
【奈良県庁さまインタビュー】
新技術導入へ向けた事例
奈良県 県土マネジメント部 道路マネジメント課 ご担当者さまにお伺いしました。
大きく3つの課題がありました。
1つ目は全国的なルールが無い中で、どのような橋梁に対して新技術導入を適用するかの対象物のルール作りをする必要があったことです。
2つ目は少数の橋梁では初期導入コストが高く活用に至らなかった事例や、現場作業や交通規制の省力化の効果が薄く活用に至らなかった事例がすでにありました。これらの事例を踏まえたうえでの、特定の年度に新技術を集約するなど新技術活用を踏まえた点検計画の見直しを行う必要があったことです。
3つ目は新技術で点検する橋梁が決まり、いざ積算しようと思ったときに新技術の歩掛りが無い事です。見積を取り、集計することは発注の担当者には負担がかかる為、導入のハードルが高くなります。その為、新技術の歩掛りが必要だったことです。
新技術導入に向けてはこの「対象物の選定ルール」「点検計画」「歩掛り」がセットで必要です。この新技術の導入を検討しているときに、富士フイルムさんにタイミング良くお声がけいただき、実証実験や他の先進事例の情報提供などをしてもらい課題を解決するきっかけとなりました。
以下の3ステップで取り組みました。
- STEP1)新技術が適した現場の選定
- まず、第三者被害が生じる可能性がないことが大前提です。次に橋梁点検車(BT200)及び梯子での近接目視点検が困難で、大型の橋梁点検車(BT400等)やロープアクセス技術が必要となる橋脚に対して新技術を活用する方針としました。具体的には橋脚高5m以上の橋梁を新技術導入の対象としまして、抽出作業については、机上で写真や図面等を確認しました。
- STEP2)実現場での試行、検証
- これまでも受注者からの提案によりドローン点検を行っていたため、品質に
は疑念はなかったのですが、実証実験によりこれまで机上(見積)で判断していた工数を、実際の作業時間として確認できたことは、より効果を実感する事ができて新技術導入に向けての後押しとなりました。 - STEP3)歩掛作成
- 建設コンサルタントからの見積りや県の実績を基にして歩掛を作成しました。一日当たりの編成人数は建設コンサルタントからの実績情報を、画像解析技術は富士フイルムのひびみっけ等の見積り情報を参考にしました。過去にも受注者からの提案によりドローン点検を行っていたため、実作業時間をヒアリングすることにより工数を把握でき、従来手法と比較した日当たり作業量を定めました。ひびみっけについては奈良県としても使用実績があり、県としてはドローン撮影と画像解析はセットと考えているため情報の提供をお願いしました。

特に歩掛作成には苦労しました。机上の計算だけでは、大型の橋梁などでは過去の実績と理論値の日当たり作業量とが乖離するようなケースがありました。その為、これまで20~30橋でおこなった実際のドローン点検での作業時間などもヒアリングし、その実態情報も追加して日当たり作業量の計算式を作成しました。過去情報を用いた検討も重ねた結果、より実態に即した歩掛制定へ至る事ができたと思っています。
既に県内市町村には参考として歩掛りを送付しているので、市町村での新技術導入促進のきっかけになればと思っています。また奈良県では令和7年度には多くの橋梁で点検を予定しているので、新技術を採用したデータやアンケートを多く集めて、より歩掛りの精度を高め、新技術の普及に努めていきたいと思っています。

ひびみっけは、国土交通省の点検支援技術性能カタログに掲載されている新技術で、橋梁・トンネルなどのコンクリート構造物の社会インフラ点検を効率化するサービスです。橋梁などのコンクリート構造物のひびわれをAIで自動検出し、ひびわれ点検業務を効率化しコスト削減に貢献します。
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