富士フイルムビジネスイノベーション

三菱電機×富士フイルムBI特別イベントレポート
ー共創で加速するイノベーション

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特別イベント データ×AI×イノベーション

2026年3月13日、三菱電機と富士フイルムビジネスイノベーション(以下、富士フイルムBI)は、三菱電機が横浜みなとみらいに構える共創拠点「Serendie Street Yokohama」で、「データ×AI×イノベーション」をテーマとしたイベントを開催しました。富士フイルムBIのCTO 鍋田による特別講演に加え、両社のCTOを含む豪華登壇者によるパネルディスカッションを実施。共創拠点ならではの、両社の知見と問が交差したイベントの模様をお届けします。

イベントダイジェストをYouTubeで配信中

本イベントの様子を動画でご覧いただけます。ぜひご視聴ください。

探索と実験の場~共創空間「Serendie Street Yokohama」

探索と実験の場~共創空間「Serendie Street Yokohama」

イベントの幕開けは、三菱電機の共創拠点の見学からはじまりました。「Serendie Street Yokohama」は、三菱電機と共創パートナーが新たなソリューションを共に検討・試行できる、三菱電機の変革を象徴する場として2025年1月に誕生しました。

Serendie Street Yokohamaは「Serendipity(偶然の幸運な発見)」に由来する施設名が示す通り、異なるバックグラウンドを持つ人々が集まることで予期せぬ化学反応を生み、イノベーションを創出することを目的として設計された空間です。誰でも自由にアイデアを試すプロトタイピングの実験が可能なエリア、100名規模のイベントが実施可能なカンファレンスホールなどさまざまなエリアがあり、三菱電機はこの場所で、多様な知識や技術の組み合わせによる顧客やパートナーとの共創活動を通じて、新たな価値を創出しているそうです。

新たな価値を創出する富士フイルムBI

富士フイルムBI CTO鍋田は、「イノベーションが生まれる場と仕掛けを巧みに考えられ、どんどん進化させている。事業部の方々ご自身が展示内容を考えたり制作をしたりしているということで、現場のリアリティを非常に感じる」と、誕生から1年経った今も進化し続ける姿勢に感銘を受けた様子を語りました。

発明にとどまらない、AIの社会実装がもたらす変革

壇上で講演をする鍋田CTO

見学後は、富士フイルムBI CTO 鍋田が、「AI活用の”格差“に終止符を」をテーマに三菱電機の社員向けに講演を行いました。

鍋田 敏之さん

鍋田 敏之

Toshiyuki Nabeta

富士フイルムビジネスイノベーション 取締役 常務執行役員 CTO

1994年に富士フイルムに入社。写真フィルム感材の開発後、 2006年からデジタルX線機器開発に従事。2017年に医療AI技術ブランド「REiLI」を立ち上げ、医療IT・AIを活用した医療機器・サービス開発を牽引し、2022年に執行役員に就任。2024年より富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の取締役常務執行役員CTOとして技術開発全般を管掌。医療領域の経験を基盤にAIの成長戦略を主導。

鍋田は講演の中でAI活用の本質は単なる効率化ではなく、企業に蓄積されたデータを起点に、現場や業務のあり方そのものを変革することにあると強調。発明(Invention)にとどまらず、社会実装(Implementation)までつなげて初めてイノベーションが成立するという考えのもと、機器(モノ)と業務やデータ(コト)を一体で捉えた価値創出の重要性が語られました。

こうした考え方を具体的に示す例として、印刷工程における取組が紹介されました。 鍋田は、「印刷工程での出力時間は全体の約30%に過ぎず、残りの70%は条件設定やジョブ準備に費やされている」と指摘。従来の競争軸であった出力性能の向上だけでは、本質的な課題解決にはならないと語りました。

印刷工程における課題と提供価値

この課題に対し、「30%を29%にするのではなく、70%を10%にする発想が重要」と強調。これを実現する製品として、AI技術の新機能を搭載したプロダクションプリンター「Revoria Press PC2120」を2025年12月に発売したと、具体的な製品へのAI実装を紹介。用紙やトナーの状態をセンサーで検知し、AIが最適条件を導き出す仕組みや、複雑なジョブ設定や工程の最適化を通じて、従来は熟練者の経験に依存していた領域を高度化し、工程全体の大幅な効率化を実現していると説明しました。

商業印刷分野へのAI搭載による価値向上

さらに、「人間がさばける能力には限界がある。そこを超える領域ではAIを使った方が良い」と自身の考えを述べ、企業内に蓄積されたデータをAIが学習、活用することで、従来の制約を超えた最適解の提示が可能になると指摘。AIがものづくりの在り方そのものを変革する基盤となる可能性を示しました。

講演をする鍋田CTO

共創が切り開く新たな価値創出

パネルディスカッションをしている鍋田CTO、三菱電機 加賀邦彦 代表執行役 専務執行役員、佐藤智典 常務執行役員 CTO、朝日宣雄 デジタルイノベーション事業本部 執行役 DXイノベーションセンター長

パネルディスカッションには鍋田に加え、三菱電機からは、加賀邦彦 代表執行役 専務執行役員、佐藤智典 常務執行役員 CTO、朝日宣雄 デジタルイノベーション事業本部 執行役 DXイノベーションセンター長の3名が登壇しました。

インフラを支える覚悟― 三菱電機のフィロソフィー

最初のテーマは、「三菱電機のフィロソフィー」。加賀氏は「社会インフラ、電力インフラを支えることが社是」と語り、パワーエレクトロニクスと情報通信を軸に社会を支えてきた歴史を紹介しました。また、「鉄道や電力など、止まれば社会に大きな影響を与える領域を担っている」と述べ、その責任と誇りに言及。さらに、「逃げない、諦めない、お客さんの前でごまかさない」という姿勢を大切にしていると語りました。

朝日氏も、「技術をしっかり実装してお客さまに届けることを非常に真面目にやる会社」と述べ、同社のものづくりの本質に触れました。

共創を加速させる「オープンな場」の設計思想

ディスカッションをする朝日氏

次に、「Serendie Street Yokohama」が大きな反響を呼んでいる理由について、朝日氏はその背景にある”場づくり”の思想を説明しました。立ち上げ当初から、「オープンに議論する」ことを意図的に設計し、企業や組織の垣根を越えて自由に意見交換できる環境を整備、その結果、「従来は企業内に閉じていた情報やアイデアが自然と共有されるようになった」と語りました。

さらに、「すべてを守るのではなく、見せながらスピード重視で実装することが重要」と強調。こうした姿勢により、他社が追い付けないスピードで価値創出を進めている点が特長だと言います。「ここは違う」と来場者に感じさせる体験が継続的な人の流れを生み、新たなイノベーションの創出につながっていると述べました。

競争から共創へー 強みを持ち寄り新たな価値を生む

真剣な面持ちの二人

佐藤氏は、「一つの技術や商材だけでは価値は生まれず、複数の強みを組み合わせることが不可欠」と述べ、自社の強みを見極め、磨き続けることの重要性に言及。各社が強みを持ち寄ることで初めて、新たな価値創出につながるとの認識を示しました。

富士フイルムBIの鍋田は、共創の本質について「競合にどう勝つかより、どのパートナーと組み、新しいフィールドで価値を生み出すかが重要」と語りました。また、共創とはパートナー戦略そのものであり、1社では成し得ない領域をスピードを持って切り開く考え方だと強調。

さらに経営者だけではなく、現場や若い世代が主体となってつながることの重要性にも言及。日本企業がともに新たな価値を創出し、世界に挑んでいく必要性を示しました。

ディスカッションをする佐藤氏

おわりに

本イベントを通じて、データとAIの進化だけでなく、それらを活かすための「共創」の重要性が改めて示されました。企業がそれぞれの強みを持ち寄り、つながることで、これまでにない価値が生まれていきます。こうした取り組みが、今後のビジネスや社会のあり方を大きく変えていくことが期待されます。

イベントダイジェストをYouTubeで配信中

本イベントの様子を動画でご覧いただけます。ぜひご視聴ください。

富士フイルムビジネスイノベーションのAI技術ブランド「REiLI Business」

企業の「知」で、AIが動き出す。 REiLI Business

「REiLI Business」は、ビジネスの現場に寄り添い、企業独自の「知」の活用と価値創造を支えるAI技術ブランドです。富士フイルムグループが長年培ってきた画像・自然言語処理技術などのコア技術を基盤に、AIエージェント群を展開。企業内の情報やナレッジ、ノウハウを構造化および利活用して企業の成長を支援するとともに、商業印刷のワークフロー効率化や画像・質感表現の革新を実現。規模や業種を問わずすべての企業が、AIで独自の価値創造に挑める社会を目指します。

富士フイルBI CTO 鍋田の講演
パネルディスカッション