富士フイルムビジネスイノベーション

AI時代に独自の価値をどう生み出すか。コアテクノロジーラボの若手3名が大切にする飽くなき「探究心」と世代を超えた「納得感」

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#働き方
#AI技術
談笑する三人

富士フイルムビジネスイノベーションが2025年4月に新設したAI技術開発部門「コアテクノロジーラボ」では、バックグラウンドの異なる20代の若手メンバーが多く活躍しています。

主体性を持ちながら、なんでも相談し合える空気感が、意欲的にプロジェクトや技術開発に取り組める原動力となっています。

最初は少人数から始まったKaggle部も、今では若手から中堅社員まで10名ほどが活動に参加するなど、AIに対する情熱を持ったメンバー同士が切磋琢磨できる環境が整っています。

今回は、同組織で活躍する20代の若手メンバー3名による座談会を通して、フラットな組織文化で働く楽しさや面白さ、失敗を糧に学んだ現場視点の重要性、今後の展望について掘り下げていきます。

野間 智寛さん

野間 智寛

Tomohiro Noma

ビジネスソリューション事業本部 コアテクノロジーラボ

2020年入社。富士ゼロックス株式会社(旧社名)に営業職として入社し、東京地区の大手企業を担当するアカウント営業に従事。2023年に、現部門に異動し、「FUJIFILM IWpro」や「Revoria Cloud Marketing」のAI機能の企画・機能開発に邁進中。

白石 幸寛さん

白石 幸寛

Yukihiro Shiraishi

ビジネスソリューション事業本部 コアテクノロジーラボ

2024年入社。業務改善プラットフォームにおけるAIモデル軽量化でのコスト最適化や設定作業の自動化などを担当。現在、FUJIFILM IWproの将来機能開発に邁進中。

長谷川 亮さん

長谷川 亮

Ryo Hasegawa

ビジネスソリューション事業本部 コアテクノロジーラボ

2022年入社。複合機の異常検知技術開発や営業支援のための有望顧客・商材の推薦技術開発を担当。現在、FUJIFILM IWproのAI機能開発に邁進中。

"売れるものを作る"ために、課題解決の技術開発に取り組む

インタビューを受ける三人

── まずは、それぞれのキャリアと3人の関係性について教えてください。

野間 2020年に富士ゼロックス(旧社名)へ入社し、営業職としてキャリアをスタートしました。アカウント営業としてお客さまの窓口を担い、複合機をはじめとした各種ソリューションの提案・販売に従事してきたあと、コアテクノロジーラボの前身である技術開発グループへ異動し、現在は中堅・中小企業のDXを支援するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」の企画や機能開発に関わっています。

白石 私は2024年に富士フイルムBIに入社し、最初の1年間は将来のプロダクトの種となる技術の研究開発や、既存AI機能の改善などに取り組んできました。その後の半年間は、アジャイル開発プロジェクトのメンバーとしてプロダクト開発に参画しました。そして、2026年初めからは再び研究開発に軸足を戻し、新たなプロダクトに繋がる技術創出に注力しています。

インタビューに答える白石さん

長谷川 2022年に富士フイルムBI入社後は機械学習モデルを使って、営業支援のための有望顧客・商材のレコメンド技術の開発に関わっていました。今はFUJIFILM IWproに搭載するAI機能の開発を担当しています。

野間 3人の関係性を話すと、白石くんがちょうど入社した頃、私は機械学習を用いたデータ分析プラットフォームの開発に携わっていました。長谷川くんは機械学習や数学に強いので、分からないところは相談して教えてもらったり、一緒に調べたりしていました。お互いに役割を分担しながら作業していて、機能の良し悪しを色々とフィードバックいただけたのは、とても助けられたなと感じています。

白石 20代同士で気軽に話せる関係だからこそ、何かあれば相談しやすいですよね。ちなみに、お二人にはよく油そばのお店やボルダリングに連れて行ってもらっているんですよ。

長谷川 残業が続いて少しお腹が空いてくる時間帯になると、「油そばでも食べに行こうか」という流れになるんです。本当に同年代だからこそ、何気ないコミュニケーションができると思いますね。

── 3人の間で仕事の役割分担はどのようにされているのでしょうか?

長谷川 私と白石くんは、課題解決のために技術開発を行う役割がある一方で、野間さんは技術に対するニーズの検証や開発したシステムをお客さまに分かりやすく伝えるといった部分など、ビジネス寄りの領域を担当しています。

野間 “売れるものを作る”というのは、個人的なミッションとして捉えている部分だと思います。それに加えて、最新技術についてもアンテナを張りながら、「これは使えそう」「これは使いにくそうだな」といった判断をしている感じですね。

インタビューに答える野間さん

白石 新しい技術のキャッチアップをするための研究会のような小さなグループがいくつかあり、数人で集まって最新の技術情報や活用の可能性を共有し合い、部門内で知見を高め合う取り組みを行っていますよね。

「技術の探求」と「個の尊重」を大事にする組織風土

── コアテクノロジーラボのプロジェクトでは、どのような点にやりがいを感じていますか。

野間 現在はウェブマーケティングを担当されるお客さま向けの支援ツールの技術開発と企画に携わっていて、機械学習や生成AIなどの技術を用いた次世代の機能改善を推進しています。私の役割は市場のニーズを汲み取り、そこから企画を立て、技術として具現化することです。

やりがいを感じるのは、自分が現場へ出向いてユーザーの声や営業先でのリアルな反応に触れる際に、「自分の作ったものが『価値』に変わった」と思う瞬間。

もちろん結果がダイレクトに数字で返ってくる難しさはありますが、この環境で業務に関われているからこそ、自分の成長にもつながっていますね。

白石 私自身、従来のルールベースでは対応が難しかった複雑な課題に対して、自社が長年蓄積してきた独自のナレッジとAIを組み合わせることで、「お客さまの困りごとを解決できないか」という可能性を探っています。

試行錯誤を繰り返していくなかで、難しい問題を技術的な工夫で解決した時が最も嬉しい瞬間だと思っています。

長谷川 私は生成AIの領域を担当していますが、この分野は技術確認の変化が激しい時代において、既に他社が技術的にやり尽くしている部分も多いです。

しかし、コアテクノロジーラボとしては、独自の技術による差別化が不可欠だと考えています。そういう意味では、単に既存の技術をなぞるのではなく、誰も気づいていないシンプルかつ画期的なアプローチで課題解決につながった時に、この仕事の本質的なやりがいを感じますね。

既存の要素をどう組み合わせ、独自の価値を生み出すか。その探求を常に意識しています。

インタビューに答える長谷川さん

── 若手が働きやすいと感じる点や、裁量を持って取り組めている実感があれば教えてください。

長谷川 コアテクノロジーラボでは、個人のライフスタイルを最大限に尊重し合える心理的安全性が担保されています。例えば、先輩社員は育児などの状況に応じて、リモートワークはもちろん、帰宅後にリモートワークに切り替えるなど、個人の事情を尊重してくれる点が大きいですね。

仕事の内容に関しても、自分たちの提案をマネジメント層が快く受け入れてくれます。マネージャー陣も試行錯誤の中、ボトムアップの提案も期待してくれていて、若手としてはアイデアを言いやすい環境だと思いますし、自身の発想を形にするチャンスに恵まれていると感じています。

白石 私たちのプロジェクトには、正解が決まっていないテーマが多く、上長と共に主体性を持って取り組めるため、意欲的に活動することができる環境だと思います。また、自分のアイデアが採用されるかどうかに関わらず、まずは発言することを奨励してくれる風土があるので、「自分たちが事業を動かしている」という実感を持てるのも魅力的に感じる部分です。

野間 本当に、若手もベテランも関係なく意見を言い合える文化が根付いているんです。営業時代からも感じていましたが、とにかく一人ひとりに与えられる裁量が大きいです。年次を問わず、「まずは任せてみる」という風土と風通しの良さが働きやすい点だと思います。

「なぜそう思うのか」を汲み取る姿勢が建設的なコミュニケーションを生む

談笑する三人

── 上司やベテラン層とフラットに議論するために、どんな振る舞いを心がけていますか?

白石 もちろん、場合によっては上司と方向性が違うこともあるんですけど、「相手がなぜそう思っているのか」をしっかり汲み取ることを大切にしています。たとえ意見が対立していても、関係性まで悪化しないように、空気をうまく作っていくことも意識していますね。

最終的には相手の立場に寄り添いながら、自分の考えを伝えたうえで納得のいく判断ができれば、その後の気持ちやモチベーションも変わってきます。

長谷川 若手は最新の技術トレンドに注目しがちですが、深い技術を知っているベテラン層も「もっと知りたい」「吸収したい」という姿勢を強く持っています。そのため、世代間でぶつかることは少なくて、よりよくするための建設的なコミュニケーションを心がけることで、比較的スムーズに話が進むんですよ。

これは年齢や立場に関係なく、「自分自身が納得感を持って仕事を進められるか」というところにつながっていると思います。複数のプロジェクトが並行して動いているなかで、相手が自分とは別のプロジェクトも担当していると、その背景をチャットなどで把握しておくことで、相手の状況や文脈を知ることができる。そうすることで、自然と納得感のあるコミュニケーションが実現できています。

野間 正面から対立したり批判し合ったりすることはないですね。目指すゴールは共通しているので、それに向けていくつか意見を出し合い、状況に応じて最適な判断を行っていくというスタンスを大事にしています。

「やりたいこと」を語る野間さん

── 上司は皆さんの「やりたいこと」をどう形にしていると思いますか?

野間 コアテクノロジーラボに異動してきた当初、現在は所長を務めている安藤さんが上司でした。週に一度の1on1を通じて、組織としてのビジョンや思考プロセスを共有いただき、さらにはメンバー一人ひとりの個性や特徴までも紹介していただくなど、丁寧に寄り添っていただいたのが印象に残っています。

白石 自分のやりたいことを実現できるテーマにアサインしていただけているなという印象ですね。実際に、上司との1on1で「LLM(大規模言語モデル)に関するテーマに挑戦したい」と伝えたところ、2週間後にはプロジェクトへの参画が決まったんです。また、外部研修への参加も奨励いただいており、興味のあるイベントや勉強会に自由に参加できるのも良い部分だと思っています。

プロジェクトについて語る白石さん

長谷川 最近は野間さんと一緒に、既存のプロジェクトではカバーできていない課題感に対する問題意識から立ち上げた提案活動を進めています。若手という立場なので、進め方や提案の出し方については不安に感じる部分もありますが、上司の方は親身に話を聞いていただき、改善点や検討すべきポイントについて具体的なアドバイスをもらっています。そのような相談の時間も、定期的に取ってもらえるのはとても助かっていますね。

技術ありきでは解決できない。「現場の困りごと」と「提供価値」の整合性が重要

── これまで担当したプロジェクトの中で何かエピソードや失敗談などがあれば教えてください。

野間 これまでエンドユーザーと直接関わってきた経験のおかげで、BtoB営業として複合機やソフトウェアといった有形商材を扱いながら、「商品がどのように作られて、価値として届けられるのか」をひと通り理解できたのはとても良かったと思っています。

現場の課題や要望、ニーズをヒアリングし、アイデアを具現化していく。

商品化の段階では、セキュリティや価格設定、保守体制など、さまざまな“決めごと”が出てくるのですが、その裏側を理解できたことで解像度がすごく上がったと感じますね。

白石 これは失敗談なのですが、あるテーマについて「現場での困りごと」を仮説ベースで考え、その課題を解決する技術を開発しました。しかし、実際に現場を知っているユーザーに見せたところ、「確かにこれは嬉しいけど、もっと別のところで困っている」と教えていただき、仮説がずれていたことに気づいたのです。この経験から、最初の仮説をしっかりと検証せずに技術を作り込んでしまうと、ユーザーの声を無視してしまう可能性があるということを学びました。

失敗談を語る長谷川さん

長谷川 自分にも失敗談がありまして。1年目の頃に「有望商材を推薦する仕組み」を使っていて、お客さま向けにメール配信する施策を営業企画の方と詰めていたときのことでした。

議論が行き詰まった際に、「有望商材が決まっているならルールベースで対応すればいいのでは」と提案したのですが、冷静に考えると「商材の推薦をお客さまごとにパーソナライズすること」が本質的な価値であり、コアテクノロジーラボとして打ち出すべき方向性を自ら否定する提案をしてしまったと反省しています。

顧客ニーズに向き合うことはもちろん重要ですが、それと同時に「どんな価値を提供したいのか」という点と整合した提案が必要だということを学んだ経験でした。

価値あるアイデアを具現化し、社会貢献につながる技術開発を目指す

歩きながら談笑する三人

── 最後に、コアテクノロジーラボの20代メンバーとして今後取り組んでいきたいことや展望をお聞かせください。

白石 コアテクノロジーラボではプロダクトの上流工程に関わることができるので、今後もさまざまな経験を積んでみたいですね。単に技術を作るだけでなく、「どこに価値があるのか」「後工程の開発にどう引き渡すか」など、幅広い業務を通して知識や経験を吸収していきたいと考えています。

最近だとAIエージェントのような技術もあり、制御やプロダクトへの実装が難しいケースもありますが、そのような技術をうまく活用して成果を出せるように頑張りたいと思っています。

長谷川 AIエージェントを使いこなせる人とそうでない人では、成果を出すスピードの差が広がってくるなかで、私は「誰一人取り残さない」という姿勢を大切にし、誰もがテクノロジーを使いこなせる環境を作りたいと考えています。そのため、AIエージェントなどの最新技術をみんなでキャッチアップし、さまざまな価値を生み出しながら日本を盛り上げていきたいなと思っています。

野間 アイデアを生み出すだけでなく、それを具体的な形にし、お客さまに届けて評価いただくまでの一連のプロセスに大きなやりがいを感じています。今後もAIエージェントなどの技術を活用しながら、より価値あるアイデアを具現化し、社会に貢献していきたいと考えています。

コアテクノロジーラボを通じて、お二人と出会えたのも何かの縁かと思いますので、3人で協力し合いながら価値ある技術開発をしていきたいですね。

写真
山野一真
古田島大介
編集
ヤスダツバサ(Number X)