Smart WelcomEyes技術

富士フイルムビジネスイノベーションでは、複合機やプリンターの消費電力を低減し、環境負荷を低減する技術の開発に取り組んでいます。

お客様を検知しスマートに自動復帰。省エネと利便性を両立

複合機やプリンターには、利用者が使用していない時間をスリープモードとして省エネルギー性能を持たせています。しかし、使用する前に「節電ボタン」を押して節電解除する操作に対しては、「煩わしさを感じる」、「面倒である」、「操作にとまどう」などのお客様の声が上がっていました。

複合機の前に立ち、操作パネルに触れようとしたときにはメニュー画面が表示されており、洗練された少ない操作で(Smart)、まるで迎え入れるように節電から復帰する(Welcome)、省エネで誤検知の少ないセンサー(Eyes)による自動センシング技術の開発に取り組みました。

2つのセンサーを活用し、省エネを達成

消費電力の大きな反射センサーを常時通電しておくと複合機全体の消費電力が大きくなってしまうため、消費電力が極めて小さい焦電センサーを常時通電させ、反射センサーは初期から通電させないという省エネ設計※1を導入しています。焦電センサーが、複合機近傍の人の動きを検知すると反射センサーを起動させ、お客様の接近の有無を反射センサーで確認してから機器のスリープ復帰判断を行います。

図1:焦電センサーと反射センサーの省エネ設計

※1  Apeos C8180/C7580/C6580の場合

オフィスでの利便性への配慮

スリープモードにおいて節電ボタンを押下し、“カチッ”という音と画面の点灯によりスリープ状態が解除されたと認識するまでの時間は、約500msecです。このことから複合機に正面から近づいた際にお客様操作位置である複合機前面に到達する時間が500msecとなる適切な距離を反射センサーの操作者検知距離としました。立位姿勢と車椅子使用者を想定した座位姿勢のどちらの場合においても検知可能な最適な高さにセンサーを配置しています。

図2:反射センサーの検知距離設計
図3:焦電センサーと反射センサーとの取り付け位置

また、屋外空間での自由歩行速度は、周囲の状況にもよるが、およそ66~80m/分であるとされています。オフィスなどの屋内においては、若干遅く歩行すると考え、複合機の前を歩行して通り過ぎる人の歩行速度を約60m/分と想定しました。

この歩行者の速度を基に、人体幅を450mm程度と想定し、反射センサーの検知範囲を横切る際に必要となる時間を計算し、この歩行者の通過時間と反射センサーが利用者を検知してからスリープ復帰でストレスを感じない時間とのバランスをとって設計し、数百msec以上人を検知しない場合は、通り過ぎる歩行者であると判断する応答性設計を導入しています。