「高速・高画質と省スペース化を実現する帯電部材」の発明が令和四年度全国発明表彰「朝日新聞社賞」「発明実施功績賞」を受賞

2022年5月31日

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO: 浜 直樹)は、公益社団法人発明協会が主催する令和四年度全国発明表彰において、「高速・高画質と省スペース化を実現する帯電部材」の発明(特許第6136862号)で、「朝日新聞社賞」を初めて受賞しました。本発明は、複合機やプリンター等に搭載されるドラムカートリッジ※1に使われている帯電装置※2の主要部品である帯電ロール(Bias Charge Roll、以下BCR)※3に関するものです。

高速デジタル印刷機(プロダクションプリンター)は、高画質(粒状性が良好なザラツキ感の無い画質)が求められることから、これまで、高速デジタル印刷機の帯電装置には、中・低速デジタル複合機・プリンターで一般的に使用されているBCRではなく、高画質を実現するスコロトロン※4が使われていました。しかしながらスコロトロンは高画質を実現できる一方、BCRに比べて、コストや消費電力、部品の設置スペースなどで課題がありました。そこで当社は、BCRの表面層を独自に設計することで、高速デジタル印刷機で求められる高画質を可能にするBCRを発明し、スコロトロンをBCRに置き換えることによるドラムカートリッジの「低コスト化(70%減※5)」・「低消費電力化(60%減※6)」・「省スペース化(50%減※7)」を実現しました。

全国発明表彰は、我が国の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に1919(大正8)年から始まり、優れた発明・意匠を完成した者などを表彰するものです。「朝日新聞社賞」は、全国発明表彰における10点ある特別賞の一つです。特別賞の受賞は、当社では初めての受賞となります。「発明実施功績賞」は、「朝日新聞社賞」を含む特別賞などを受賞する法人の代表者に贈呈されます。今回の受賞は、科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ、顕著な実施効果を挙げており、我が国の科学技術の振興、産業経済の発展に大きく貢献した点が評価されたものです。

なお表彰式は、6月30日にThe Okura Tokyo(旧:ホテルオークラ東京)にて行われる予定です。

  • ※1感光体(光を当てると電荷が発生する半導体の一種)や帯電装置を含み、トナーを用いて用紙にテキストや画像を写すカートリッジ
  • ※2感光体を帯電させるための装置
  • ※3感光体を接触帯電させるための部材
  • ※4金属ワイヤーに電圧を印加してコロナ放電を発生させ、感光体を非接触帯電させるための部材
  • ※5スコロトロンを採用した場合のコストを100%として
  • ※6スコロトロンを採用した場合の消費電力を100%として
  • ※7スコロトロンを採用した場合のスペースを100%として

受賞者

朝日新聞社賞

六反 実

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 画像形成材料開発本部 機能部材開発部

杉浦 聡哉

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 画像形成材料開発本部 機能部材開発部

萩原 拓郎

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
エンタープライズドキュメントソリューション事業本部 第一商品開発部

大島 穣

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 研究技術開発本部
システム技術研究所 チーム長

額田 秀美

元富士ゼロックス株式会社 画像形成材料事業部 機能部材開発部

野中 聡洋

元富士ゼロックス株式会社 画像形成材料事業部 機能部材開発部

発明実施功績賞

浜 直樹

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 代表取締役社長・CEO

発明概要

本発明は、BCRの表面層にシリコーンオイルを添加し、シリコーンオイルと多孔質樹脂粒子※8とを当社独自の含有量にコントロールすることを特徴としています。これにより、画質の粒状性の悪化(ザラツキ感)の原因となるBCR表面の微小構造による抵抗ムラを抑制し、BCRでも高画質の印刷を可能にしました。(図1※9

図1:BCR表面の微小構造と出力画像の明度分布比較

  • ※8BCR表面に適度な凹凸を付与し、トナー成分によるBCR表面の汚染を防止するための粒子
  • ※9「Rz」:表面の粗さを定義する指標。数値が低いほど滑らかな状態を示す。

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