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日本
医療AIの現在と未来

医療AIを導入するには……。
最適なタイプを選び、円滑に運用するための3ステップ

このコンテンツは医療従事者向けの内容です。

画像診断や放射線撮影など、医療AIは医療現場の様々な領域で活用が進んでいます。
医療AIの支援機能により、診療制度の向上や業務の効率化が図られている医療施設は着実に増えており、今後医療AIはさらに多様な規制で医療業界に貢献していくことが予想されます。
医療業界は新たな時代を迎えようとしていますが、医療AIや医療AIを搭載する医療機器を導入するための調べ方や進め方に悩む方もいるのではないでしょうか。
今回は、医療AIを導入するうえでの事前準備、効果的に運用するためのポイントを紹介します。

大規模病院にもクリニックにも貢献する医療AI

日本では大規模病院をはじめとした医療環境が整備され、国民は全国各地で高い品質の医療サービスを受けることができます。各種疾患においても精緻な診断・診療が特徴で、病変の早期発見に有用なMRIやCTなどの撮影機器が全国各地に普及し、その設置台数は世界トップクラスです。

日本の医療現場では、国民の健康増進を後押しする丁寧な医療サービスを提供する一方、画像診断にかかる負担が課題となっています。MRI・CT検査数は欧米先進国の3倍以上と言われており、それにしたがい放射線科医や読影医などの専門医一人当たりの負担は増しています。小規模病院やクリニックではひとりの医師がすべての診療を行うケースも多く、高い水準の医療サービスを継続して提供することは簡単ではありません。また、救急医療においては、専門医が不足している医療施設もあることから、骨折など病変の見落としが懸念されています。今後も画像診断ニーズは高まることから、医療現場では多岐にわたる課題を解消する手立てが求められています。

医療AIは、画像診断の所見検出や経過観察において有用性があることが確認されています。胸部単純X線画像の診断では、血管、肺、心臓、横隔膜など注視すべき要素が多く、血管部と重なり目視しにくい箇所があるなか、医療AIの支援機能を活用すると、結節や腫瘤影、気胸、浸潤影といった画像所見の見落とし防止が期待できます。

また、一日あたり数十件の診療に携わる医師にとって、蓄積される疲労は集中力の維持を妨げる原因となります。通常の当直体制に加え救急患者対応が求められる医療施設は、24時間365日安定した医療サービスが求めれるため、時間帯を問わず集中力を維持することは必須課題であり大きな難問でもあります。医療AIによる画像所見の検出支援は、ダブルチェックに近しい機能であり、医師にとっては心身の負担が軽減され、集中力低下時の補完効果も見込めます。

日々多く患者と接する医師は診療以外の様々な業務も担っているため、医師の作業負担は増大しています。医療AIが有用性を発揮する領域として、単純作業や反復作業があります。そのひとつがMRI画像の再構成作業で、スライス画像から一枚画像を作成するには専門医としての一定の経験が必要ですが、医療AIの支援機能は経験の乏しい医師をサポートするため、限られた人員体制でも安定的かつ効率的に医療サービスを提供できます。

医療AIの導入に向けた3ステップ

画像診断などの領域で支援効果を発揮している医療AIですが、導入したい医療施設はどのようにすればいいのでしょうか。医療AIや医療AIを搭載する医療機器は、既存の医療体制からするとまったく新しい存在であり、ひとつの仕組みとして調和させるには相応の下準備が不可欠です。そこで、医療AIの本格的な導入稼働に向けたポイントを3つのステップで紹介します。

【ステップ①】検査関連部門の規模や人員体制、抱える課題を確認

医療AIは、MRI・CT検査数の増加や担当人員不足などに起因する課題解消効果が期待できるツールであり、すべての医療施設にメリットをもたらすとは限りません。そのため、まず「自院に医療AIが必要な状況か否か」を整理することをおすすめします。小規模病院やクリニックの場合はひとりの医師が幅広い診療業務を兼務するため、医療AIのサポート機能は有益に働くケースは多いです。

豊富な医師数と先端医療機器を誇る大規模病院のなかには、十分な診療・検査体制を構築できていると自負する施設もあるかと思いますが、検査数に比例して見落としリスクも高まるため油断は禁物です。

医療AIの導入効果を享受するためにも、医療現場の状況や施設規模をふまえた費用対効果の検証など、様々な観点から検討することが重要です。

【ステップ②】医療AI・サーバーのタイプを選定

次に医療AIのタイプや画像などのデータを管理するサーバーを選びます。大前提として医療AIはスーパーコンピューターで運用するため、未導入の医療施設は用意が必須となります。医療AIには医療施設側に設置した実機サーバーで運用するパターンと、外部のクラウド環境から運用するパターンがあります。データ管理用のサーバーも主に2種類あり、オンプレミスサーバーは医療施設内でデータを蓄積でき、クラウドサーバーはインターネットを利用して外部サーバーでデータを管理します。

オンプレミスサーバーの場合は、大規模なサーバーとソフトウェアが必要となり、その分費用も高額化します。一方のクラウドサーバーは実機導入が不要なため費用を抑えることが可能です。

【ステップ③】各メーカーのサポート体制をチェック

医療AIは導入すれば機能を最大限に発揮するわけではありません。医療AIと医療施設の各システムとの連携性を高めながら、医療AI自体の機能を適宜ブラッシュアップすることではじめて有用性は発揮されます。その調整を担うのが、メーカーのサポートチームです。システムに不具合があれば医療施設に駆けつけ、原因を究明し、メーカー内の開発部門とともに問題を解消します。発展の余地が多く残されている医療AIだけに、メーカーのサポート対応の手厚さや迅速な対応が、医療AIを円滑に運用しながら機能精度が向上する好循環を生みます。

医療AIと一口に言っても、メーカーによって特徴や機能、仕様などはそれぞれです。また、導入後のサポートに関する姿勢や充実度も異なります。そのため、導入を検討する際には情報を広く収集し、各メーカーと接点をもつことが大事です。百聞は一見に如かず、AIを搭載する医療機器のトライアルとして初期投資を抑えられるクラウドサービスなどのデモンストレーションを通じて医療AIの機能や導入に向けたプロセス、そして医療施設に寄り添うスタッフの姿勢を体感してみてはいかがでしょうか。

【企画・編集 株式会社 広瀬企画/2023年7月公開】