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2024年4月の獣医療広告ガイドラインの見直しのポイント
「獣医療広告ガイドライン」というものがあるのをご存じでしょうか。その名の通り獣医療に関する広告を出す際のルールについて定めたガイドラインで農林水産省が所管しているものですが、このたび2024年4月に獣医療広告ガイドラインの見直しが行われ、一部内容が変更となりました。動物病院を経営する中で広告を利用する場合には、このガイドラインを十分に理解しておく必要があります。今回のコラムでは獣医療広告ガイドラインと、2024年4月の見直しについてのポイントを紹介します。
- * 本コラムはあくまでもガイドラインの要点を抜粋して紹介するものです。詳細については必ず実際の「獣医療広告ガイドライン」をご参照いただき、不明点については関係各所にご確認ください。
まず理解しておく必要があるのは、獣医療広告ガイドラインの対象となるのは「広告」に限られるということです。反対に、「広告」でないものはガイドラインの対象外です。当たり前のことのように思えますが、この「広告」か否か、というのが意外とわかりにくいので、整理しておきたいと思います。
獣医療広告ガイドラインにおける「広告」とは、以下の3つの要件を全て満たすもの、とされています。
- 誘引性:飼育者等を誘引する意図があること
- 特定性:獣医師の氏名又は診療施設の名称が特定可能であること
- 認知性:一般人が認知できる状態にあること
これを踏まえて広告に該当するものと該当しないものをおおまかに分類すると以下のようになります。
| 広告に該当するもの | 広告に該当しないもの |
|---|---|
| テレビ・新聞などのマスメディアでの広告、インターネット広告、看板、病院外から見えるようなポスター、不特定多数に配布されるチラシ(新聞折り込みやポスティングを含む) など | ホームぺージ、希望者のみに配られるチラシやダイレクトメール、新聞等の記事、病院外からは見えないポスター など |
ただし、通常は【広告に該当しないもの】に分類されるものであっても、1. 誘引性、2. 特定性、3. 認知性を全て満たしている場合は、広告に該当する場合もある点に注意しましょう。例えば従来は「広告に該当しない」とされてきたウェブサイト(ホームぺージ)ですが、2024年4月の見直しの際には「インターネット上のバナー広告、検索エンジンでのリスティング広告、バナー広告等にリンクしている診療施設等ウェブサイトなど」は広告に該当すると明記されました。YouTubeなどの動画共有サイトやSNSなども1. 誘引性、2. 特定性、3. 認知性を満たしていれば、広告となり得ますので注意が必要です。
おそらく今後も情報を発信するためのメディアはより多様化し、数年後には現在存在していないようなメディアもたくさん登場しているでしょうが、それらが「広告」に該当するか否かというのも、基本的には1. 誘引性、2. 特定性、3. 認知性認知性の有無を基準に判断されることとなるでしょう。
情報発信をするメディアが「広告」に該当する場合は、獣医療広告ガイドラインの対象となるため、広告してよい内容、広告してはいけない内容を理解しておく必要があります。2024年4月の獣医療広告ガイドライン見直し以降の分類を以下におおまかに紹介します。
| 広告してよい内容の例 | 広告してはいけない内容の例 |
|---|---|
|
|
実は2024年4月の見直し以前は、「獣医師の専門性、履歴」に関する広告は禁じられており、さらに診療行為については「避妊・去勢手術」や「ワクチン接種」など一部のものしか広告をしてはいけないというルールがありました。今回の見直しを経て、どちらかといえば規制が緩やかになったと捉えることもできるでしょう。
ただし専門性に関しては農林水産大臣の指定した団体によるものに限るという条件がありますし、診療行為については広告を見た者を惑わせることのないよう、問い合わせ先、主なリスク、副作用、診療の手順や内容、費用などを併記する必要があると明記されましたので留意が必要です。
【2025年12月/文責:動物病院経営パートナーEn-Jin 代表取締役 古屋敷 純】



