V
近年、ペットの平均寿命が延びる中、シニア期に入った犬や猫などの高齢動物は、内分泌系疾患の診断やモニタリングのためにホルモン検査を受けることが増えています。従来のホルモン検査は、血液中の微量なホルモンを測定するために大型の検査装置を用いた検査が必要となるため、多くの動物病院では、血液採取後に検体を外部の検査機関へ送り検査を委託していました。そのため、検査結果が得られるまでに時間がかかることや、検査結果の確認のためにペットの飼い主が再来院しなければならないという課題がありました。
これらの課題解決に向けて、富士フイルムは、2013年11月に動物病院施設内で迅速なホルモン検査が可能な「AU10V」を発売。院内で迅速に検査結果が得られることで、その場での早期診断・治療に貢献してきました。
今回発売する「AU20V」は、「AU10V」の小型・高感度で迅速な免疫検査が可能であるという特長はそのままに、カラータッチパネルによる直感的な操作や、希釈操作を完全自動化することにより、よりユーザビリティを向上させたモデルです。「AU10V」では検体を希釈する場合、希釈液と検体を別々にセットする必要がありましたが、「AU20V」では希釈液と検体を同時にセットすることが可能になりました。開始ボタンをタッチするだけで、検体セットから測定完了まで完結するので、シンプルな操作が可能です。また、動物用臨床化学分析装置「富士ドライケム NX600V*2」などとのセット利用を考え、インターフェースやユーザビリティを統一。さらに、測定中には測定完了までの残り時間を大きく表示し、装置の近くに行かなくとも測定完了までの時間を確認できることで、診療効率の向上に寄与します。
希釈液と検体を同時にセットすることが可能
「富士ドライケム NX600V」などとインターフェースやユーザビリティを統一
測定中の残り時間表示
「AU20V」は、SPF法*3を利用した技術により、動物病院内でT4、TSH、コルチゾール、TBA、プロゲステロン、SAAの6項目を約10分*4で測定することができます。抗原抗体反応を用いた免疫反応では、検体中のより微量な分子マーカーを測定することができますが、目的とする標的物質以外の影響を抑制することが重要です。
本システムでは、蛍光粒子で標識された抗体と試薬下層の金膜上に固定された抗体が標的物質を捕捉することでサンドウィッチ構造を形成。その後、金膜の下層からレーザー光を照射し、捕捉された蛍光粒子のみを発光させることで、洗浄工程(B/F分離*5)を必要とせず高感度に標的物質を検出することができます。このSPF法の技術により、免疫反応測定の小型・短時間化を実現しました。これにより、院内で測定しその場で結果を確認、すぐに飼い主への説明が可能になり飼い主の満足度向上に貢献します。
当社は、今後も動物医療現場のニーズに応える幅広い製品・サービスの提供を通じて、検査の効率化と医療の質の向上に貢献していきます。
- *1 四国エリアは富士フイルムメディカル株式会社を通じて販売し、それ以外の地域は富士フイルムVETシステムズ株式会社を通じて販売する。
- *2 富士ドライケムNX600V(販売名:富士ドライケムNX600iV/届出番号:2動薬第1721号、販売名:富士ドライケムNX600V IC/届出番号:2動薬第1722号)
- *3 表面プラズモン増強蛍光(Surface Plasmon-enhanced Fluorescence)は小型・簡便な装置でありながら定量高感度な検査システムを提供できる技術である。具体的には高精度なプリズムレンズを用いて光をある角度で照射させることで、金膜近傍の蛍光粒子のみ光らせる事ができ高感度に測定できる。
- *4 24℃時。使用環境温度によっては測定時間が前後する場合がある。
- *5 「抗体と結合した物質」(Bound)と「結合しなかった遊離の物質」(Free)を分離すること。
富士ドライケム AU20V
(販売名:富士ドライケム AU20V/届出番号:7動薬第250号)
2025年7月18日
甲状腺疾患の診断に関わるT4、TSHの他、アジソン病を疑ったときにすぐに結果が知りたいコルチゾール、ベッドサイドで測定したい猫の炎症マーカーSAAなど、計6項目が測定可能。 その場で結果が得られることが、飼い主の安心にもつながります。
試薬はカートリッジのみで、装置にセットするだけ。試薬の分注やインキュベートも不要です。希釈が必要な項目も、装置側が判別し自動希釈。タッチパネルの開始ボタンを押せば、約10分で測定を行えます。
あらゆる操作ボタンや、設定・測定に関する情報をカラー表示のタッチパネルに集約しました。測定中は、結果までの残り時間を大きく表示。ひと目で分かりやすく、直感的に操作することができます。
| 測定方式 | 表面プラズモン増強を利用した蛍光測定方法 |
| 測定項目 | SAA(血清アミロイドA)、PRG(プロゲステロン)、T4(サイロキシン)、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、COR(コルチゾール)、TBA(総胆汁酸) |
| 測定結果保存数 | 270検体分 |
| ウォームアップ時間 | 3分(電源ONから測定可能状態になるまでの時間) |
| 電源 | AC100V±10V 50/60Hz 1.4A |
| 寸法 | W250×D330×H320mm |
| 重量 | 約9kg |
富士フイルムメディカル株式会社
マーケティング部
E-mail:shm-fms-hansoku@fujifilm.com
※ 記事の内容は発表時のものです。最新情報と異なる場合(生産・販売の終了、仕様・価格の変更、組織・連絡先変更等)がありますのでご了承ください。