注文書を電子化する方法|電子帳簿保存法、メリット・デメリットや注意点を解説

2023.03.24

注文書を電子化する方法|電子帳簿保存法、メリット・デメリットや注意点を解説

注文書を電子化する方法|電子帳簿保存法、メリット・デメリットや注意点を解説

あらゆる業務においてペーパーレスやDXといったデジタル化が進められています。昨今のIT技術の発展や、それに対応する各企業の動向は、デジタル化に取り組む重要性を物語っているでしょう。特に最近は電子帳簿保存法の改正なども相まって、電子化やデジタル化の重要性はさらに高まっています。

そこで当記事では、「注文書」の電子化に焦点を当てて、電子化の方法やメリットなどを解説していきます。電子化は、デジタル化の一歩として取り組むべき重要な工程でもあるため、これからIT技術の導入を試みようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

2021年1月に電子帳簿保存法の改正が行われ、2022年より施行されています。電子化を進めるのに苦戦する企業が多くある中で、この改正は電子化を導入するハードルを下げる効果をもたらしました。改正による主な変更点は以下の通りです。

【2022年1月改正の変更点】

  • 事前手続きの廃止
    └電子帳簿保存やスキャナ保存を行う際に、税務署長から承認を得る必要があったが、改正によって事前承認が廃止されました。
  • タイムスタンプの要件が緩和
    └スキャナ保存時に行う電子データへのタイムスタンプは、最長約2か月に統一されました。
  • 検索項目の要件緩和
    └検索項目が削減され、取引年月日、取引金額、取引先の3項目になりました。
  • 電子取引における電子データ保存の義務化
    └電子データでやり取りをした国税関係書類は、電子データで保存することが義務付けられました。紙での保存は認められていません。
  • 罰則の強化
    └電子取引データやスキャナ保存の際に、隠ぺいなどの事実が発覚した場合は、重加算税が10%加重されます。

スキャナ保存をする前に税務署への承認が必要であったり、タイムスタンプは3営業日以内に行なわないといけなかったりと、かなり運用ハードルが高かった電子保存ですが、今回の改正によってそれらが大幅に緩和・廃止されて運用のハードルがかなり低くなりました。

電子帳簿保存法についてさらに詳しく知りたい方は、以下のサイトでより深く解説しているので参考にしてみてください。

以下では、紙の注文書を電子化する方法を解説します。先でも述べたように、電子取引で注文書を電子保存するのであれば、一元管理するために紙媒体を電子データ化して保存する企業も多くなってくることでしょう。そんなときに方法を知らなければ、電子化の効率も悪くなってしまうので、今後に備えて方法を把握しておきましょう。

【紙の注文書を電子化する方法】

  • 自社で電子化する
  • 外部委託する

自社で電子化する

自社で電子化する方法には「スキャンする方法」「ペーパーレスファクスを利用する方法」「OCRツールを利用する方法」の3種類があります。いずれも機器が必要ですが、自社内で完結できるメリットがあります。自社内で完結できれば、書類に書かれている情報の漏えいを防ぐことができるでしょう。

スキャン

スキャナで紙の注文書をスキャンすることで、電子文書化できます。スキャナさえあれば簡単にできる方法ではありますが、全ての書類をスキャンするのにはかなりの時間と人員を必要とするため、計画的な取り組みをしていく必要があるでしょう。

また、スキャンしたファイルの名称は自社の運用ルールに沿わないケースがほとんどなので、スキャンしたデータのファイル名を変更する手間も出てしまいます。ファイル名の変更には労力を要しますが、そうした作業を効率化することのできるソリューションもあるため、合わせて検討するのが良いでしょう。

ペーパーレスファクス

受注業務に当たって注文書の受信を、複合機のファクスを用いて実施することが多い場合、紙に出力せずにそのまま電子文書化してしまうことも有効です。受信するたびに各担当者に原紙を振り分けるといった手作業の手間や負担を削減でき、関連ソリューションを組み合わせることで、電子文書への納期やコメントの付記、クラウド上へのファイル保管などの運用もスムーズに実現可能です。

OCRツール

OCRツールとは、手書きの書面をデジタル文字に自動変換するツールのことです。スキャンの場合は「画像」として保存するのみでしたが、OCRツールの場合は文字もデジタル化するため、入力業務まで一貫した自動化が実現可能です。

外部委託する

自社で電子化する人員やコストが不足している場合には、電子化を外部委託してしまうのも一つの方法です。外部委託してしまえば、クオリティを担保できるだけでなく、必要とする時間も最小限で済ますことができるでしょう。これらは専門でやっているからこその強みでもあるため、依頼する際はどれくらいの実績があるのかを確認したうえで委託するようにしてください。

注文書を電子化するメリットを知っておけば、電子化を進める価値を見出すことができるでしょう。以下で示すメリットを確認して、自社内での電子化の重要性を周知してみてはどうでしょうか。

【注文書を電子化するメリット】

  • コスト削減
  • 業務効率化
  • セキュリティー対策
  • 災害対策

コスト削減

注文書の電子化を進めれば、注文書の保管場所にかかる費用や、印刷自体にかかる費用を抑制することができます。保管場所は保管しておく年数が長かったり、取り扱う書類の種類が多かったりするほど、一定の広さを必要とするため、場所が不足している企業ほど、注文書の電子化をする効果は高くなるでしょう。

また、印刷費用も1枚当たりの費用は大きな額ではなくても、毎月何百枚、何千枚と印刷をすることがあれば、侮れない金額になります。また、不要となった注文書を廃棄するのにも、紙媒体だと廃棄費用がかかるので注意が必要です。

業務効率化

注文書の電子化をしてしまえば、全てパソコン内で一元管理できるため、業務効率化につながります。紙媒体で保存しておくと、必要となったときに検索するのにも手間がかかり、場合によっては紙が傷んで見にくくなってしまっている可能性も考えられるでしょう。そうなると業務効率は大幅に低下してしまいますが、電子化をしておけば、検索・閲覧が大変になることはありません。

また、電子化してあれば、新しく入社した方でも比較的検索がしやすくなる点も、業務効率が大幅に向上する要因と言えます。新入社員の教育にかかるコストは一般業務以上に負担が大きくなるため、そこにかかる負担を少しでも効率化することは企業における重要なポイントの一つといえるでしょう。

セキュリティー強化

紙媒体で保存しておくと、注文書の紛失や盗難といったセキュリティー面における懸念が生まれやすいです。その点、電子化してパソコン内やクラウドストレージ内などで管理することができれば、そういったリスクを防ぐことができるでしょう。さらに、電子化してあればシステムやクラウドストレージ内へのアクセス制限をすることもできるため、内部の人間による盗難や誤ったデータ消去を防ぐことも可能です。

災害対策

地震や火事が発生して建物が崩壊・焼失してしまうと、紙媒体で保存している注文書は紛失してしまいますが、システム上で保管してあればデータを保護できます。自然災害はめったに起きるものではないですが、もし発生してしまうと被害度合いは計り知れません。それでも、「情報」が保護されているだけでも、かなり再建の目途が立つはずです。

注文書を電子化するデメリットを把握して、自社の書類の管理方法にマッチするかを確認しましょう。

【注文書を電子化するデメリット】

  • 移行の手間がかかる
  • 書き込みができない

移行の手間がかかる

紙媒体を電子化する作業において、1枚あたりの負担は少なくても枚数が多くなれば手間や負担は大きくなります。「数枚しか電子化する対象がない」といったことはまずあり得ないため、対象の書類を全て電子化するのにかかる手間は、ある程度の概算を立てて実践した方が良いでしょう。

また、電子化の作業は「スキャン」だけではなく、ファイル名の統一などやるべきことが多くあるため、その点も踏まえて電子化に取り組む価値があるのかを検討してください。しかし、そうした作業を効率化することのできるソリューションもあるため、合わせて検討するのが良いでしょう。

書き込みができない

電子化したデータは「画像データ」として保存されるため、注文書へメモを取るといった行為が手軽にできなくなります。紙媒体であれば、受け取った注文書に補足事項等があればすぐにメモを書き込むことができましたが、デジタルデータ化しているとそうはいきません。

そのため、電子化を進めていく中でメモなどが必要となる可能性を下げるための工夫をしていく必要がありますが、その一方で、電子文書への記入や加工を容易にする製品もあるため、電子化を推進する際には合わせて検討することが効果的です。

注文書を電子化する際は、以下で示す注意点に気を付けながら取り組めば、効率よく進められます。電子化の作業が長引くことにメリットは全くなく、長引くほど他の対象書類が増えていってしまうので、注意点を抑えて効率よく進めましょう。

【注文書を電子化する際の注意点】

  • 電子帳簿保存法に対応する
  • 検索性が高くなるように管理する
  • 保管先のセキュリティー面に不足は無いか

電子帳簿保存法に対応する

電子帳簿保存法改正に伴う「取引データの電子保存」について、適切な対応を講じる必要があります。詳細は以下のページを合わせて参照ください。

検索性が高くなるように管理する

電子化したデータはすぐに検索できるようにしておくことで、電子化後の管理効率が向上します。検索性を高くするにはファイル名を統一する必要があるため、事前に運用ルールを決めておきましょう。

保管先のセキュリティー面に不足は無いか

注文書は企業によっては数年間保管しておく必要のある書類であるため、保管中にデータが消えたり紛失したりといった事態にはならないように対策しなくてはいけません。電子化を始める前の段階からセキュリティー対策はしておいた方が良いので、クラウドストレージのサービス選びなどから意識しておくようにしましょう。

注文書を電子化してしまえば、ファイルの容量が許す限り永遠に保存しておくことが可能ですが、法律では保存しておくべき期間が決められています。何十年保存したところで必要がなければ保存しておく価値がないため、法令を参照して適正期間の保存を心掛けましょう。

注文書を電子化する場合、自社で発行した注文書を電子化するケースと、取引先から受け取った注文書を電子化するケースの2通りがあります。自社で発注する注文書に関しては、電子化するのではなく最初からExcelなどのフォーマットを作成して、あらかじめ電子媒体での保存ができるように仕組みを作っておけば、これから発行する注文書は全て電子媒体で保存することが可能です。

しかし、取引先からの注文書の場合はそうはいきません。ファクスで送られてきた注文書に関しては、それらをスキャンして電子化していく必要が出てきてしまうでしょう。そこでおすすめのソリューションが、富士フイルムビジネスイノベーションが提供する「ペーパーレスファクス」です。

「ペーパーレスファックス」はFAXで受信した注文書を紙媒体でプリントすることなく、電子データとして保存できる機能です。これがあれば、取引先から注文書が送信されるたびにスキャンなどで電子化するといった作業がなくなり、業務負担が大幅に軽減して効率化が見込めます。

注文書を電子化する方法はさまざまなものがありますが、自社の人員やコストなどを比較して、最適な電子化の方法を選択してください。

もし、注文書の電子化を進めていこうとしているのであれば、「ペーパーレスファクス」という富士フイルムビジネスイノベーションが提供するソリューションの利用を検討してみてください。紙の注文書が送付されるたびにスキャンなどで電子化することは効率が非常に悪いため、「ペーパーレスファクス」のようなソリューションを導入することで、最小限のコストかつ最短の時間で電子化を図ることをおすすめします。

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