このコンテンツは獣医療従事者向けの内容です。
ホームページ(ウェブサイトとも言いますが、本コラムではホームページ(HP)で統一表記します)の重要性については、「ホームページの重要性と分析のポイント」のコラム等でも触れてきましたが、HPとセットで考えるべきものとして「SEO(SEO対策)」があります。
今回のコラムでは、SEO対策の基本について紹介したいと思います。
「SEO」とは、「Search Engine Optimization」の略で、「検索エンジン最適化」を意味します。
つまり、GoogleやYahooなどの検索エンジン(検索サイト)で、「東京都 動物病院」や「動物病院 皮膚病」などといった特定のキーワードで検索した際に、上位に表示されるようにするための対策のことです。
動物病院を探している飼主様が「●●駅 動物病院」と検索したときに、1番目に出てくる動物病院と、10番目に出てくる動物病院では情報発信力(集客力)が全く異なります。検索結果の2ページ目以降(11番目以降)はほとんど見てもらえないという調査結果もあり、インターネットで検索された際の自院のHPの表示順位を上げるためのSEO対策は、アクセス数を増加させるために非常に重要であると言えます。まずはGoogleなどの検索エンジンを使って、「●●市 動物病院」「●●駅 動物病院」とか「皮膚病 動物病院」「骨折 動物病院」など、自院のHPが上位に表示されてほしいキーワードで実際に検索してみて、どのくらいの位置に表示されるのかを把握しましょう。Google Analytics4(GA4)やGoogle Search Consoleなど、Googleが提供しているツールを使って自院のHPを分析してみるのもお勧めです。
ではどうすれば希望するキーワードでの検索順位が上がるのか、という本題に入っていきたいと思います。
SEOというテーマはそれだけで数えきれないほどの書籍があるほど多岐に渡りかつ奥が深い分野ですが、現在(2024年時点)SEOに特に不可欠だと言われているのは「コンテンツの質」です。
例えばGoogleで検索したときに、どういう順番で検索結果が表示されるかというのは、Googleの定めるアルゴリズムで決まります。そのアルゴリズムは詳細には公表されていないうえ刻々と変化しますが、少なくともGoogleの検索品質評価ガイドラインで伝えられている「E-E-A-T」と称される4つの要素についてはSEOに大きな影響を与えると言われています。
その4つの要素とは
- Expertise(専門性)
- Experience(経験)
- Authoritativeness(権威性)
- Trustworthiness(信頼性)
です。
Googleにとって質が高いコンテンツとは、上記の4つの要素を高いレベルで満たしているもの、ということが言えます。
具体例を挙げると、素性もわからないライターが書いたサイトよりは大学教授が書いたサイトの方が、中小企業のサイトよりは大企業のサイトの方が高く評価されがちな傾向があります。
動物病院のサイトにおいて上記の4要素を満たす方法は様々考えられますが、
- 獣医師の経歴や専門性などを記載する
- 症例紹介などオリジナリティの高いコンテンツを増やす
- 医療的な内容を書く際に論文などのエビデンスを引用する
- 独自の画像を掲載する
といったことが挙げられます。自院にできる方法で、HPの「専門性」「経験」「権威性」「信頼性」を高めることを意識してみましょう。
ご自身のHPの「ソース」をご覧になったことはあるでしょうか。HP上で右クリックをして「ページのソースを表示」を選択すると、図1のような画面が出てきます。このうち「title」「description」「keyword」という部分(図1の赤枠部分)は、比較的検索順位に影響しやすいと言われていますので、検索結果の上位に表示されたい単語(「動物病院」「獣医」や地域名)を入れておくことをお勧めします。
またHP内でのリンクが利用者にとって使いやすいことや、スマートフォンで見たときに画面が最適化されて使いやすいことも重要です。このような対策を総称して内部対策と言います。
一方で外部のサイトへのリンクや外部のサイトからのリンク(被リンク)、SNSとのリンクなどを外部対策と言います。基本的には多くのサイトやSNSとリンクをしていることはSEO上有利になりやすいですが、特に上記「2」で紹介した4要素を満たしているサイトやSNSとのリンクは高い評価を得やすい傾向にあります。かつてはこの外部リンクがSEOにおいて非常に重視されていた時期もありましたが、現在は上記「2」の通りコンテンツの質が重視される傾向にあります。
今回はSEO対策の基礎を紹介しましたが、覚えておいていただきたいのはSEOのアルゴリズムはあくまでも検索エンジン(主にGoogle)が決めた基準に則っており、Google次第で刻々と変化するということです。Googleは外部リンクなどのHPの形式的な部分よりも、コンテンツのより本質的な部分を重視する傾向になってきていると言え、それが可能になったのはHPを評価するAIが進化している(人間に近いレベルで本質的な部分を評価できるようになってきている)からです。
AIの台頭などにより、WEB周辺の常識は大きく移り変わっていくことが予想されますし、「ネット検索」や「SEO」という概念自体が変化していく可能性もあります(既に変化し始めています)。今後もWEB周辺の情報やツールについては、最新の情報をキャッチアップしていくことが重要です。
【2025年12月/文責:動物病院経営パートナーEn-Jin 代表取締役 古屋敷 純】



