
【大阪府都市整備推進センターさまインタビュー】
新技術を活用し大阪府内市町村の道路施設の点検業務を推進
大阪府の出捐により設立された財団法人大阪府土地区画整理協会が母体となり、数回の法人統合を経て成立された公益財団法人となります。その業務は多彩で、土地区画整理支援事業やまちづくり事業、不動産賃貸や駐車場運営のみならず、霊園の運営まで幅広い事業を行っています。大阪らしい「おもろいまち」を目指し、まちづくりコーディネーターとしての役割から大阪府施策の補完や代行的な役割などを果たしています。
また、全国に先駆けて「ひびみっけ」を始めとする画像診断新技術の使用を、橋梁の点検に採用しています。今回は市町村道路施設点検等の支援をされている都市整備事業部市町村技術支援課の前多孝則主幹に弊社社員がお話を伺いました。
当センターは多くの事業を行っていますが、私共の部署では大阪府、市町村、当センターとの三者協定をもとに、複数市町村をまとめて道路施設点検の一括発注を行っています。
道路施設の点検業務は、2012年の山梨県の笹子トンネル天井板落下事故を契機として、道路法の改正により義務化されたものです。今現在は5年に1度の点検が義務化されていますが、市町村によっては管理義務のある構造物を5年間に分けて点検する自治体もありますし、全ての構造物を1年ですべて点検する自治体もあります。
もちろん、そこで問題が発生すれば補修の必要が生じますので、点検業務が落札されない「不調」という事になれば後々のスケジュールに関わってきますし、何より利用者の安全安心が確認できない事にもなります。我々の役目としては、複数の市町村の点検業務を一括発注することで安定したメンテナンスサイクルを維持し、統一した基準と目線で健全度を判定して修繕の要否を判断することです。今後も市町村の技術者不足が懸念される状況において、重要な社会資本である道路施設の健全な状態を維持し、安全な状態でご利用頂くために市町村をサポートさせていただいています。
道路施設の近接目視点検が義務化されたことで次のような課題が見えてきました。
- 一巡目の点検結果から、早期に措置が必要な橋梁が多数判明し、そのうち約6割が市町村の管理橋梁であること。
- また高度経済成長期前後に整備された橋梁が多く、老朽化が一斉に現れる恐れがあること。
- 一方、市町村の維持管理担当職員が減少しており、点検や補修業務が追いつかないこと。
これらの対策として生産性を向上するための新技術活用が求められています。
まず新技術を導入するにあたって、国の点検支援技術性能カタログのスペックを参考にさせていただきました。NETISや点検支援技術性能カタログに掲載されている技術は、コスト縮減や効率化の点で効果が検証されているので、そのあたりは重視した項目でもありますね。
選考にあたっては次の過程として実証実験を行いました。いわゆるデモですね。他社さんの画像解析システムと比較させて頂いた上で「ひびみっけ」が良いじゃないかと言う話になりましたが、大阪府の点検要領と合致したという面もありましたね。写真を撮って、それだけで国の健全性のⅠ~Ⅳを判定するというシステムもあったのですが、大阪府においては各部材のヒビの数、どのくらいの損傷でどのくらいのエリアにあって、それらを数値化して、最終的に健全性の判断をするという形でしたので、「ひびみっけ」はその点で使いやすいという判断になりました。
国からの新技術活用の働きかけがあった事により、我々は「ひびみっけ」を採用させて頂いたわけですが、これは同時にある種の物差しを手に入れた事にもなりました。同じ座標軸で機械的に計測することによって、点検者によるばらつきを無くすことができます。あるいは前回と今回のひび割れを正確に比較することができるので、進行性の有無が明確になります。もちろん、「ひびみっけ」が全ての条件で有効なわけではありませんから、しばらくは人間の目と「ひびみっけ」の併用で点検業務が行われることとなるかと思います。
作業効率の向上、精度の向上、コスト削減、安全性の向上の観点では、条件次第という部分はあるかもしれませんが、精度は非常に素晴らしいと思います。人間の目では難しい微細なヒビも検出できます。目視では捉えきれないヒビが進行する過程を時間と共に確認できるのは貴重な資料になるかもしれません。
今までは現地のチョーキングを測定し書き写していましたが、機械的な判断で結果が出てくるという利点があります。ひび割れが多数ある場合は見落としがなく、作業効率もよくなります。こういったデータを蓄積する事によって、次回点検ではヒビが伸びているなどの過程が見やすくなるだろうという意見も耳にします。
また、コストメリットの部分では、長大橋とかハイピアなどで活用できれば、効率性が高く生産性向上につながるのではないかと思います。
これからも新技術をさらに活用して業務効率化を図っていくことに何らかのお手伝いができればと思います。もちろん新技術はコスト的にも効率的に安く良くなる技術ですよというものであるべきだとは思いますが、まだまだ課題もあります。今後は人が容易に近づけない箇所の点検などでドローンとセットによる計測ができたら安全性やコスト削減に大きく寄与できるとも思います。
小規模な自治体の中には技術職の方が担当していないこともあります。土木関係の知識のない方が担当していることもあります。当センターではそういった自治体のサポートとして技術研修も行っております。大阪府内の自治体がインフラメンテナンスサイクルを円滑に維持できるような総合的サポートができればと感じております。
ひびみっけは、国土交通省の点検支援技術性能カタログに掲載されている新技術で、橋梁・トンネルなどのコンクリート構造物の社会インフラ点検を効率化するサービスです。橋梁などのコンクリート構造物のひびわれをAIで自動検出し、ひびわれ点検業務を効率化しコスト削減に貢献します。
本製品へのお問い合わせ、ご利用および各種資料のお申し込みは富士フイルム(株)で承っております。
電話またはウェブより問い合わせフォームをご利用ください。
月~金 9:00~17:00(祝日・年末年始は除く)