コントローラの待機時消費電力低減技術

環境への意識が高まる中、オフィスの複合機においても、消費電力やCO2発生量の削減が求められています。そのため待機時の複合機は、スリープモードを設けて、消費電力の削減に対応しています。

スリープモード時の消費電力を大幅に低減

複合機全体を制御するコントローラは、スリープモードにおいてもホストPCからの印刷指示やジョブ監視、ステータス確認などネットワークからの処理要求に迅速に対応する必要があり、全ての電源を完全にOFFすることができません。コントローラの構成回路の中では、SoC注1内のCPU電源が多くの電力を消費していました。

そこで富士フイルムビジネスイノベーションでは、複合機のコントローラを図1に示す構成とし、(1)CPUの高速復帰機能と(2)通信パケット格納メモリ機能を備えています。スリープモードでは、CPU電源をOFFし、メモリを省電力モードに遷移させ、各種設定を保持します。このときのSoCには、電源マネジメント回路や復帰に必要となる最小限の回路だけに通電します。ホストPCからネットワーク処理要求を受けると、CPU電源をONし、保持した設定を戻すことで高速に復帰し、通信パケットをメモリに格納しながら必要なレスポンスを返送する回路構成を実現しました。最適な電力制御を実現しながら、省電力ネットワーク規格への対応とネットワーク性能の向上も同時に達成しています。

図1:コントローラ構成図

このようなコントローラ消費電力低減技術により、スリープモード時の消費電力は、業界トップクラスの0.5WAC(CPFS構成)を実現しています。

  • 注1 SoC(System-on-a-Chip)1つの半導体チップ上に、必要とされる一連の機能(システム)を集積。