IH(誘導加熱)定着技術

富士フイルムビジネスイノベーションでは、複合機やプリンターの消費電力を低減し、環境負荷を低減する技術の開発に取り組んでいます。

急速加熱で省エネとお客様の利便性を両立

複合機やプリンターでは、トナーを熱で溶かして定着させるための「定着装置」による消費電力が、機械全体の消費電力の60%~80%を占めています。従来の定着装置では、待機状態からすぐにお客様が利用いただけるように、予熱を持たせておくことが不可欠でした。そして、その予熱により電力の多くが消費されていました。

富士フイルムビジネスイノベーションでは、この消費電力削減に取り組み、急速加熱が可能な小熱容量の加熱部材を持つIH定着技術を開発しました。これまで電磁誘導による加熱が困難といわれていた非磁性金属の銅を数~十数μmまで薄膜化することにより、磁性金属同等に加熱できることを発見しました。

図1:誘導加熱比率

そして世界最薄(厚さ数ミクロン)の薄膜銅をIHベルトの発熱層に採用し、同時にIHの加熱効率を高めながらIHベルトの過度な温度上昇を抑える感温磁性合金などを採用したことで、予熱の必要なく、定着装置を世界最速3秒で立ち上げることを可能にし、省エネルギーとお客様の利便性の両立を実現しました。

図2:IH定着機の構造とIHベルトの断面図

本技術は、平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において科学技術賞(開発部門)を受賞しています。